銀行が顧客志向に生まれ変わるために


Person using cash machine銀行業務のうち、消費者との小口取引業務がGooglewalletやPaypalなどのノンバンク系金融取引業者によって、取って代わられようとしています。金額として、プリペイドカードが1,670億ドル(2014年予測)、Paypalが44億ドル(2011年)、英Tesco社の金融事業が5億1,400万ユーロ(2011年)などと言われています。決して小さな金額ではないうえに、この金額は確実に増加しています。

ノンバンク系金融取引業者が重視するのは顧客志向です。銀行は従来から、安全確実な取引処理とリスク抑制を重視しています。したがって、銀行内の仕組みもITもそういった思想でできあがっているうえ、とても保守的にならざるを得ません。ですから、顧客志向を重視するような体制に切り替えることは、たいへん大きな変革となります。

しかし、顧客志向に変わらない限り冒頭に述べた状況に対抗することが不可能なのは自明です。では、どうやって乗り越えればいいのでしょうか。

カスタマーエクスペリエンスに目を向ける

銀行は、顧客接点として、支店、インターネット、モバイル、ATMというものを持っており、新規参入業者よりもトータルではるかに充実しています。しかし実際のところ、消費者がぜひ利用したいと思われるようなサービスかというと、必ずしもそうはなっていないようです。たとえば、多くの銀行では、午前中にネットバンキングで送金した結果を、午後になっても支店の営業店端末で把握できません。あるいは、銀行のコールセンターに電話をすると、それまでの利用履歴とはほとんど関係がない商品の勧誘を受けることも多々あるという状況です。つまり、接点の数はあるものの、有機的なつながりがないため、顧客の期待や満足に沿えていない場合があります。

銀行はまず、利用者の目線に立ち、統合されたカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)を追求することから考える必要があります。カスタマーエクスペリエンスの方法論を考えるには、先駆者である小売業界を参考にする方法があります。考える視点としては、以下のような取り組み例が挙げられます。

  • 顧客がチャネルを選べるようにする:
    最良の小売事業者は、所定の利用方法を消費者に押し付けない
  • 顧客の購買・利用を支援する:
    顧客の購買・利用促進のためにトラブルシューティングやメンテナンス、コンサルティングサービスなどを提供する
  • 顧客別に商品をカスタマイズする:
    顧客取引データなどを活用し、顧客のニーズに合致した商品をおすすめする
  • 得意客にメリットを提供する:
    上得意客には特典を提供し、顧客ロイヤルティを高める

変革に向けたストーリーを持つ

方法論を考えただけでは変革には至りません。必要性を認識していても、変化を起こすためには、経営トップや従業員、顧客の賛同を得て組織全体としてのムーブメントを作りだす必要があります。そのための方法として、訴求効果が高く理解しやすいストーリーを作っておくことが効果的です。

ある発展途上国のリテールバンクは、「貧困問題に真正面から取り組み、経済成長の推進者になる」という目標を掲げ、これまでまったく銀行を利用できなかったか、あるいは利用機会が限られた人々にサービスを提供するというビジョンを作り上げてきました。その国には、月収1000ドル未満の潜在顧客が2000万人おり、その人々を顧客にしたいということが背景でした。

そのために、銀行をほとんど利用したことがない人々にもやさしいシステムを導入する必要性を説いたのです。レガシーシステムを捨て去り、そこに結び付いていた複雑なビジネスプロセスを抜本的に見直すことで、より俊敏なインフラと顧客志向のアプローチを構築するというシナリオです。

これにより同行は、個人口座開設の新しいビジネスプロセスを開発するプロジェクトを先行させ、新たなニーズに真正面から取り組むことができ、成果を出しつつあるということです。

ITシステムの時限爆弾が爆発する前に

このような抜本的な取り組みは、レガシーシステム上では遅かれ早かれ対応不能になります。それは、既存のシステムが最新テクノロジーから立ち遅れて行くからです。つまり、抜本的な改革は、ITインフラにおける抜本改革も必要とするのです。その主な理由は、以下のとおりです。

  • コスト削減が困難:
    レガシーシステムは、古いビジネスプロセスで最適化されており、新しいビジネスプロセスを適用すると生産性が下がっていきます。つまり、レガシーのままでは早晩コスト削減の余地がなくなってきます。
  • 業務中断リスクの高まり:
    老朽化したシステムは故障しやすく、エラーも発生しやすい。したがってリアルタイム性の必要なオペレーションや、事業継続などを担保することができなくなります。
  • 古い専門知識維持は不要:
    古いシステムやアプリケーションを使い続けるためには、古い専門知識を維持する必要があります。ただし、その知識を維持するのに必要な従業員の多くは退職時期を迎えており、それを追加のコストまでかけて維持するのは得策ではありません。
  • 新しい酒は新しい革袋に:
    最新の機能を開発して旧式のシステムに統合するのは非合理的です。

変革への9つのステップ

銀行を変革に仕向けるのは大仕事です。しかし不可能ではありません。これまでのポイントを含め、銀行が顧客志向に向けた変革を実施するための9つのステップをここにまとめます。

  1. 顧客重視のビジョンを掲げる
  2. 顧客との密接な関係を特色とする他業種の手法を見習う
  3. 変革に向けた目標を定める
  4. 中核となるIT変革をビジョンに結びつける
  5. ストーリーを生みだす
  6. 段階的な改善という発想から抜け出す
  7. ロードマップを策定する
  8. ビジョンを毎年更新する
  9. 導入効果を追跡する

いかがでしょうか?自行において、業務とITシステムの変革を実現させたい方は、ぜひSAPまでお問い合わせください。

参考:消費者から愛される銀行になるために

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