SAP MIIによる経営と製造現場の垂直・水平統合の実現


フランスの著名な作家サン=テグジュペリは彼の代表作である『星の王子様』の中で「大切なものは目に見えない」という有名な一文を残しています。しかし、グローバルに展開する製造業においては、各国各工場の可視化こそがグローバルでの競争に打ち勝つ最も大切な施策の一つと言えるでしょう。

読者の皆様、いかがお過ごしでしょうか?「大切なものは目に見えない」さすらいの会社員 、SAPジャパン朝井です。今回のブログでは、弊社の製造現場ソリューションの一つであるSAP MIIについて見ていきたいと思います。

SAP MIIとは

Man working in television studio control room, rear viewMIIはManufacturing Integration & Intelligenceの略で、その名の通り、大きな機能としてIntegration(統合)とIntelligence(可視化)の2つの機能を有しています。

まず、Integrationに関してですが、製造現場との統合ということで、さまざまな現場機器(PLCやDCS、Historian、SCADA、検査装置など)やMES、各種データベースとの接続が可能です。そして、接続した現場機器から収集した情報を可視化の機能によって、見やすい形にし、製造現場における意思決定に役立てることができます。

代表的なものでは、KPIとしては製造リードタイムや歩留、工程進捗状況、設備稼働率と言ったものが挙げられますが、MIIではこれらのKPIに関する情報をリアルタイムで現場から収集し可視化することで、製造現場がより迅速に必要なアクションをとれるように促すことができます。このことにより、歩留の向上やリードタイムの短縮、設備稼働率の向上といったメリットが見込めます。

また、現状を確認するだけでなく、MIIはSPC分析の機能も標準機能として備えており、アラート機能と合わせて、何か問題が起きてから対処するのではなく、問題が起きそうな予兆を捉えてプロアクティブに打ち手を打ち、問題を未然に防ぐ確率を高める効用も期待できます。

ここまでで挙げた機能はよくある製造現場の可視化ツールでも見られる機能だと思います。ここからはSAP MIIの優位性について2つの視点から確認していきたいと思います。

SAP MIIの優位性1:SAP ERPとの標準連携による垂直統合の実現

1つ目はSAP ERPとの標準連携による、製造現場から経営までの垂直統合を実現できるという点にあります。製造現場の可視化においてERPの情報がどれだけ役に立つのか疑問の声もあるかと思いますが、実際にはさまざまな効果が考えられます。

たとえば歩留比較。ERP側にある標準歩留と製造現場からの実際歩留を比較した際に、もし実際歩留が標準歩留よりも大幅に数値が良かったとしたらどのような問題が起こるでしょうか?標準歩留は実際の歩留より悪く想定されているので、MRPで所要量計画を回した際には、実際に必要な数量よりも多くの部材が割り当てられたり、必要以上のキャパシティが割り当てられる可能性が高くなります。そうなると、部材在庫の維持コストが高くなったり、キャパシティの余剰による現場でのアイドルタイムが発生したりします。

逆の場合はどうでしょう。もし実際の歩留が標準の歩留よりも大幅に悪かった場合には、部材が足りなくなったり製造キャパシティが足りなくなり、お客様への納期遅延などの問題が発生することになります。同様のことが、リードタイムや設備稼働に関しても言えると思います。このように、ERP側の情報と製造現場の情報を垂直統合し可視化することで、問題の発生を未然に防ぎ、製造現場の最適化を図ることができるようになります。

SAP MIIの優位性2:拠点間連携による水平統合の実現

2つ目の優位性は、複数拠点の水平統合を実現できる点にあります。これは複数の工場を同じKPIを用いて横串で比較することです。では、これによって得られるメリットはなんでしょうか?まずは工場のキャパシティの使用率や設備稼働率で考えてみましょう。これらを横串で比較することによって、稼働率の高い工場や低い工場を認識し負荷の平準化を図ったり、緊急の増産依頼が入った際には、負荷の低い工場に割り当てていくといったアクションが可能となります。

次に歩留の比較で考えてみましょう。同じ製品を作っている各工場の歩留を比較することで、もし、歩留に大きな開きがあった際には、その原因分析を行い、ノウハウを展開することで歩留の向上やグローバルの製造標準化を実現することができるようになります。この時に弊社のSAP Manufacturing Executionのような製造現場管理ソフトウェアを活用することによって、そのノウハウをテンプレート化でき、より確実なグローバル標準化が可能となります。また、同一のシステムで同一の基準で測られるKPIの標準化も、グローバルの標準化にとって重要な要素となると言えるでしょう。

ご覧いただいたように、SAP MIIを活用して経営と現場の垂直統合と、拠点間の水平統合を実現することで、製造現場にさまざまなメリットをもたらすことが可能となります。次回は弊社のもう一つの製造現場ソリューションであるSAP Manufacturing Executionについて見ていきたいと思います。