日本の製造業におけるMES


「挑戦の終わりは新たな挑戦のはじまりだ」

半沢直樹でおなじみの池井戸潤の「下町ロケット」には物作りに携わる開発・生産者達の夢と現実が描かれています。生産人口の減少、ベテラン社員の退職、複雑化し続ける生産方式、グローバル化の進展、製造現場はまさに不断の挑戦の塊と言えるでしょう。

MESの広まり

読者の皆様いかがお過ごしでしょうか?「やられたらやり返す、倍返しだ!」が言うに言えない典型的なサラリーマンのSAPジャパン朝井です。今回のブログでは日本企業におけるManufacturing Execution System:製造実行システム(以下:MES)について考察してみたいと思います。

歴史的には“MES”という言葉が製造業界の中で市民権を得たのは1990年代あたりからといわれており欧米では先行して導入され発展していく一方、日本では当初あまり注目されていませんでした。しかし2000年代前半から日本でも徐々に普及し始め、最近では多くの製造業の現場で導入や導入への検討を実施されるようになってきました。

日本の製造業における課題

imageではそのような状況において、日本の製造現場はどのような課題を抱えているのでしょうか?ここでは以下の3点を挙げさせていただきました。

1つ目は生産年齢人口の減少が挙げられます。総務省統計局のデータによれば、生産年齢人口は1995年の87,261千人をピークに減少に転じ、少なくとも今後数十年は減少し続ける見込みとなっています。最近では牛丼チェーンや居酒屋チェーンでの人材不足による閉店などが盛んにニュースで取り沙汰されていますが、この人口構造の変化は今後国内で生産を行っていく企業にとっても憂慮すべき事態となります。

2つ目は製造現場におけるベテランの退職です。2014年は団塊世代が65歳の節目を迎え、退職がピークを迎えるとされる年とも言われていますが、これまで製造現場において高いレベルの納期・品質の確保を担ってきた、いわゆる団塊の世代を中心とした匠やベテランの減少は製造現場にとって大きな問題となっています。また、前述した生産人口の減少や長期雇用の崩壊のといった事象もこの流れに拍車をかけることとなります。

3つ目に日本の製造業による海外進出とそれに伴う製造拠点のグローバル化が挙げられます。安い賃金というメリットは有りますが、海外ではたとえば作業者の頻繁な出入りがあり、日本(人)と比較して長期で同じ企業に留まる割合は低いのが現状となっています。そのため、いわゆる“あうんの呼吸”の創成や(特にセル生産などで用いられる)多能工の育成が非常に難しくなっています。また、そもそも日本の製造業の教育マニュアルが長期雇用を前提にしていたり、製造の仕組みがそれらをあてにしており、そのまま導入した結果、海外の工場における生産が思うように行かないというケースが見られます。

製造における問題解決をサポートするMESという仕組み

ではこのような事態に対処していくためにはどうすれば良いのか?その答えの一つがMESの導入にあります。たとえば生産人口減少に対してはMESのような仕組みを活用して、これまで紙やエクセルで多量の人出を介していた作業を、自動的に収集・管理する、ベテランの退職に関しては、たとえばこれまで匠の勘に頼っていた品質管理やメンテナンス作業を、情報を収集・分析することで適切なタイミングを標準化し、多くの人が実行できるようにする、といったことが可能になります。また、MESの様なシステムを導入することで海外工場における効率的な情報収集が可能となり、日本の本社からもより速くかMFGブログでは実つより適切な海外工場の現状把握が可能になります。

次回のMFGブログでは実際にSAPのMES「SAP Manufacturing Execution」の機能をご紹介させていただき、上記製造現場における問題を解決するためにどのような活用方法が期待できるかを考えていきたいと思います