店舗営業のモバイル活用を促進したユニリーバ社


Female shopper with digital tablet in supermarketこんにちは、SAPジャパンの井口です。6月に米国フロリダ州のオーランドで開催されたSAP最大の年次カンファレンス「SAPPHIRE NOW」のセッションでは、モバイルを活用した最新事例が多数発表されました。今回は、食品や洗剤などで世界的なシェアを誇るグローバル企業、ユニリーバ社の事例です。コンシューマー向け製品メーカーの視点から取り組んだ、販売現場の支援と活性化のためのモバイルソリューションと、その成功の理由を見ていきましょう。

追求した「現場目線」

年間約500億ユーロの売上(2013年)と14のブランド、そして世界に20億人のユーザーを持つユニリーバ社。同社が導入したSAP のモバイルプラットフォームは、「現場目線」を徹底的に追求し開発、運用されています。

セッションの冒頭、SAP のパートナーであり、今回のプロジェクトのコンサルタントとして活躍したインフォシスのジェレミー・ミルワード氏は、現在起こっている世界的なトレンドとして、大きく以下の2つを指摘しました。

  1. モビリティ:ビジネスプロセスの合理化と、売上・収益の拡大を目標に、自社のコアとなるビジネス機能の一部をモバイル環境に展開していくこと。
  2. エクスペリエンス:店舗を訪れたお客様に、モバイルテクノロジーを活用して、優れたエクスペリエンス=商品訴求力を提供すること。

「一般に市場を動かす力としては『eコマースの拡大』や『購買行動の変化』など、さまざまな外的要因が指摘されていますが、本当のダイナミクスは店舗内にこそあります。そこで、いかにモビリティを日々の営業現場に活用し、店舗内のお客様に優れたエクスペリエンスを提供できるのか。たとえば『シャンプーをどのタイミングで、どんな棚割りで配置するのがもっとも効果的か』といったことがテーマになってきます」(ミルワード氏)

6つの「P」を標準化する

今回のプロジェクトは「パーフェクト・ストア・プログラム」と呼ばれ、売り場づくりにおける6P(Proposition, Product, Place, Pack, Price, Promotion=提案、製品、場所、容器、価格、プロモーション)の標準化を主眼に進められました。この6Pが従来は地域や市場ごとにまちまちだったのを、モバイルを活用する取り組みを通じて、グローバルの業務プロセスを標準化し、現場力強化のための基盤を整備することを目標に据えました。

この取り組みにあたっては、「パーフェクト・ストア・プログラム」を実際の業務プロセスやツールに落とし込んでいく際に、いかに一貫性を保ちながらグローバルに展開していくかという課題がありました。

ミルワード氏は、「『ユーザーの期待値』を最適にコントロールするには、単にiPadで使えればよいといった考えではなく、eコマースのシステムそのものから十分に練り上げていかなくてはなりません」と語り、さらに国や地域のビジネスモデルや業務プロセスに応じた柔軟性も不可欠である点を強調します。

モバイルプラットフォーム選定における2つのポイント

「パーフェクト・ストア・プログラム」に利用するモバイルプラットフォームの選定にあたっては以下の2つにポイントを定めたと、ユニリーバ社 IT ディレクター兼CTOのスティーブン・グラント氏は明かします。

①    グローバルで長期サポートが保証されたプラットフォーム
グローバルに展開できる共通の機能性や拡張性を備えた、スケーラブルなモバイルプラットフォームであること。さらに、将来にわたるサポートが保証され、長期的な投資保護が約束された製品であること。

②    変更や改善要求に対してアジリティに優れた製品&SIベンダー
日々発生する機能変更や機能拡張要求に、迅速に対応できる製品およびSIベンダーであること。

「SAPには大規模なR&D組織があり、機能サポートや市場変化への対応能力を備えています。SIに関しても、当社が既に持っているグローバルマーケットや新規開拓市場を支援するに十分なリソースがあります。また当社では、既にCRMバックエンドやSAPモバイルプラットフォームを利用しており、今回もSAPを採用したのは極めて自然な選択でした」(グラント氏)

ユーザーの業務をよりシンプルにする使いやすさ

今回ユニリーバ社に採用されたのは、SAP Retail Executionと呼ばれる小売業の販売活動支援ソリューションです。SAP CRMをベースとするSAP Retail Executionは、営業スタッフはスマートフォンやタブレットなどクライアント端末の簡単な操作だけで、店舗訪問の調整や監査およびサーベイの実行、棚割りの確認などを実行できます。

「ソリューション選定では、いかにユーザーが喜ぶものを提供できるかを重視しました。SAP Retail Executionのユーザーインターフェースは非常に優れており、ワンクリックで複数の処理をシームレスに実行できる結果、営業担当者はこれまでに比べてはるかにシンプルかつ容易に業務を行えるようになりました」(ミルワード氏)

また、SAP Retail Executionは個々のローカルな要件に合わせたカスタマイズも可能であり、SAP Fioriや他のさまざまなアプリケーションと組み合わせることで、既存のシステム資産を活用できるといったスケーラビリティにも優れています。

すでに世界で約2,000ユーザーが稼動中

SAP Retail Executionによって構築された今回の新システムは、ユニリーバ社全体の営業活動のプラットフォームとして複数の国や地域ですでに稼動を開始しており、業務に大きな変革と改善をもたらしています。

「これだけのプラットフォームを構築するのは容易ではありませんでしたが、すでに世界各国で約2,000ユーザーが稼動しています。モバイルプラットフォームのデータセンターはイギリスで集中管理しており、グローバルにパフォーマンスを見ることができます。モバイルの同期化処理は既存の他のソリューションと比べてもはるかに優れており、1ユーザーあたりのインシデントも3分の1程度で、柔軟性も生産性も非常に高いのが特長です」(グラント氏)

今回のユニリーバ社の事例では、モバイルソリューションの導入にはグローバル化や標準化といったマクロな視点と同時に、現場の実情に即したミクロの要件が非常に重要であること。その実装に当たっては、ユーザーとSIベンダー双方の信頼関係と密接な協業が大きな役割を果たすことがお分かりいただけたと思います。さらに詳細なプロジェクトやSAP Retail Executionの情報をご希望の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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