「働き方革命」と「業務改革」に向けたネットワンシステムズのチャレンジ
作成者:SAP編集部 投稿日:2014年7月30日
顧客満足度の向上とビジネスの持続的な成長に向けたスピーディなシステム刷新―。本格的なクラウド時代を迎え、多くの企業が取り組むこの大テーマに果敢にチャレンジし、着実な成果を上げている企業の1つが国内有数のネットワークをコアとしたプラットフォームサービスプロバイダーであるネットワンシステムズ株式会社です。業務改革の一環としてSAPソリューションを採用し、わずか7カ月でSAP ERPとSAP CRMのビッグバン導入を成功させた同社は、今後、SAP HANAを活用した予実管理の導入など、新たなチャレンジを続けていきます。同時に社内の「ワークスタイル変革」にも取り組む同社のIT戦略について、経営企画本部 経営企画室 室長の杉山雄一郎氏が7月11日に開催されたSAP Forum Tokyoで発表した講演は、多くの来場者の高い関心を集める内容となりました。
さらなる顧客満足度を生み出すネットワンシステムズの「働き方革命」
1988年にネットワークベンチャーとして設立され、近年はサーバーやストレージを中心とするプラットフォーム事業やコンサルティングをベースとしたサービスで高く評価されるネットワンシステムズ。「継続した成長」と「顧客満足度の向上」の2つを経営方針に掲げる同社では、生産性改善による売上高の増加、人材育成による営業力強化、アライアンス拡大による互恵ビジネスの実現を重点施策としてビジネスを展開しています。
また、これらの施策を支える社内的なテーマとして同社が注力しているのが「働き方革命」です。2013年5月に本社を天王洲から丸の内に移転したのを機に、オフィスにフリーアドレスを導入し、オープンなディスカッションがいつでもできる環境を整備。さらにICT環境として、同社のユニファイドコラボレーションやクラウドを利用したデスクトップ仮想化環境(VDI)を導入し、自社での運用実績を通じて業務やノウハウを蓄積し、それを顧客に提供していくことを目指しています。
こうしたオフィス環境にとどまらず、IT全般についても部分最適から全体最適への移行が大きな課題となっていました。たとえば、見積もりや案件管理などのシステムは業務部門の要望に応じて個別に改修が繰り返され、営業利益やサービス原価の早期把握ができず、早期意思決定の阻害要因となっていました。
こうした課題を解消し、多様化するビジネスに迅速に対応するために、同社はSAP ERPによる業務改革を決断します。杉山氏は「従来の業務プロセスを抜本的に変えることで、イレギュラーな処理を排除し、業務フローやルールを『見える化』することにしました。ただし、社内のメンバーだけのプロジェクトでは現状を少し変えるだけの『業務改善』に終わってしまうため、SAPという第3者の力を借りて、業務をゼロから変える荒療治を行う方針としました」と話します。
テンプレートを活用してSAP ERPとSAP CRMを7カ月で導入
ネットワンシステムズが刷新の対象としたシステム群は、広範な業務を支える基幹システムのほぼすべてです。まず主要業務である会計、販売、購買、プロジェクト管理、固定資産管理の業務をSAP ERPで標準化。さらに営業の最前線で利用する案件管理、見積、サービス、ERP連携をSAP CRMで統合するスコープを描きました。
第1フェーズのSAP ERPとSAP CRMの導入では、できるだけ短期間での導入を成功させるため、必要な文書類や業務シナリオがあらかじめ組み込まれたテンプレート「SAP Best Practices」を採用。追加開発を一切行わず、標準機能のまま導入するポリシーを徹底し、結果的にアドオンはゼロ、パラメーター変更を12本にまで抑制しています。杉山氏は「業務部門のメンバーからはさまざまな要望が寄せられましたが、システムを変えずに業務を変える方向で話し合いを続けました。その際も社内ポータルで利用しているビデオメッセージ機能を活用して、業務部門の各メンバーに対してビデオメッセージを定期的に発信することで理解を求め、意思疎通を図ったことが大きな特徴です」と振り返ります。
2013年9月にスタートしたプロジェクトは、その過程でワークフローや見積承認、インシデント管理などの機能のスコープアウトはありましたが、当初の計画通り2014年4月7日に本稼動を迎えました。現時点では既存システムが並行稼動しているため、本格的な業務の効率化はまだ道半ばの状況ですが、今後SAPシステムによる統合が進んでいくことで、業務の標準化、効率化、またIT統制といった面でも明確な効果が見込まれています。
ダッシュボード作成、意思決定の迅速化
ネットワンシステムズが次に見据えているのが、SAP HANAを活用した高度なデータ分析基盤の確立です。「当社のビジネスパートナーであるシスコシステムズ社のサーバー製品Cisco UCSとSAP HANAを組み合わせたデータ分析環境を構築し、将来の外販シナリオを視野に入れ、SAP Business Warehouse powered by SAP HANAによって予測、実績、案件収支を分析することにしました」と杉山氏は語ります。
具体的には、SAP ERPの実績情報と、SAP CRMの見積情報をSAP Business Warehouseに蓄積し、見積時の予測情報、売上時の確定情報をインメモリーデータベースのSAP HANAで高速分析しながら、案件別の予実管理レポートを作成することを目指しています。さらに今年度の早い段階までには、SAP BusinessObjectsを用いて部門別、商品別に分析結果を表示するダッシュボードを作成し、意思決定の早期化も計画しています。
今後の予定としては、第1フェーズの導入でスコープアウトした機能を追加するほか、SAP ERP HCM、SAP BPCなどのSAPソリューションを順次稼動させていく計画です。また、SAP ERP HCMを利用した人事・給与システムの導入と並行して、SAPのクラウド型人事管理ソリューション「SuccessFactors」を利用した目標管理、パフォーマンス評価の機能をリリースするとしています。
また、将来的にはSAPのプロセス統合(EAI)ツール「SAP NetWeaver PI」を用いてエンタープライズバス(ESB)を構成し、SAPソリューションと他のシステムを連携させて、ワークフローを用いて、業務プロセスの自動化を進めていくことを検討しています。一方、今回導入したSAP ERPとSAP CRMは、グループ会社のネットワンパートナーズにも拡張し、グループ間の情報連携を高めていく方針です。
最後に杉山氏は、SAPソリューションのさらなる活用を視野に、次のような将来展望を明らかにしました。「今後は、SAPの最新ソリューションであるSAP Fioriを使って、ユーザーインターフェースの向上を検討していきたいと思います。またSAP HANAをSAP Business Warehouse単独での利用から、SAP HANA Cloud Platformの領域まで拡張することで広い用途での高速な分析が実現することを期待しています」
SAP ERPの短期導入を成功させ、業務改革の持続的な基盤を確立すると同時に、SAP Fiori、SAP HANA Cloud Platformといった最新ソリューションの活用も視野にチャレンジを加速するネットワンシステムズ。わずか1年足らずの間に劇的な進化を遂げた同社のシステムは今後、「継続した成長」と「顧客満足度の向上」の2つを経営方針に大きな貢献を果たしていくはずです。
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