自動車・組み立て製造業のイノベーション最前線――第3回:グローバル人材育成・部品の現地調達を短期でどう実現するか


SAPジャパンの山﨑です。本連載では、「自動車・組み立て製造業のイノベーション最前線」と題して、新たなトレンドとそれに関わるSAPとしての中長期的取り組みを4回シリーズで紹介しています。第1回は「M2M/テレマティクス」、第2回は「品質・ワランティ」をテーマとして、それぞれお伝えしてきました。第3回となる今回は「グローバル人材育成・部品の現地調達を短期でどう実現するか」というテーマです。

グローバル適応可能な人材育成は現地化の十分条件

Mechanics working on car engineグローバル化ということを考えた時、それも経営のうちですから、「ヒト」、「モノ」、「カネ」「情報」が重要な要素となってきます。特に現在のグローバル化は現地化が一つの方向ですので、当然、現地で通用する「ヒト」と「モノ」が必要となります。そのような中で、日本の中堅の部品メーカーなどに、グローバルの車両メーカーから直接問い合わせが入ってくることがあります。グローバルの車両メーカーは日本製品の高い品質を評価しており、採用したいと考えているケースは非常に多いのです。

しかしながら、せっかくそのような良いオファーがあっても、メーカーの本社側で受け答えが十分できないため、そのグローバル車両メーカーはほかのサプライヤーとの契約を決めてしまい、その部品メーカーは機会損失の憂き目を見ることになるというようなことが多々発生しています。また、仮に本社で受け答えできても、英語やドイツ語で交渉できる人がいないというケースがほとんどで、人材問題が大きな足かせになっていることは間違いのない事実です。仮に百歩譲って外国語ができたとしても、現地で仕事をこなせるだけのコンピテンシーまで持っている人はそうそういないというケースが多いでしょう。あるいは、そうした潜在力を持っている人材がいったい社内にどのくらいいるのか、把握できていない企業も少なくないことでしょう。せっかく現地法人へ出向させた優秀な社員が、将来のキャリアパスに不安を感じて、同業他社へ転職してしまったことがまた繰り返されようとしている不安や後任者が育っていないためにグローバル全体のオペレーションを見渡して効果的な人材配置やローテーションができないという悩みもよく耳にします。

新興国への事業展開プランはあるものの、そこでの人材育成がグローバルレベルで管理されていない、といった、海外事業計画と人材育成計画との齟齬も懸念されます。「海外展開に向けた人材育成をどうするか」が、自動車部品サプライヤーから必ずと言っていいほど聞かされる課題です。

今後、新興国で事業展開できる人材を十分育成できるかどうかは、グローバル化における十分条件となってきます。これは、特に部品メーカーにとって大きな問題です。では、まず何から着手したらよいのでしょうか。

まずはタレントマネージメントから

SAPは、2011年12月に米国SuccessFactors社(以下、サクセスファクターズ)を買収しており、クラウドベースのタレントマネージメントソリューションを提供することができます。サクセスファクターズは、2001年設立の人事クラウド会社で、これまで10年以上の経験をもち、グローバルで3,500社、日本で200社の導入実績を有しています。必要なグローバル人材を、必要な地域で見つけ出し、現地化対応を推進します。

クラウドのサービスなので、短期間でソリューションを得ることが可能です。また、通常のデータベースやイノベーションプログラムとは別個に検討できるようになっているので、全体での最適化などを考える必要は特にありません。

適切な現地取引先をどうやって獲得するか

一方、経営4要素のうちの「モノ」に関しても、グローバル化における課題は満載です。昨今の現地化では、「モノ」の現地調達比率を問われます。つまり、優良な現地の取引先を獲得しないと、有利なビジネス展開ができません。では、あまりよく知らない現地の取引先はどうやって調べれば良いのでしょうか。

もちろん、インターネットで検索することは可能ですが、仮にそこに出てきた企業がグローバルな取引先の求める、品質、コスト、納期、つまりQCDを備えている会社かどうかはすぐに評価することはできません。また、仮に良い現地企業を発掘できたとしても、その企業に比べ、自社のITシステムレベルが劣っていると、その企業が取引を行ってくれない可能性があります。システムとしての堅牢性や、自動処理ができるかどうかなども問われるケースがあるのです。

グローバル調達ソリューションをクラウドで提供

そこで、SAPは現地の優良企業の発掘、ならびに取引における不足システムなどのソリューションを、「ヒト」のケースと同じくクラウドで提供し、顧客企業の不足を補います。たとえば、現地で必要な原材料がある場合、それを早期に見つけて即座に電子取引できるようにすることが可能です。この、調達におけるソリューションは、アリバ(Ariba)によるものです。アリバは1996年設立の調達クラウド会社であり、世界190カ国で100万社の調達企業をネットワーク化しています。

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現地化対応のために、人事、調達それぞれでクラウドソリューションを提供できますが、日本国内やすでに地歩のある市場では、オンプレミスのシステムを保有しているケースがあります。その場合は、新しく立ち上げる部分はクラウドで、既存部分はオンプレミスというハイブリッド、あるいは2層式のソリューションが可能になります。

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1日も早い真の現地可を可能に

このように人事や調達について、日本国内は先進的な仕組みができていても、海外はまだ、という企業に向けて、SAPでは早期にキャッチアップしていただける仕組みを用意しています。100万社規模のサプライヤーネットワークをつなげて活用できるクラウドサービスの威力は大きく、今後の日本の自動車メーカー、部品メーカーの現地化の強力な後ろ盾になっていけることに間違いはありません。

次回は、本シリーズの最終回となりますが、組み立て製造業を中心に「インダストリー4.0(Industrie 4.0)」というテーマで解説いたします。

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