増殖する企業情報の管理が生死を分かつ


College students sitting side by side on ledge貴社では企業情報をどのように扱っていますか?ビジネスの高度化、IT化の進展、コンプライアンス対応などの理由により、企業の情報はかつてなく増殖しています。企業内部で管理されている構造化された情報だけでなく、電子メールや各種文書など非構造化コンテンツ、さらには外部のソーシャルメディアなど、多様な広がりを見せています。これらの情報を意識的に、そして的確に管理できるかどうかは、ビジネスにおける優位性の獲得、収益性、イノベーションなどの成功につながると誰もが認めていますし、そのためには、強力な情報管理が重要と認識されています。

しかし実際のところ、企業情報の元となるデータは散在しており、その管理や運用は場当たり的なアプローチになっていることが少なくありません。ポリシーやルールが不十分で、全社規模で一貫したプロセスが存在せず、状況の監視などもできていません。結果、タイムリーな意思決定ができずに事業機会を逃したり、顧客の信頼を失ったり、ということになりかねません。Forbs Insightが実施した調査によると、情報管理が稚拙であったがゆえに被った損失は、大半の企業で年間500万ドル、5分の1の企業では、なんと2000万ドルにも上るということです。

今後は、企業情報を戦略資産として位置付け徹底的に管理していく、いわば「情報ガバナンス」という発想が必要で、それが企業競争力に大きな影響を与えていくことは間違いありません。

情報ガバナンス構想に必要なことは何か?

情報に関連した問題の多くは、現場におけるデータ管理/運用(データに対するオーナーシップ)の不徹底、不適切なガバナンスポリシー、技術的サポートの欠如、経営幹部の関与不足、現場とIT部門との協力体制不足などに起因します。裏を返せば、このようなポイントを補いながら、企業におけるリスク回避と収益性向上を実現するための管理体制を作ることが肝となります。では、どういった課題においてその必要性が高いのでしょうか。次の5つです。

  • 1)情報の質の維持
    まず、正確な情報が必要な時すぐに入手できるかどうかが大事です。初歩的なことですが、顧客情報、商品情報など、一つのIDに1つずつ割り当てられているか。、またM&Aなどで顧客マスターが2つになった時、即座に名寄せを行うことなどが、情報の質の維持に必要となります。
  • 2)財務の修正報告をなくす
    財務関連情報に不備があると、修正報告を余儀なくされ、それは会社の評判を損ない、株価に悪影響を与え、罰金の対象になることすらあります。同時に、経営陣や従業員を疲弊させ、公私にわたる大きな損失をこうむります。そのためには、業務や財務に関わる重要情報の管理がカギになります。
  • 3)法規制コンプライアンスの徹底
    ステークホルダーに提出するレポートは正確かつタイムリーでなければなりません。また、必要情報は法令に定める期間にわたりデータを維持する義務があり、会計基準や企業改革法などの要求に従い、適切な対処が必要です。しかも、その情報量は膨大ですので、手作業では追いつかず、システマティックな取り組みが必要になります。
  • 4)顧客との信頼関係の維持
    顧客に提供する情報に重複や誤りがあると、顧客からの信頼を失いかねません。また、そのための対処は追加コストとなり、企業活動にマイナスとなります。
  • 5)ビジネスプロセスの分断防止
    不正確な情報があると、ビジネスプロセスの要所でつまずきが起こります。するとその都度、確認と修正作業が発生し、ビジネスのスピードが著しく低下、タイムリーな意思決定と実行を阻害することになります。各プロセスの要所における情報の正確性を担保することが必要になります。

財務上、コンプライアンス上の不具合から考える

では、どこから着手していけばいいのでしょうか。まずは、現在起きている財務上、あるいはコンプライアンス上の不具合から問題解決の糸口を探ることが一つの方法です。例えば、不正確な情報により出荷業務が遅延したり、やり直しなどが発生し、経済的損失を生ずるということであれば、その情報の正確性を高めるための業務プロセスや情報管理の在り方を検討することが必要となります。またよくある例として、エンタープライズリソースプランニング(ERP)でビジネスプロセスを再構築する際、マスターデータの維持管理に関わる従業員数が多すぎるためにエラーが多発する事象があります。このような場合には、マスターデータの維持管理を一元化し、関連する情報に責任を持つ従業員数を絞ることによって、情報管理の統制を図ることが一つの対策となります。

ここで重要なことは、適切なヒト、プロセス、ポリシー、指標を確立することで、そのための全社規模でのフレームワークを構築していくことです。つまり、組織規模で情報の管理や受け渡しなどに関する合意形成を行っていくということです。

情報ガバナンス構築に向けたステップ

具体的に情報ガバナンスという業務プラクティスを構築していく方法に、現在定まったものはありません。ただしいくつかの重要不可欠な以下のようなステップがあります。

  • (第1ステップ)意義の理解と対象課題の特定
    情報ガバナンスがなぜ大切かを理解することと、当該組織における情報の問題点は何かを特定することが始まりです。
  • (第2ステップ)適切な人材の参画
    課題解決に向け、関与が必要なヒトを集めます。単に関係ある人材ということでなく、リスク管理や収益向上に結び付けるための人選と役割設定がカギとなります。この点の詳細については、後ほど述べます。
  • (第3ステップ)ポリシーと手続きの定義
    包括的な情報ガバナンスでは、構造化データ/非構造化データの両方を含む、あらゆる情報について、必要十分なポリシーを策定しなければなりません。
  • (第4ステップ)情報作成/更新プロセスとシテスムの特定
    情報の作成、更新、削除プロセス、システムやアプリケーション間でのデータ転送などのプロセスを特定、適切に管理することが非常に重要となります。
  • (第5ステップ)コンプライアンスの監視と改善プロセスの確立
    コンプライアンス上の問題を常に監視することと、実施プロセスの改善は情報ガバナンス体制の維持に必要なものとなります。

適切な人材のコミットメントが必須、情報スチュワードという考え方

前に示したステップのうち、最も重要になるのが「適切な人材の参画」です。企業のリスク管理と収益向上を実現させるためには、必要なステークホルダーの参画が必須です。当然ながら、企業経営の根幹と直結していますから、経営陣の直接のコミットや、社内調整や予算獲得面での経営陣からの支援も重要です。また、業務知識を豊富に有する業務部門から代表者を含むビジネスチームも必要です。その上で、内部監査、リスク管理、コンプライアンス/プライバシー、IT部門からの参画も必須です。IT部門では、データアーキテクト、データモデラー、データベースアナリストなど、複数の主要な技術的役割を担います。

ここで情報ガバナンスにおける、情報の管理・運用と説明責任に関するポリシーを徹底させる役割として、「情報スチュワード」というものが導入され始めています。情報スチュワードに求められる要件は、情報とそれがビジネスにもたらす価値の両方をよく理解している人で、それはどちらかというと非IT部門の人物が担当するケースが多いようです。

このように、情報ガバナンス構想は、企業競争力に関わる情報管理リテラシーを左右するものです。扱うべき情報量、範囲、データの種類や関与する部門、役割、頻度などを考えるとかなり複雑かつ、実運用にかなりの負荷が想定されます。効果的なソフトウェアソリューションの活用などを含め、多面的な検討が必要かもしれません。

参考:組織における情報ガバナンスの実現~企業情報の価値の最大化に向けて~

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