「リアルタイム化」と「プレディクティブ(予測)分析」は、SAP HANAの活用で得られるメリットを具体的に表現する際の重要なキーワード

作成者:谷川 耕一 氏 投稿日:2014年6月5日

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まずはシグナルを見落とさない、そこから知見を得てアクションを起こすにはリアルタイムなスピードが大事

SAP SAPPHIRE NOWのイベント会場では、数多くのセッションが行われている。その多くは、ユーザー企業による事例紹介だ。なぜSAPの製品を採用したのか、それにより企業の何が変化したのか。

SxhwarzbacheBayでは、同社のマーケットプレイスのビジネスが複雑化しているという問題を抱えていた。複雑さの原因は、コンシューマ向けのオークションサイトであるeBayもあれば、企業間取引のeBay Enterpriseもある。さらには、子会社の決済サービスであるPayPalもあり、それらのサービスを世界100カ国で展開していることだ。これらのマーケットプレイスで取り引きされている金額は、2013年には2兆1,200億ドルにも及ぶ。扱うアイテムのカテゴリーだけでも4,500を超え、売り手の数は2,500万以上もいるのだ。

eBay North AmericaのCFOであるDavid Schwarzbach氏は、複雑化したマーケットプレイスの動向を把握し、さまざまな角度から分析して最適化を行いたかったと言う。たとえば、新しいiPhoneが発売されることになれば、それに関連するスマートフォン・ケースなどの商品は、いったいどのような購買動向となるのか。当然ながら商品ごとに動きが違う。さらには地域によっても状況は変わる。「データを見ていると急激に動くところがあります」とSchwarzbach氏。このデータが急激に動くところがシグナルであり、まずはそれを見逃さないようにしなければならない。シグナルをキャッチしたら、それに関連するデータを組み合わせて分析しインサイトにする。インサイトが得られればそこから新たなアクションを起こす。

シグナル

このデータからアクションにいたる一連の動きを裏で支えているのがSAP HANAだ。最初のシグナルを発見する際に、1週間も2週間も前の動きを見ていたのでは、それでシグナルを捉えても手遅れだ。いまの状況をリアルタイムに追いかけることで、意味あるシグナルの見落としを防げる。次にシグナルを捉えインサイトにするには、さまざまなデータを合わせて見る必要がある。このときのアナリティクスのスピードも重要だ。素早くインサイトを得て迅速にアクションを起こせないと、それもまたビジネスチャンスを逃すことになる。

リアルタイムの処理スピードが必要のないサイクルでビジネスを行っている企業ももちろんあるだろう。しかし、世界中で戦うeBayのような企業の場合には、リアルタイムに分析できるからこそビジネス拡大が期待できるアクションを起こせるのだ。そのためにeBayには、SAP HANAが必要だったと言うわけだ。

予測分析を実現するためにSAP InfiniteInsightを採用

NarasimhaCox Communicationsは、北米で3番目の規模を誇るケーブルネットワークのプロバイダーだ。顧客数は600万を超え、顧客に関する情報は膨大なものがある。そのような中で同社が実践したかったのがCRMの最適化。顧客とのエンゲージメントの強化だった。まず行ったのは、顧客のセグメント化だ。それにより、セグメントごとに最適なマーケティング施策を打つことで、離反率を下げアップセルにもつなげたい。

これを実現するために18のリージョンごとに25のモデルを作った。そこで使われたのが、SAPの予測分析ソリューションSAP InfiniteInsightだった。じつはCox Communicationsには、Oracle Databaseを使ったデータウェアハウスがある。そのデータウェアハウスのデータを利用しレポーティングや検索をするためにはMicroStrategyの製品を利用している。さらに、キャンペーンマネージメントの部分ではIBM Unicaを利用しているのだ。これだけツールを取りそろえていても、SAP InfiniteInsightが必要だったというわけだ。

SAP InfiniteInsightを活用することで「自動での顧客のモデリングが可能になりました」とCox CommunicationsのParimala Narasimha氏は言う。モデルから顧客をセグメント化し、セグメントごとにシミュレーションを行う。そして、その結果を新たなキャンペーンに適用しているのだ。「モデリングはかなり効果的です」とNarasimha氏。今後はさらなるデータソースの追加も行い季節変動分析、より細かくセグメント化するためにサブモデルの構築やセグメントのクラスタリング分析なども行う構想を持っているとのこと。

Predictive

このように、CRMの領域で何らかの顧客分析を始め施策を回し始めれば、次々と新たな分析要求が出てくる。予測分析を行い、そこからアクションを起こす。その結果をフィードバックし、新たにモデル化して予測を立てて再び行動を起こす。CRMではこの一連のサイクルを続けることが顧客とのエンゲージメントを強化することであり、それを続けられるプラットフォームが必要だと言うことだ。

今回のイベントでは、「リアルタイム化」「プレディクティブ(予測)分析」という単語を頻繁に耳にする。これら2つは、SAP HANAの高性能からもたらされる具体的なメリットを表すための重要なキーワードとなっている。

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