【JSUG Leaders Exchange Interview】 B2Bビジネスを展開する計測器メーカーに求められるデータ活用の課題とは?


Data centre worker with tablet computerSAPユーザーグループの勉強会「JSUG Leaders Exchange」(以下、JSUG LEX)の参加企業のキーマンに、企業価値の向上に貢献するデータ活用についてお聞きするインタビューも4回目となりました。今回は参加2期目となるメンバーであるアンリツ株式会社 経営情報システム部 課長の中島久美子氏に、計測器メーカーである同社におけるデータ活用についてお話をうかがいます(聞き手:SAPジャパン 濱本 秋紀)。

最先端のモバイル開発に欠かせない計測器を多くの海外市場に提供

─まずはアンリツの事業内容についてお聞かせいただけますか。

中島 アンリツは2015年に創業120周年を迎えます。この間、情報通信の進化とともに歩み続け、現在はさまざまな通信システムの計測器をグローバルに提供しています。一般の皆様にはあまり馴染みがないかもしれませんが、たとえば、スマートフォンがきちんと動作するかの検証に当社の計測器が使用されており、便利で有用な情報通信サービスの発展を支えています。また、食品・医薬品用異物検出機などの産業機械やIP通信機器、光デバイスなどの製造も行っています。セグメント別の最新の売上比率では、計測器事業が75%、産業機械事業が16%、その他が9%となっています。

─通信システム向けの計測器とは、簡単に言うとどのようなものですか。

中島 スマートフォンや携帯電話などの情報通信機器が、LTEやWi-Fiなどの通信規格に合う形で「つながるかどうか」を試験します。主なお客様は通信キャリアや端末メーカー、その端末を支えるチップセットベンダーです。計測器は、スマートフォンや携帯電話から正しい電波が出ているかをチェックするために使用されており、開発や検証段階でも用いられますし、大量生産に移行してからも必要になります。当社は、LTEはもちろん、3G、3.5Gといった無線通信の規格から、100BASE-TX、1000BASE-Tなどネットワークインフラの有線通信の規格までカバーした計測器を提供できる唯一の企業です。

─海外での売上比率が高いですね。

中島 計測器事業の地域別の売上比率は、2014年3月期実績で日本が17%です。残りはすべて海外で、アジア・パシフィックが30%、米国が35%、EMEA(欧州・中東・アフリカ)は18%と、海外の売上高比率は83%に達しています。今後は、有線・無線ともにネットワークインフラが急速に拡大するアジア圏や中南米といった新興国市場に、さらに注力していくことになると思います。

JSUG LEXを通じて、IT部門と経営層の会話の重要性を実感

─JSUG LEXへの参加は今期で2期目となります。1期目に参加されたきっかけは何だったのですか。

中島 私自身、長く国内の営業部門に在籍し、後方支援的な業務を担当してきました。経営情報システム部門には2011年4月に異動になったのですが、その際、情報システムに関しては素人同然だったことから、上司が、「JSUG LEXはいろいろな意味で参考になる」とアドバイスしてくれました。これが参加のきっかけです。

─2期目の参加を決めたのは、1期目で期待通りの成果があったということですね。

中島 1期目は社会科見学のレベルで、どういった会社がSAPをどのように使っているかを知ることで精一杯でした。参加企業の方のお話を聞きながら議論に参加していても、JSUG LEXのテーマである「ITによる企業価値向上」というレベルまで深く考えられませんでした。しかし、その中でもITの付加価値を高めることの重要性を実感することが多くありましたので、今期は前年に学んだことをベースに、経営の視点で改めて議論に参加したいと思いました。

─ITの現場で「企業価値向上」の意識を常に持ち続けることは、思った以上に難しいことではないですか。

中島 そうだと思います。JSUG LEXを通じて、企業価値向上のためにIT部門も経営層と積極的に会話を重ねるべきだということを感じるようになりました。ファシリテーターの中田康雄さんも「自分の会社でどうやったらできるのかを考えなさい」とおっしゃっていて、社内の一部門という意識でなく、IT部門から経営層に向けてサインを出していかないと、現場は動いていかないことを学ぶことができました。

社内に眠っている宝の山にどう手を付けるか?

─マーケット分析の切り口で語られることが多いデータ活用ですが、御社のようなB2Bのメーカーは、データ活用をどのような観点で捉えているのですか?

中島 データを経営戦略にどのように活かすべきかというテーマについては、かなり以前から考えていました。データ活用についての近年の最優先課題は、同じ粒度のデータを揃えること、つまりデータの整備ですが、当社の海外グループ会社は、いずれも異なるシステムを使用していました。そのため、膨大なデータが宝の山であることを誰もが感じながら、これまでは手を付けられてこなかったのが現実です。

─誰も宝の山に手を付けようとしない?

中島 営業の現場に長くいた私から見ても、売上台数、売上高、出荷台数といったトレンド分析も十分できていないのではと感じることがあります。最近はようやく「見える化」が進んできてはいるものの、「今度はこういった切り口でデータを見たい」と現場からリクエストされても、情報システム側ですぐには追従できないことが悩みの種です。それを提案する力を身につけないといけないと思ってはいるのですが、なかなか難しい課題です。

─世の中ではビッグデータの活用が注目されています。御社内ではデータ活用に関して、どのような声が聞かれますか?

中島 「大量のデータがあるのだから、こういった情報が出せないだろうか?」といったことは、日常的な会話の中で聞かれます。こうした意見は情報システム部門から出てくるケースもありますし、マーケティング部門からのケースもあります。SCM部門、製造部門、資材部門など、数字が欲しい部署はどこにでもあるので、彼らは取引情報を含めて固有のデータが欲しいと思っているはずです。ただし、世間で言われているようなビッグデータ、たとえばソーシャルネットワークのデータなど、オープン化されている情報を収集し、それを活かしたいといったニーズは潜在的にはあると思うのですが、まだ具体的なフェーズにはありません。あくまでも社内に分散しているデータから、社内の情報を読み取ることが前提です。

──ありがとうございました。今回のお話でデータ活用に関する課題は理解することができました。次回はアンリツさんで実践している実際のデータ活用についてお話をお聞かせください。

■略歴

中島久美子(なかじま・くみこ)氏
アンリツ株式会社
経営情報システム部
BPR推進チーム
課長

photo_nakajima

 

日本大学を卒業後、アンリツ株式会社に入社
営業部門のアシスタント業務を経て、2002年より計測事業部門の基幹システムR/3導入プロジェクトに従事。
2006年4月に国内営業統括本部 営業支援部を経て、2011年4月より現職。

 

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