オンプレミスとクラウドの連携――第5回:経理部門における仕入先請求書処理を効率化するには


276434_l_srgb_s_glこんにちは、SAPジャパンの下村です。昨今、企業のグローバル化や海外企業のM&Aが盛んに行われ、ビジネススピードが加速しています。ビジネスの拡大に伴い、バックオフィスでは処理するトランザクションが増加するため、業務の効率化とスピードアップはとりわけ大きな課題です。また、限られたリソースで品質を守りながら業務を行うには人海戦術では限界があり、請求書や領収書など紙文化の残る経理業務の効率化は頭を悩ますところでもあります。

そこで今回は、まだまだ紙文化が残る日本で、経理部門の証憑書類の取り扱い、特に仕入先請求書処理の効率化に焦点をあてたIT活用についてご紹介します。

紙ベースの証憑を電子化

経理業務の中でもっとも人手を要するのは、請求書や領収書といった証憑類、いわゆる紙ベースの書類の処理です。紙の書類は持ち運びや受け渡しに人手を要するうえ、計算・記入の間違いや破損・紛失といったミスやトラブルも避けられません。それでいて人間による作業ですから、当然コストは高止まりです。最近では、悪意を持った第三者による持ち出しや書き換えなど、情報セキュリティの懸念も拭えません。

こうした紙ベースの証憑を半自動的に電子化し、ワークフローによる承認プロセスの標準化やチェックルールの指定による人的ミスの根絶により、作業の効率化と内部統制強化を実現するのが「SAP Invoice Management by OpenText(以下、SAP Invoice Management)」です。

請求書処理業務の効率化

SAP Invoice Managementが提供する価値には、大きく以下2点があります。

  1. 作業効率化によるコスト削減
    SAP Invoice Managementは、仕入先から送られてきた紙ベースの証憑書類をスキャン&OCR機能を使って電子データ化。さらにこれをSAP ERPのFI(財務会計)の伝票に紐づけた上で、伝票への入力を自動化して作業の省力化を実現します。
  2. コンプライアンス強化
    SAP Invoice Managementには、不正検知や伝票の整合性検知に利用するロジックのテンプレートやワークフローが標準で提供されています。これらを活用して正確性や不正チェックを実施し、内部統制の強化を実現します。

図1は一般的な支払い処理の業務プロセスを示しています。SAP Invoice Managementは紙ベースの請求書の取り込みから伝票起票、チェック、承認完了までの作業を効率化します。

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図1:支払い処理の業務プロセスを効率化

ここからは、支払い処理業務がプロセスごとにどう変わるかについて解説していきます。

処理の受付、請求書認識

仕入れ先から紙の請求書が送られてくると、まず手入力による「支払伝票登録」が必要となります。この部分を自動化することで、経理担当者は確認作業に注力できるようになり、省力化とコンプライアンスを強化することができます。

証憑原本(紙の請求書)のフォームをあらかじめ登録しておくことで、スキャンされた請求書データはOCRエンジンにより文字認識され、請求書上の文字とSAPの項目をマッピングし、自動的に支払伝票の起票・登録を行います。

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図2:OCR処理で文字認識された証憑は、SAP ERPにデータを転送して半自動的に伝票起票を実行

請求書照合、請求書チェック

起票・登録された請求書伝票は、経理部の承認を受けて支払いプロセスに進みます。当然ながら、承認の前には伝票の正確性、取引の正当性、不正チェックが必要です。このプロセスが、「請求書照合」や「請求書チェック」です。この部分の効率化とミスの排除をSAP Invoice Managementによって実現するのが、コンプライアンス強化のポイントです。

SAP Invoice Management では、例外チェックや後続処理のテンプレートを200種類ほど標準で提供しており、OCR処理による文字認識が完了すると、SAP Invoice Managementを使った重複、金額差異などの例外チェックが自動的に実行され、問題がある伝票に対してはアラートを発して、確認漏れなどを未然に防止します。

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図3:例外チェックを自動的に行い、問題がある伝票に対してはアラートを発信

ここまでのチェック、そして承認行為が問題なく完了されれば、後はFI機能による支払い処理に進むことができます。

調達から支払いまで一気通貫

SAP Invoice Managementは、集中購買を実現するクラウド型の調達ソリューションであるAribaネットワークとの連携も可能です。Aribaの多くは請求書をデータとして持っているので、紙の請求書をスキャンすることなく、AribaからSAP ERPへ請求書データを取り込むことができます。このためスキャンした請求書データよりも高い精度でデータ取り込みを行い、ワークフローの自動処理につなげることができます。

Aribaのユーザーにとっても大きなメリットがあります。Aribaのユーザーは、グローバルネットワークに登録されたサプライヤーから企業の発注~購買までを一括集中管理しコストを削減します。

しかし、せっかく調達業務を効率化しても、請求書処理が依然として手作業として残っていては効果が半減してしまいます。SAP Invoice Managementを組み合わせることで、購買から支払い処理まで一気通貫で自動化され、業務プロセスを効率化できます。M&Aなどでビジネスを拡大する際の経理業務量の増加に対応するためにも、こうした自動化への取り組みは非常に有効です。

SAP Invoice Managementを活用することで、データ入力の工数が約半分になり、年間にして約40%もの費用削減に貢献した事例もあります。こうした結果よりSAP Invoice Managementを活用することで大きな業務効率化と生産性アップに貢献することがお分かりいただけると思います。

現在のところ日本では、まだまだ紙文化、手作業中心の業務が多く残っています。これらの業務をITで効率化することで、そこから生まれた作業時間の余裕を、本来の業務やより高度な業務に活用することができます。

Aribaに関しては、SAPブログのバックナンバーで、導入事例を含めてくわしくご紹介していますので、ぜひご覧ください。

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紙ベースの請求書の処理能力を大幅に向上、ノータッチ処理率を高めるユニリーバとTSC
AribaとSAP Invoice Managementを組み合わせて紙ベースの請求書の処理能力を大幅に強化し、ノータッチ処理率を向上。記事中では、SAP Invoice Managementは「SAP Vender Invoice Management by OpenText(略称 VIM)」の名称になっている。

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