目指せ!グローバルエクセレントユニバーシティ~大学におけるIT活用最前線――第3回:グローバル人材育成を大学はどう行うか


Students sitting listening to the teacherSAPジャパンの新村です。3回シリーズでお届けしてきました「目指せ!グローバルエクセレントユニバーシティ~大学におけるIT活用最前線」の最終回です。第1回第2回では、それぞれ大学のエクセレント化に向けたIT活用として、「学生情報管理システム」と「エンロールマネージメント」についてお話をしました。これらは、いわば国際競争力向上のための経営基盤整備という観点からのIT活用です。今回はそれらを受けて、「グローバル人材育成」という、もうひとつの課題に迫りたいと思います。企業はグローバル化を目指してグローバル人材の育成や獲得を目標にしており、大学にもグローバル人材養成への期待が高まっていますが、その一方で、当の学生たちは内向き志向を強めているとも言われます。そうした中、大学としてどのようなアプローチがとれるのか、またその際にITをどう活用できるのかについて、今回はお伝えしていきたいと思います。

どうなる、日本のグローバル化?

文部科学省の施策では、グローバル人材の育成強化策として2020年までに現在の日本人留学生の数を倍増させる計画を掲げています。一方で、ご存知のように日本人留学生の数は、この10年ほど減少傾向が続いています(グラフ参照)。グローバル大競争の時代の中で、日本の学生のグローバル志向の弱さは、日本の国際競争力の低下につながりかねないとして危機感が強まっています。

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企業においても、海外企業の買収などでグローバル化を強力に推進する例も増えています。武田薬品工業のように組織の日本人比率を数年のうちに70%程度から30%程度にまで下げるといった例や、社内の共通言語を英語にするといった、変化を積極的に起こす手段をとる企業もあります。それでも、必要なグローバル人材は不足しており、人事管理のあり方のグローバルスタンダードへの転換、グローバル共通での人事評価基準設定、国籍を超えた人材発掘・後継者管理などが大きな課題となっています。

この課題に大学が応えるとすれば、「多国籍な大学の日本進出」「日本発でグローバルに展開する大学グループの出現」「海外の大学との戦略的業務提携によるディプロマポリシー、カリキュラムポリシー、アドミッションポリシーの統合、そしてグローバルスタンダード化」といった動きが起こるかもしれません。それに伴い、日本人学生だけを対象にサービスを提供すればよかった時代から、世界中の学生を対象にサービス提供を行うようになります。また、海外の提携先大学から継続的に送り出される外国人留学生と留学候補生を対象に、国を超えた学生サービスを提供する、といった取り組みも出てくるでしょう。それも留学期間中の一過性の関係にとどまらず、帰国後にも関係が継続できるようなITシステムが必要になってくると思われます。

企業のタレントマネージメントの仕組みを学生育成支援に

いずれにせよ、グローバル化の波は止められません。そのような中で今後、大学がグローバル人材を育成していくためにはどうすればよいでしょうか。ここでも、求められるのは「きめ細やかさ」です。現在の学生の中から留学意欲の高い人物を発掘し、積極支援を行っていくことが必要となるでしょう。そして、個々の留学目的や到達目標、現在のコミュニケーション能力、前提となるカリキュラムの受講状況、習熟度が満たない場合の対応策などを明確にし、本人に対する動機づけ、方向づけをしていく取り組みが求められます。

そして、留学期間が始まってからも、個々の学生との定期的なコミュニケーションをとって、就学状況や困ったことが発生していないかをこまめに把握していくことで教育効果を高め、留学の成果が確実に上がるような仕組みが必要になるでしょう。

グローバル人材育成に限らず、教育には時間がかかることは言うまでもありません。留学生一人ひとりの成長の歩みを関係者で共有し、成功や喜びの体験だけでなく挫折や苦労の経験を含めて次に続く学生に対して活かせる形で記録を残していくことが、グローバルエクセレントユニバーシティへと向かう上で重要な取り組みであると考えます。そしてこれら一連の仕組みを、ITを活用して実践していくことが必要です。

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留学準備から留学中の学生をケアサポートし、グローバル人材を効果的に 育成するためのソリューション

SAPではSuccessFactors という人材管理・タレントマネージメントソリューションを、多言語対応したうえでクラウドサービスとして提供しています。もともとは企業の人材管理のために開発したシステムですが、学生の育成支援にも利用することができます。また、第1回第2回でお話しした学生情報管理システム「学生ライフサイクル管理(Student Lifecycle Management)」も活用できます。

SAPが提供するグローバル人材育成支援プログラム

最後に、SAPが大学に対して提供している人材育成支援プログラムとして、SAPユニバーシティアライアンスプログラムとラーニングハブについて紹介します。

SAPユニバーシティアライアンスプログラム

SAPユニバーシティアライアンスプログラムは、アカデミックかつプロフェッショナルな知識とスキルを高めるため、学生や教授の皆様にSAPのビジネスソフトウェアを利用していただくサービスです。

このプログラムを通じて、グローバル企業が実践する経営管理への理解を深め、ITがどのように経営に活かされているのかを習得していただくことを目的にしています。すでにこのプログラムは、グローバルで1200を超える高等教育機関において活用されており、「Certified Business Associate with SAP ERP」の認定を取得した学生の数は数千名に上ります。

ラーニングハブ

学生版SAP ラーニングハブは、会社の仕組みや最新のテクノロジーなど、SAP認定資格につながる学習コンテンツを大学生向けに厳選してオンラインで提供する有償のMOOC (Massive Open Online Course)形式の教育サービスです。コンテンツ数は約150(英語)で、そのうち約70の日本語コンテンツが含まれます。

ポイントは、このコンテンツでの学習を通じて、会社を構成する「ヒト」「モノ」「カネ」の流れを知ることができる点です。ユニバーシティアライアンスが、大学の授業の素材としてSAPのソフトウェアを無償提供するのに対して、こちらは低価格で学生が自学自習するオンライン教材を提供するものとなります。

SAPユニバーシティアライアンスプログラムにおいても、SAPラーニングハブにおいても、コースの履修成果として世界で通用するSAP認定資格を取得していただくことで、グローバル企業への就職機会の拡大につながることが、受講される学生にとってのメリットとなります。また、大学としては、実社会のビジネスニーズの変化に即したカリキュラムが提供できることを通じて、他の大学に対する教育サービスの差別化が実現できます。第1回で、大学は社会変化への対応力に課題があるということを述べましたが、そうした課題の解決策あるいは社会からの要望に応える方策として、このようなプログラム、ツールのご利用も一案ではないかと思います。

以上、3回にわたり「目指せ!グローバルエクセレントユニバーシティ~大学におけるIT活用最前線」と題して、グローバル化・国際競争力向上のための、大学におけるIT活用についてお話をしてきました。第1回では、大学運営の基礎インフラとして、学生情報管理システムの必要性を訴えました。第2回では、その基礎インフラを活用して教育の付加価値や学生の満足度の向上に寄与するエンロールマネージメントの有用性について述べました。そして最終回である今回は、大学でのグローバル人材育成のために利用できるプログラムやツールについて説明しました。このシリーズでお伝えしたいずれの方向性においても、SAPは海外の大学で多くの実績を有しています。日本の大学、あるいは関連する教育機関のグローバル化推進のお役に立てるよう、今後も活動を続けてまいります。

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