未来を変革するために。業務部門の競争優位戦略を考え直す


10月7日に東京コンベンションホール京橋で開催された「SAP All Cloud Connect 業務部門がリードする経営改革フォーラム」は、経営企画。人事・購買・マーケティング・経理・ITなどの業務部門のリーダーの皆様にご参加いただき、大好評のうちに終了しました。今回のブログでは、このたび来日したVice President Strategy Cloud Solutions, SAP SEのスベン・デネケンによる基調講演「未来を変革するために。業務部門の競争優位戦略を考え直す」の内容を紹介します。

アナログのコピーは真のデジタル変革ではない

スベンデネケンデネケンのSAPでの大きな役割の1つに、「コ・イノベーション」の取り組みがあります。これは、企業が抱える課題の解決を目指し、お客様とSAPが共同でソリューションを設計・構築していくものです。デネケンは本講演で、自らが携わったコ・イノベーションの具体的な成功例を交えながら、今日の世界で起きている目まぐるしい変化をどのようにアドバンテージに変換していくかについて語りました。

デネケンは講演の冒頭で、テクノロジーの進化とともに人々の生活が急速に変わっていることを指摘しました。インターネットやソーシャルネットワークなどから情報を手にするようになった消費者の行動には変化が見られ、企業や商品に対するロイヤルティが低下しています。結果、多くの顧客がよりよいサービスを求めて意欲的に新しいブランドを試すようになりました。

デネケンは、「5年前に企業が行っていた多くのことを、今では個人が簡単にできるようになりました。破壊的ともいえるテクノロジーの時代です。私たちは自分自身が破壊されてしまう前に、この変化に対応していかなければなりません」と語り、企業側も業務部門とIT部門が一丸となってデジタル変革を遂げていく必要があると力説しました。

ビジネスのデジタル化は確かに進んでいます。ここでデネケンが強調するのは、ただ単に技術的にデジタル化することは真のデジタル変革ではないという点です。「なぜ社員は依然として勤務時間の多くをメール管理や内部情報を探すことに費やし、営業担当者は一日の大半を“売ること”以外のために費やしているのでしょうか。働き方や売り方が改善されないのは、単にアナログの世界をコピーしたに過ぎないからと考えられます。これは変革でもイノベーションでもありません」(デネケン)

顧客の行動への変化

イノベーションこそが変革をもたらすゲームチェンジャー

デネケンがいうように、多くの企業は真のデジタル変革を思うように進めることができていないようです。その要因として、①すぐに変わってしまう社内プロセス、②分断化している社内システム、③サイロ化しているデータ、④分散化している専門知識の4つをデネケンは指摘します。では、ビジネスに真の変革をもたらすソリューションとはいったいどのようなものなのでしょうか。考慮すべき条件として、デネケンは以下の3点を挙げます。

  1. 自らのニーズに対し、リアルタイムで適応できる柔軟性があるかどうか。
  2. 自分の業務や役割のために設計されたシステムであるかどうか。
  3. 社内外の他のシステムに接続することができるかどうか。

これらの3つの要素は、SAPのソリューションの設計原則にもなっています。私たちはこれを「クラウド・クオリティ」と呼んでいます。人々の生活が急速に変化するなかで、企業のデジタル変革にもスピードが求められます。そこで有効な手段となるのが、俊敏性のあるクラウドの活用です。「短時間でソリューションを開発でき、既存のシステムを柔軟に拡張できることはクラウドの大きな強みといえるでしょう。イノベーションの繰り返しこそが、真の変革をもたらすゲームチェンジャーとなります」(デネケン)

真の変革のためにこのように、クラウドの魅力は迅速なイノベーションを実現できる点にあり、そのソリューションはビジネスを進化させる後押しになります。デネケンのこれまでのコ・イノベーションの経験に基づけば、企業は他社と差別化を図りたい分野でクラウドを活用している、とのことです。

一方で、SAPが提案する戦略はクラウドに限るものではありません。なぜなら、エンドユーザーはデータがどこからきているかということを気にしていないからです。仮に、オンプレミスがよければそこで差別化し、投資を続けてもよいわけです。「企業にとって重要なのはプロダクトやテクノロジーの中身ではなく、ビジネスにどのような価値をもたらすか、どのような成果を実現するか、という点に尽きます」とデネケンは強調しています。

企業ごとに異なる課題に対応するため、SAPはクラウドとオンプレミスの最適な組み合わせを採用することに注力します。「お客様の成功を最初に定義することが、私たちのスタートポイントになっています。それぞれの状況やタイミングに合わせたアプローチを行い、最終的には単一のプラットフォーム上でソリューションを実現します」(デネケン)

ビジネスの成功を実現するコ・イノベーション

ここでデネケンは、コ・イノベーションを通じてデジタル変革を遂げた3社の事例を紹介しました。

1社目は、世界でホテルビジネスを展開する「マリオット・インターナショナル」です。「マリオットは数多くの異なるホテルブランドを持っています。彼らは、それらのホテルが互いに協業し、顧客のエンゲージメントを向上させることを目指していました。それを阻んでいたのはホテルチェーンごとにサイロ化されたデータです。情報システムの連携がとれず、それぞれが孤立してしまっていました。そこで私たちは、既存のシステムやデータを活かしつつ、世界中のホテルの情報を統合させるソリューションを設計しました。単一のプラットフォームにすべての情報を集約することで、異なるホテル同士のコラボレーションを容易に実現することが可能になりました」(デネケン)

2社目は、エスプレッソマシンやエスプレッソカプセルコーヒー、その他関連商品の販売を手がける「ネスレネスプレッソ」です。「彼らは新しいビジネスを開始するにあたり、一人ひとりの個人にマーケティングを行う“セグメント・ワン”の実現を目指しました。オンラインや実店舗などあらゆる販売チャネルで顧客と接点を持ちたいと考えたのです。そして、その成果を親会社である「ネスレ」と共有する必要がありました。ネスレの既存のシステムとの連携・統合が最大の課題でしたが、クラウドを活用することで、事業のスタートを遅らせることなく迅速にソリューションを提供することができました。安定的なビジネスのプラットフォームを構築した好例といえます」(デネケン)

3社目は、米国の携帯電話事業社である「Tモバイル」です。「Tモバイルは米国全土で8つのクラウドシステムを抱えており、それぞれ異なるベンダーがシステムの管理を行っていました。データが分断化されているため、一人の顧客が西海岸から東海岸に移動したときには、システム上、二人としてカウントされてしまう状況だったのです。このケースでは、8つのクラウドシステムをSAPの1つのクラウドに統合することで全国の顧客管理を可能にしたのはもちろんのこと、サプライヤーの管理も同時に行えるようにしました。適切なマーケティングの実施だけでなく、企業ブランドの向上にもつながるシステムを実現することができたと思います」(デネケン)

複雑化する世界で物事をシンプルに

企業がデジタル変革を通じてビジネスの成功を達成するためには、業務部門とIT部門の密な連携が欠かせない、とデネケンは自らの経験を踏まえて話します。「魅力的で拡張性の高いソリューションを求める業務部門に対して、安全性やセキュリティの高さを重視するIT部門――。双方からこのような異なる意見が出てくることはよくあります。IT部門は業務側のニーズを理解する必要がありますし、業務部門はテクノロジーをどのようにビジネスに活かすことができるかについて知識を深めないといけません。重要なのは、お互いが同じビジネスの成果を目指すことです」(デネケン)

クラウドでの成功の秘訣とは_

最後にデネケンは、「複雑化する世界では、物事をシンプルにすることが求められます。そのための人材、技術をSAPは揃えています。世界をよりよくしていくこと、人々の生活を改善していくことを皆さんとともにこれからも追求していきたいと思います」と意気込みを語り、講演を締めくくりました。

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【SAP All Cloud Connect レポート】 未来を変革するために。業務部門の競争優位戦略を考え直す

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