速いだけじゃない、シンプル化が価値。実例に見るSAPアプリケーション進化


276394_l_srgb_s_gl2011年のリリース以降、SAP HANAはそのインメモリーテクノロジーによる「超高速」なデータ処理能力で注目を集めてきました。SAP HANAの高速性は現在、SAPアプリケーションに適用されており、さまざまな成果が報告されるようになっています。

このブログでは、7月23日に開催されたSAP Forum Osakaで「速いだけじゃない、シンプル化が価値。実例に見るSAPアプリケーション進化」と題して行われたSAPジャパン IVE&ソリューション本部の鈴木章二による講演内容から、SAP HANAがSAPアプリケーションをどう変革しているか、その実態についてレポートしてみたいと思います。

業務系アプリケーション領域における可視化の課題

出荷から3年が経過したSAP HANAですが、2013年からはこのSAP HANAの技術をいかにしてSAPアプリケーションに融合させていくかという取り組みが開始されています。MRPに代表される実行時間の長いトランザクション処理を、アプリケーションではなくSAP HANAデータベースサーバー側で実行することで、大幅に短縮するという考え方です。この考えに基づき提供されたのが、今回紹介する「SAP Business Suite powered by SAP HANA」(通称SOH)であると鈴木は話します。この取り組みが顧客企業に好意的に捉えられたことは、すでにSOHのユーザーがグローバルで1,000社を超えた事実を見ても明らかです。この背景をさらに深堀するため、鈴木は以下に示す「アプリケーションプラットフォームとインフォメーションプラットフォームの融合の必要性」を使って、現状の企業システムが抱える課題について説明しました。

アプリケーションプラットフォームとインフォメーションプラットフォームの融合

現状のビジネス情報で可視化が進んでいない領域をお客様に確認したところ、図の左側、アプリケーションプラットフォーム(業務系)の部分であるという回答が非常に多かったと鈴木は話します。この領域において、日次の実績と週次計画との対比、さらに年次計画との対比などをリアルタイムで実現し、意思決定できるような仕組みが欲しいとの要望が多く聞かれます。そのためには、現状進行しているビジネス情報が逐一反映され、その上でサマリー情報として確認できる必要があります。このように大きな計画から日次のビジネスの進捗まで一気通貫で捉えられる仕組みが求められているのです。一方、右側のインフォメーションプラットフォーム(情報系)では、これら業務処理の結果を逐一レポーティングし、また、見やすく分析できるようにします。

ビジネスが拡大するにつれ、ループはそれぞれ大きくなります。この可視化におけるジレンマは、2つのループをつないだ一連の仕組みがタイムリーに実現できないという点でした。これまでのシステムアプローチでは、業務系で積算されたデータをバッチ処理などで情報系に引き渡すというもので、最新の情報をリアルタイムに参照できないだけでなく、集計した値から日々の明細データまで即座にさかのぼって確認することも困難でした。そして、SAPがSAP Business Suite powered by SAP HANA(SOH)のリリースにいたった着想は、まさにここにあります。この2つのループを融合し、可視化するまでのリードタイムを極小化、意思決定やその結果の反映までの時間を短縮することができるのです。

可視化に必要なリードタイムを極小化

ここで鈴木は、SAP Business SuiteとSAP HANAが融合した場合とそうでない場合を比較した上記の図を示し、その違いを説明しました。SAP HANAが無い左図の場合、業務データの処理を行うオンライントランザクションプロセス(OLTP)と、それを基に別のデータベースにコピーし、分析レポートを作成するOLAPの2つがあり、この間をバッチ処理でつなぐため、リアルタイム性を確保できないという課題がありました。

SAP Business SuiteとSAP HANAが融合したSAP Business Suite powered by SAP HANAでは、OLTPとOLAPのプロセスが、1つのデータベースの中でコピーする必要なく実行できるという点が大きく異なっています。これによって、バッチ処理が不要になり、オンライントランザクション側で発生した内容を、リアルタイムで分析できるようになります。また、1つのデータベースであるという特性を最大限に活かし、年次、月次、週次などのサマリーデータから、すぐさま日次の明細データまでさかのった確認ができるなど、情報分析の精度とスピードが大幅に向上します。

ユーザーインターフェースの進化:SAP Fiori

最後に鈴木は、SOHと連携するユーザーインターフェース(UI)の進化について触れ、新たなユーザーインターフェースであるSAP Fioriを紹介しました。これまでも多くのSAPユーザーから、トランザクション処理とレポーティング処理を一貫した流れで捉え、他システムの情報までを含め、目の前で可視化しながら処理を進めたいとの要望が寄せられてきました。このような要件に応えるのが、SAPが新たにリリースしたUIアプリケーションSAP Fioriです。SAP HANAと連携して大きな効果をもたらすSAP Fioriのメリットについて、鈴木は以下の図を示しながら解説しました。

SAP Fiori ラウンチパッドによるユーザーへのシングルエントリーポイントの提供

SAP Fioriでは、ラウンチパッドと呼ばれる表示形式によって、ユーザーが必要とする複数の画面を一元化して参照することができます。検索やコラボレーション、通知などの情報も同画面上から実施することができ、生産性を向上するとともに、ユーザーが思考を停止することなく、必要な作業を実施できるよう支援します。

SAPでは、既存を含め今度発表されるSAPアプリケーションすべてについて、SAP Fioriを標準画面とすることを決定しています。SAP Fioriは無償で提供(ダウンロード)されるため、手軽に試すことが可能になっています。仕組みの上では、UI5、いわゆるHTMLファイルとJavaScriptを組み合わせたSAPの画面技術を使っているため、簡単にオリジナルの画面を作ることができます。

すでにSAP Fioriを導入してさまざまな成果を上げているグローバル食品飲料メーカーであるネスレ社では、エンドユーザーの86%が「操作が簡単で直観的に使える」、また82%が「明らかに使いやすくなった」と、ユーザーから高い評価を受けています。

鈴木の講演内容を通じて、SAP Business Suite powered by SAP HANA(SOH)とSAP Fioriの概要をご紹介してきましたが、この記事ではSAP HANAの超高速処理がもたらす成果をビジネスアプリケーションに適用することの意義。そして、その操作性を格段に向上する新たなUIとしてのSAP Fioriの位置付けについてご理解いただければ幸いです。

なお、SOH+Fioriによって、各アプリケーションがどのように操作できるようになるのかを紹介したオンラインデモが提供されています。ご興味のある方は、ぜひ下記のリンクからデモをご覧ください。(画像をクリックください)

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