ビッグデータ活用、処理の高速化。それだけでは価値創造につながらない理由とは?


一般的な「ビッグデータ」への取り組みが現在どのような段階にあるか、客観的に見ると、現在は「データを蓄積している段階」もしくは「蓄積データを利用可能な形に加工できるようになった段階」と言えるでしょう。しかし、本来目指すべき「目的」や「価値」に至るにはどこに着目すべきでしょうか?

本稿では、ビッグデータ活用を「価値創造」につなげるために着目すべきポイントを、中国有数の飲料メーカーであるNongfu Spring社の事例を交えて解説します。

現状のビッグデータ対応は価値創造に至る前段階

ビッグデータという概念がこれだけ注目されながら、一方でバズワード(buzzword)と位置付けられる理由は、その定義やビジネス上での重要性が、実際には明確になっていないからだと考えられます。それでも、これだけキーワードが飛び交う理由は、ビッグデータをネタに商売をしようと考えるベンダー企業などが非常に多いからでしょう(もちろん、SAPもビッグデータが重要な商売のネタであると認識しています)。

しかし、一般的なビッグデータへの取り組みは、まだまだ「データを蓄積している段階」もしくは「蓄積データを利用可能な形に加工できるようになった段階」といえます。例えば、センサー系やRFIDなどからもたらされる膨大なRAWデータ=ビッグデータをストレージに格納し、これを集計できるようになったというレベルです。データベースベンダーを中心とした他社のアプローチは、現在のところ「データ集計が高速にできます」、「データ分析が可能な形に加工できます」という段階に留まっています。

しかし、一方でお客様の視点に立って考えてみると、これがゴールでないことは明らかです。「インフラ提供者」であるデータベースベンダーなどのビッグデータへの取り組みは、本来目指すべき価値創造に至る前段階にあるというのが正直な感想です。

“アプリケーションベンダー”であるが故のSAPの強み

それでは、こうしたベンダーとSAPの立ち位置の違いはどこにあるのでしょうか。最も大きいのは、SAPが「アプリケーションベンダー」であるという点だと思います。私たちは「集計を高速化する」「バッチ処理の時間を短縮する」ことをゴールとしているのではなく、集計・加工されたデータを活用して、お客様のビジネスに新たな価値を創造するということをビジネスのポリシー(=ゴール)としています。SAPは常に、インフラベンダーが提供する “手段”だけでなく、お客様が求める“目的”の達成への支援を行っているのです。

そのためには、アプリケーションの視点でのノウハウやテクノロジーに加え、膨大な量のRAWデータを最終的なお客様の目的に応じた形で、超高速で提供する仕組みが必要になります。SAP HANAが実現する超リアルタイム性と、SAP HANA上で動く分析系のアプリケーション、たとえば、予測分析やスマートメーターなどが、まさにこれに当たります。つまり、膨大な数の計算ロジックが動き、高速な処理が要求されるビッグデータの活用領域です。

SAP HANA事例:中国有数の飲料メーカーNongfu Spring

それではここで、ビッグデータを活用して価値創造を行なっているお客様の事例をご紹介しましょう。4月26日に開催したSAP Innovation Forum Tokyoで、中国有数の飲料メーカーであるNongfu Spring社CIOのPatrick Hoo氏にご講演いただきました。SAP HANAの導入により実際にどの程度効率化されたかという数値まで含めお話いただきました。ここでは、講演内容から抜粋でポイントをご紹介させていただきます。

まずは、3分間でまとめた動画をご覧ください。

Nongfu Spring社は、中国飲料業界の中の最大手です。最も売れ筋となっているミネラルウォーターについては、中国国内でのシェアが50%となっており、飲料商品の全体の売上も120億元に達します。同社では、グループ企業内のすべての会社が、SAP ERP上のアプリケーションを使って情報化を推進してきており、中国全土にわたる巨大なスプラーチェーンを構成しています。

同社のIT化は3つのステップで実施されました。

1.基礎構築段階 2004年〜2007年
内部ERP、OA、コラボレーションオフィスのオンライン化

2.拡張構築段階 2007年〜2010年
サプライチェーン管理、販売チャネルのグループ化を行い、モバイル端末を使用した販売システムを構築

3.BI構築段階   2010年〜
ビジネスインテリジェンスシステムの構築

SAPアプリケーションの歴史を辿ると、同社のビジネスとSAPの密接な関わりが明らかになります。当初、同社では2004年にR/3 4.6を導入。2008年には、データ量増加に対応するためOLAPシステムを構築しSAP BWを導入。その後はPortalも実装しました。2008年10月には、ECC6へのアップグレードを実施し、2009年にはSAPのBO(BusinessObjects)M&Aに伴いBOを導入。その後はWASにもトライしました。そして、2011年8月20日、同社はアジア太平洋で初めてSAP HANAを導入し運用開始しました。

SAP HANA導入以前の課題として特筆されたのが、ORACLEのデータマート経由で実施されていた商品輸送費の計算レポート作成における膨大な処理時間でした。過去から蓄積されてきた大規模データに対し、ORACLEによる論理計算やレポーティング速度はあまりにも遅く、全社レベルでの輸送費レポートの出力に24時間もかかる状況が発生していました。同社ではSAP HANAの選定ポイントである超高速処理と品質向上を実践すべく、既存のORACLEシステムを捨て、スタンドアロンのSAP HANAシステムへの全面切り替えを行いました。

この結果は驚くべきものでした。Patrick Hoo氏は、「レポーティングのスピードはORACLEにくらべ20〜100倍、論理計算の速度に至っては約2,000倍という結果が明らかになりました。過去24時間かかっていた輸送費のレポートは、今36秒で出力されるようになりました」とSAP HANAの導入効果を強調します。

Nongfu Spring社の講演 @SAP Innovation Forum Tokyo (4/26)

SAP HANA導入時のパフォーマンス比較を始め、SAP BusinessObjectsモバイルソリューションの活用まで、先進的な取り組みを濃密に語っていただきました。

お客様の「価値創造」を支援するノウハウとテクノロジー

Nongfu Spring社のようにPOSデータや商品輸送費レポートという「超」大規模データを対象に、個々のお客様ごとのレベルまで考慮した施策を実現するという目的の達成に当たっては、業務ノウハウや実際の課金アプリケーション、さらに高速処理テクノロジーなど多岐にわたる要素があり、これらの要件をトータルに満たすことができるソリューションベンダーは多くありません。SAPは、長年培ってきたノウハウやテクノロジーの裏付けを背景に、これからも「お客様の価値創造」というゴールを支援させていただきます。

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