企業と銀行の接続をクラウドで標準化 ~SAP Financial Service Network


「SAP All Cloud Connect 業務部門がリードする経営改革フォーラム」が10月7日に開催されました。経理財務部門向けトラックでは、弊社から3名のスピーカーが経理部門における課題やソリューションに関して講演を行いました。今回はソリューション&イノベーション統括本部 桜本利幸が、SAP Financial Service Networkについて講演した模様をレポートします。

多数の課題が残される銀行とのコミュニケーション

sakuramoto-san一般事業法人と金融機関との間にSAPが入り、クラウドを通じて決済コミュニケーションサービスを提供するというのがSAP Financial Service Network(以降、SAP FSN)の全体像です。 SAP FSNを紹介する前に、まずは企業財務が抱える課題を整理しましょう。ここのところ為替のボラティリティが高い状況が続いています。「グローバルでビジネスを展開されている企業はもとより、輸入が必要な国内型企業においても、大きな為替リスクをはらんでいます。低金利の時代がいつまで続くか分からない、日銀のゼロ金利ベースがいつまで続くか分からないという状況下で、資金を透明化し、金融危機やグローバリゼーションへの備えといったマーケットリスクへの課題が筆頭として上げられます」と桜本は語ります。

ストレートスループロセッシングに代表するように、企業にとって金融機関とのコミュニケーションの質と精度の向上は大きなテーマです。企業にとってはグループ会社が増えれば増えるほど、個々のグループ会社と銀行との契約により、効率が悪くなっているという側面があります。ヨーロッパに代表されるSEPAや国際規格のISO20022といった、資金決済に関するグローバル標準の規制への対処もあるでしょう。そして、今日のフォーラム全体のテーマでありますが、ITそのものが非常にスピードの速い変化を遂げているため、企業と銀行とのコミュニケーションにおいても、新しいテクノロジーをいかに使っていくのかといった課題もあります。キャッシュコンバージョンサイクルや運転資金、運転資本の削減、あるいは銀行との手数料を削減していこうといったコスト削減の問題を含め、多数の課題が残されています。

企業財務における課題SAPがグローバルのCFOを対象にした調査によると、全体の3分の2の企業が銀行とのコミュニケーションが難しいと答えています。そこを解決していくソリューションがSAP FSNです。

SAP FSNは企業と金融機関とを接続し各国の複数銀行とのやり取りをクラウド上で可能にする決済ネットワークです。SAP FSNは新しいソリューションであり、金融機関との契約は発展途上にあります。ただし、SAP FSNに協力するというメッセージをいただいている金融機関は非常に多くありますので、ご安心いただいて結構かと思います」(桜本)

コストと工程を削減するSAP Financial Service Network のメリット

SAP FSNを使うと、企業にどんなメリットがあるのか。1つの例として、コストとご担当者の工数をチャートで比較しました。「企業のシステムと銀行のシステムが、ピアツーピアでつながっている状態だと仮定します。銀行振替や海外送金など、何らかの決済をする際は、SAPの中からデータを出力した上で、A銀行からB銀行に振替をしてくださいとか、B銀行で為替予約をしていたものをA銀行の外貨支払いに充ててくださいといった指図を企業の担当者が取り行わなければなりません。しかも、各銀行によってフォーマットが違うため、それぞれの銀行に合わせデータを変更する必要も生じます。複雑なオペレーションを人の手ですることは、誤謬や不正にもつながり、ストレートスループロセッシングへの大きな障壁となっています」(桜本)

SAP FSNの接続イメージSAP FSNに接続することで2つのメリットが生まれます。まずはコストメリットです。 SAP FSNは、クラウドで提供されているため、安価なランニングコストでサービスをご活用いただくことができます。銀行への決済手数料そのものは変わりませんが、企業とのシステム接続はSAP FSNへ1本になりますので、各銀行とシステムをつなぐためのイニシャルコストとランニングコストがかからなくなります。

もう1つは、担当者の工程を削減できるメリットです。SAP側からデータが出てきたときに、自動的に各銀行のデータが生成されていくのがSAP FSNの特長です。複数の工数が必要なくなるため、ヒューマンエラーが発生しづらく内部統制上のリスクも減っていく。ストレートスループロセッシングの実現で、効率的な資金のオペレーションも可能になります。担当者の作業負荷について、決済プロセスの標準化を推進することも期待されます。「実は、BICコードは銀行ごとに微妙に異なります。SWIFTを使っていたとしても微妙に違うのです。異なる銀行間や国家間のデータフォーマットの差はSAP FSNが吸収します。銀行もIT産業であり技術の進歩で変化しますが、将来的な変化やリスクもSAP FSNが対応します」と桜本は説明します。仮に、子会社の一部でSAPを利用していないケースでも、SAP ERPやSAP Bank Communication Managementというモジュールによって、SAPが提供するクラウドとつなげ、銀行と接続することが可能です。

 SAP Financial Service Networkと連携する付加価値サービスを提供予定

SAP FSNはさまざまな可能性を秘めています。せっかく企業と銀行をつなげるのであれば、将来のキャッシュマネージメント、資金予測や調達計画、あるいはキャッシュコンバージョンサイクルの効率化、グループ会社間でのお金の貸し借りに関する内部照合、サプライチェーンファイナンスあるいは金融商品管理といった付加価値サービスを提供していこうとSAPでは考え、拡張性を検討しています。

SAP FSNの発展的な取り組みとして、キャッシュマネージメントのソリューション事例を紹介します。グループ全体で資金情報を可視化し、地域や通貨ごとの資金偏在を適時に把握して、無駄な借入金の削減や為替コストの最適化、流動性リスクへの対応を機動的に行うことを目指すものです。

たとえば、生産拠点のタイではいつもお金が足りない。対称的にアメリカや日本、ヨーロッパといった販売拠点はお金が余っているという会社があったとします。タイで資金調達するにも、タイバーツは金利が高く、現地調達はもったいない。アメリカは金利が安く運用したらもったいないという状況だったとしましょう。資金の凸凹をならす手前では、やはり資金の余剰や不足を見える化させることがファーストステップです。見える化があって初めて次に、資金移動や銀行からの融資、資本市場からお金を調達する、為替予約をするといった手段を用い、財務取引を統合管理していくというセカンドステップに入るわけです。

「SAPではファーストステップに、ビジネスの戦略的な意思決定に必要なものを集めてくるSAP Business Planning and Consolidationというツールを用い資金管理に応用します。セカンドステップではERPの発展形として、SAP Treasury and Risk ManagementというモジュールやIn―House Cashという、グループ集中決済管理ツールを提供しています」(桜本)

SAP FSNからの発展的取り組み複数の銀行と連携するための多角的サービスであるSAP FSN。グループ資金の動きを迅速に把握し、財務戦略の意思決定や財務リスク管理を行う基盤を提供します。クラウドであるため安価なコストですぐに確実にサービスを享受でき、将来キャッシュポジションの予測や調達計画管理など、SAP FSNと連携が可能な付加価値サービスも、近い将来に提供開始となる予定です。

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SAP All Cloud Connect レポート】グローバル化で待ったなし。次世代の会計基盤

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