ビジネスネットワークによる戦略的調達革新~膨らむ間接材購買の管理戦略


10月7日に開催された「SAP All Cloud Connect 業務部門がリードする経営改革フォーラム」。購買・調達トラックでは、宇部興産株式会社の藤本秀夫氏からご講演いただき、国内100社超のグループ会社を擁し、海外事業も展開する同社の「消耗品の調達合理化」へのグループでの取り組みについてお話しされました。

2000年にスタートした消耗品の調達合理化

宇部藤本様宇部興産株式会社は、山口県宇部の炭田開発組合として1897年に創業。現在、UBEグループは「化成品・樹脂」「医薬」「建設資材」など6事業を展開し、国内はもとより、スペインやタイなど海外17拠点におよびます。創業理念のひとつである「共存同栄」は、消耗品の調達合理化にも生かされました。

同社の消耗品の調達合理化は、2000年7月にSAP社のR/3を導入したことに始まります。それまで、自社システムで単価契約や都度交渉を行っていましたが、インターネットの普及に合わせ、間接材の調達システムも導入することになりました。担当者だった藤本氏は、連携のしやすさからコクヨ株式会社の子会社、株式会社ネットコクヨ(現 株式会社カウネット)が展開していた「べんりねっと」を選択します。「自社でも番号入力だけで発注できるシステムを持っていましたが、長い年月が経つと品目マスターをメンテナンスするのは大変な作業になります。べんりねっとは、サプライヤーから最新の情報が提供され、購買側がメンテナンスしなくていいメリットがありました」と藤本氏は振り返ります。

対象品目拡大のステップ

図1.対象品目拡大のステップ

同社は合理化の第1ステップとして、オフィス用品、事務用品の購入からスタートします。宇部の各工場に納入していた5社にシステム導入をアナウンスして準備に入りました。すべての会社に呼びかけたのは価格の統一とともに、地元販売店の商流を変えないとの前提を掲げていたためです。「購買担当者としての懸念は、競争入札で業者を選別してしまうこと。その対策として当社の依存度を調査し、会社の存続にはかかわらないレベルだとの確証を得たうえで、競争見積もりを取りはじめました」と語ります。一方で、単価の高い物品や作業が伴う工事については都度交渉として取引の道を残し、地元販売店の商流に配慮しながら合理化できるところから進めました。

ステップ2はオフィス用品のなかでも特殊なUBEマークが付与されたファイリング用品や再生トナーなどを、ステップ3では、工場で使用する安全保護具を追加しました。「導入過程で常に頭にあったのは『売る側も儲ける』という考え。システム導入によって販売店の事務作業の短縮につながり、販売店の顧客に対するサービス向上という効果が生まれました」。同社の合理化への取り組みが販売店側の業務改革にも寄与したわけです。ステップ4は、サイト連携の「パンチアウト」です。購買品を充実させるために「オレンジブック」や「アズワン」と連携。ネットで購入できる商材を増やしていきました。

単価10%、処理件数30%の削減を達成

見積もり機能の追加がステップ5です。別に基幹システムを変更するには時間と手間がかかるため、ネット側で完結できるようにしました。これにより、基幹システム側で発注する紙ベースの伝票が大幅に減ったといいます。ステップ6では、バルブ配管材、書籍への対応です。地元宇部の書店とシステムをつなげ、書籍の識別番号であるISDNで検索して発注する仕組みを構築しました。「ステップ6のころまでに単価で約10%、発注処理件数で30%程度削減するとの当初目標がほぼ達成されました。私の仕事も終わりかなと思った矢先にリーマン・ショックが起き、新たな取り組みをはじめることになったのです」と話します。

ステップ7として取り組んだのが、宇部興産でも件数・金額が大きかった試薬の購入でした。劇薬などの管理は在庫情報を定期的に届け出る必要がありますが、当時の仕組みでは、在庫の有無にかかわらず消耗品扱いとして計上されていました。そこで、同社の研究開発部門が独自に開発した在庫管理システムと連携させて一括管理できるようにしたのです。これにより、事務手続きの大幅な簡便化ができました。「当時、少額購買で値段交渉する担当者が4人役相当いましたが、現在は2人役で同じ仕事量ができています。削減された時間は高額の交渉に充てたほか、商材のデータ分析もできるようになりました。これまでの納期優先では、予算から3%程度の値引きが限界でしたが、分析や交渉に時間をかけることで値段の深掘りができるようになりました」と効果を語ります。

従業員一人当たりの作業効率の変化

図2.従業員一人当たりの作業効率の変化

価格以外の「見える化」でグループ会社にもシステム導入

ステップ8は、グループ会社への展開です。同社のグループ会社は150社弱あり、そのなかでも消耗品関連の比率が高い約50社をターゲットにシステムを導入。同じ画面をみながら同じ金額で購入することが可能です。グループとシステムを共有することで、本社の管理も容易になりました。当初、地元販売店との取引が無くなることを理由に導入に消極的なグループ会社も少なくなかったといいます。「システムに参画していた大手販売業者の協力を得て各社ごとに直近2カ月のシミュレーションを行ない、経費が下がることで業績にも大きな影響を与えることを説明して回りました」。べんりねっとの導入により、グループ各社が購入する物品の値段は下がったものの、会社ごとの購買手続きや支払いシステムが異なるという問題が生じます。これに対し本社は、「グループ会社の支払い処理を代行している経理部門やシステム部門と協議し支払い処理を自動化するなど、価格以外のメリットを「見える化」しました。

藤本氏は講演のまとめとして、便利になったゆえの「一物多価」という問題を挙げました。「業者の商流はさまざまで、同じ品でも値段が異なります。商品数が増えると値段を1つひとつコントロールすることは非常に困難です。また、さまざまなサイトをつなぎ過ぎた弊害も出ています。べんりねっとをやめてシンプルなクラウドに変更するといった、より最適な仕組みに入れ替えるということも考えています」と締めくくりました。

購買プロセスの電算化による効果

図3. 購買プロセスの電算化による効果

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【SAP All Cloud Connect レポート】ビジネスネットワークによる戦略的調達革新

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