食品・消費財業界グローバリゼーション2.0――第2回:世界で勝つ!そのための施策とは


SAPジャパンの大滝です。「食品・消費財業界グローバリゼーション2.0」と銘打った、業界トレンドとそれに関わるSAPとしての取り組みを紹介するシリーズの2回目です。今回のテーマは、「世界で勝つ!そのための施策とは」です。

強みを活かし、やることやれば、世界で勝てる!「グローバリゼーション2.0」への脱皮

Female shopper with digital tablet in supermarket「日本の食品・消費財企業の商品力は高いので、グローバル展開にコミットした方法で実行すれば、世界で勝てる!」。これが、前回のまとめです。食品にしろ、消費財にしろ、商品力の高い日本企業。ただしこれまでは、商品任せ、人任せ、個別対応、という分散型・偶発的な事業展開であったために、グローバルで戦える素地が十分になかったのです。これまでの海外展開を第1回では「グローバリゼーション1.0」と名づけましたが、この壁を越え、企業全体として海外展開を系統的に実行することがこれからの課題です。これを「グローバリゼーション2.0」と名づけます。

具体的には、以下の3つが重要なポイントです。

(1)日本企業として活かせる強みを海外でも活かす

(2)全社のコミットメント

(3)系統だったブランドマーケティングの実施

(1)の「活かせる強み」は、商品力に依存するところが多いので、一般化は困難ですが、(2)、(3)に関しては基本的な考えを整理することや、グローバル企業の先行事例などを参考にすることにより、具体的なソリューションを探ることが可能です。

海外プロジェクト成功への留意点とは?

まず、海外展開を行うに際しての基本的な考えを整理します。それは、(1)トップマネージメントのコミット(本社トップ、現地トップ)、(2)プロジェクトマネージメントの実行(スケジュール管理やマイルストーンの設定)、(3)チェンジマネージメントの導入(変化への抵抗をなくす、変化を当たり前にする)の3つです。その際の留意点は、以下となります。

  • 本社と現地のコミュニケーションを確立する
  • 本社の方針・意思を貫く(ぶれない!)
  • 現地の意見をよく聞くフェーズを持つ(いつでも聞くのではなく、全体方向性を決めるための検討要望事項としてマイルストーン時などに実施)
  • 現地スタッフのトレーニングをしっかり行う
  • 海外展開プロジェクトを通じて会社へのロイヤリティーを高める仕組みを埋め込む
  • 世界を基準に考えた仕組みにする(日本を基準にしない)

特に、グローバルではジョブディスクリプションへの対応は必須です。日本の場合は、チームプレーや不測の事態における臨機応変な対応を促すためか、ジョブディスクリプションは曖昧なことが多いでしょう。一方、欧米では職位職制などに基づき細かく設定されていますが、書かれていなことはやらない、と徹底しています。日本的な曖昧なジョブディスクリプションにもよい面はあるのですが、グローバルで戦うためにはやはり、ある程度の標準化は行わなければいけません。

グローバル展開を支えるプラットフォームの構築

前項での留意点に、先の全社コミット、ブランドマーケティングを掛け合わせると、その際の業務ニーズは以下のようになります。

(1)国境や会社組織を超えた市場・顧客・消費者へのOne Voiceを作る

(2)本社から海外子会社への業務支援を強化し、ガバナンス向上を効率的に実現する

(3)今後の新市場への進出を支援・促進し、将来のM&Aを容易にする

(1)は、系統だったブランドマーケティングを実行するための施策に、(2)は本社のコミットを実現するための施策となります。(3)は、(1)、(2)の動きを第2、第3などの新市場・新リージョンにおいても引き続き実行させるための考え方になります。

これらニーズに基づく具体的な対策を詳細化することができれば、あとはシステム統合、データ統合、標準化などでの対応が可能になります。

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 グローバルブランドに見る成功の条件とは?

SAPではこれまで、グローバル企業に対して具体的な支援を行ってきました。世界トップレベルのグローバル企業の事例を簡単に紹介することにより、対応方向に関するイメージを持っていただければと思います。

1.ネスレ(世界最大の食品企業):経営トップのコミットによる広範で迅速な展開
約10兆円の売り上げを誇るネスレ社は、食品・飲料の複数の各カテゴリーで世界トップ3位以内になることを目指し、成長と高収益を維持し続けるために、成長の半分はM&Aから、残り半分は既存事業から生み出しています。市場ごとに強みを発揮できるような製品ポートフォリオを選択的に展開し、利益率の維持・向上を実現しています。また、「ネスプレッソ」のような新しいビジネスモデルなども、可能性があると見るや、一気に世界展開し市場を席巻する機動性も有しています。これらの大規模かつ迅速なアクションは、経営陣のコミットメントや意思決定の速さはもとより、このようなことを支えられる経営プラットフォームがあるからにほかなりません。

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2.コカコーラ(世界最大の飲料企業):ブランドマネージメントとマーケティングの王道
コカコーラ社は、ソフトドリンクの単体カテゴリーで、コカコーラ本体とボトリング各社との密接な連携でサプライチェーンの効率化に取り組んでいます。ブランドはグローバルレベルで、サプライチェーンなどのイニシアチブは国・リージョンのレベルで統合的に管理されています。また、マーケットデータやビジネスデータの分析に秀で、得た洞察を経営の意思決定に非常にうまく活用しています。

3.プロクター&ギャンブル(世界最大の日雑粧業品企業):シェアードサービス化による利益率の維持・向上
プロクター&ギャンブル社(P&G社)において、ブランドは、グローバルレベルでの管理し、オペレーショナルな組織は、リージョナルレベルで構成し、広域なオペレーションという視点から効率化を実現できるような取り組みを行っています。また、コア業務とノンコア業務を明確に分けたうえで対応しています。3つのグローバル横断でのビジネスユニット(Beauty Glooming、Health、Household Care)組織を立ち上げ、それぞれにR&D、製造、マーケティングをコア業務として設置し、プロフィットセンターとして利益の最大化を目指すかたちです。

ノンコア業務はシェアードサービス化を進め、大きなコスト削減を実現しました。2005年にはジレット社を570億ドルという巨額で買収しましたが、わずか15カ月で統合を完了したという実績もあります。ひとえに経営トップの行動力とそのアクションを支えるIT基盤が、プロジェクトの成功につながったのです。

参考記事:
P&G社のグローバル戦略を支えた経理・財務組織変革
80カ国のバックオフィスを統合したP&G社のシェアードサービス

グローバルで共通化できる部分は共通化を

このような種々の施策を実施するうえで、そのIT面での基礎になると考えられるのがシステム統合です。海外が現地任せ、商品任せにならないようにするためにも、本社と現地のシームレスな関係を支える必要があります。このようなシステムのもと、日本から現地の様子を「見える化」することが可能になり、現地に対するコミットが十分可能になります。また、リージョナルあるいはグローバルでのマーケティングやブランドマネージメントなどにおいても共通プラットフォームにすることができるので、課題解決に大きく役立つことでしょう。

SAPで提案する統合システムは、M&A後の統合にもさまざまな工夫を凝らしており、標準化やテンプレート化などを切り口に早期統合が可能になるような機能を備えています。グローバリゼーション2.0へ向けたIT面での具体的第一歩として、かなり有効なソリューションになるものと確信しています。

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あとは実行あるのみ!

繰り返しになりますが、「日本の食品・消費財企業の商品力は高いので、グローバル展開にコミットした方法で実行すれば、世界で勝てる!」のです。商品に関する問題はありません(もちろん慢心はいけませんが)。あとは、ここに示したような全社のコミットメント、系統だったブランドマーケティングのための施策を実行することです。

日本の食品・消費財企業のみなさまの「グローバリゼーション1.0」から「2.0」へのシフトにおいて、これまで多くのグローバル企業の事業展開を支援してきたSAPが、なにがしか貢献できるのではないかと思っております。日本企業が強みを「世界で活かす」ために、SAPとしてのこれまでの蓄積を最大限に活用し、グローバリゼーション2.0を少しでも早く実現できるようお役に立てればと願っています。

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