製造業の「モノ」から「コト」への事業変革。サービス事業の強化の流れ:その⑧ まとめ


SAP桃木です。製造業の「モノ」から「コト」への事業変革。この広いテーマを7回に分けてさまざまな角度から一緒に考えてきましたが、年末ということもあり、今回はこれまでの内容を振り返りながらまとめたいと思います。

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1. なぜ注目されているのか

第1回で取り上げた内容。市場の成長が鈍化する中で、製品販売における売上と利益を高める有効策として注目され、大手製造業の半数以上が「コト」のビジネスに注力している。

注目される理由は主に以下の3点。

①    お客様視点で選ぶ基準、満足の基準としての「サービス」が最重要であるから
②    企業が売上を毎年伸ばしていく際に製品売上が頭打ちになりがちな中、
__「サービス」は売上拡大の余地が大きいから (サービス市場は製品市場の5倍ある)
③    サービス事業の利益率は高いから(サービスの利益率は製品の3倍ある)

実際、大手製造業25社の中期経営計画を見ると、実に15社がサービス事業の強化を謳っている。

コトビジネスの割合

2. 各部門に求められる変化

第2回で取り上げた内容。営業部門やサービス部門だけの話ではなく全社テーマであるという点がポイント。

顧客と接点を持つ営業部門やサービス部門を筆頭に、経理、経営、企画部門、設計開発や物流部門まで含めて、幅広い部門に変化が求められる。「モノ」のビジネスは、設計開発、生産製造部門が競争優位の源泉となることが多いが、「コト」のビジネスは企業一体での総合力が競争優位の鍵となる。

各部門に求められる変化

3. 歯科器具業界に見る「コト」のビジネスの進展状況

第4回で取り上げた内容。たとえば、歯科器具業界では「コト」のビジネスが進んでいる。他業種研究が役立つという点がポイント。

たとえば、歯科器具業界(歯医者さんの診療用の椅子を作っているメーカー。売上300億円~700億円の規模の企業が多い)を考えてみると、各種消耗品の代理販売や、開業支援、開業ローン、診療システムのクラウド提供、「患者さん満足度を高める言葉遣いセミナー」、5年間定期保守、ソフトメンテナンス・プログラムの提供、遠隔保守システムの提供、歯科大学への奨学融資の提供、歯科大学の同窓会への協賛など、幅広い「コト」のビジネスを行っている。歯科器具業界のコトビジネス

4. 「コト」のビジネスをデザインする方法論や理論

第7回で取り上げた内容。「求められるコト」を発見し、それをデザインする方法論。感情レベルまでの深い顧客洞察がポイント。

顧客に提供する「コト」を発見するためのDesign Thinkingという方法論。
それと「コト」をデザインするためのCustomer Experience Managementという理論。
この2つが「コト」のビジネスを設計する際に役立つ理論である。

  1. Sense ―― 顧客にどのような感覚を持ってもらうか
    (安らぐ香りなど、五感)
  2. Feel ―― 顧客にどのような情緒になってもらうか
    (楽しい、熱狂しちゃう、高級感がある、偉くなった気がする、など)
  3. Think ―― 顧客にどのような好奇心を持ってもらい、何を創造してもらうか
    (なんでこうなっているんだろう? コレとコレで私だけの新しいものが作れるかも?)
  4. Act ―― 顧客にどのように体感してもらうか
    (やってみたらおもしろい!など)
  5. Relate ―― 顧客に他者とどのような一体感を感じてもらうか
    (私も憧れのメンバーの一員!など)

5. 求められるITの仕組み

第3回で取り上げた内容。新たなITの仕組みも必要となる。

「コト」ビジネスを支えるITとして、「モノ」ビジネスではあまり焦点があたってこなかった以下の9つの仕組みが求められる。

1.    サービス事業に対応した仕組み
(ア)   サービス事業に対応した品目管理や経理処理の仕組み
(イ)   サービス事業のコスト把握の仕組み
(ウ)   利用量に応じた課金体系やビジネスパートナーへの売上配賦の仕組み

2.    コラボレーションの仕組み
(ア)   情報共有と専門家検索の仕組み
(イ)   ビジネスパートナーとの協業の仕組み
(ウ)   人事評価を柔軟に行う仕組み

3.    顧客対応力を高める仕組み
(ア)   顧客理解を促進する仕組み
(イ)   案件やプロジェクトを管理する仕組み
(ウ)   適切なソリューション提案を促進する仕組み

6. SAPが提供するソフトウェア

第5回第6回で取り上げた内容。特徴的な機能を数個だけピックアップして紹介を行った。

①    従量課金を含め多様な料金体系に対応するSAP Billing Revenue Innovation Management
②    営業担当者の適切な商品の組み立てを支援するSAP Solution Sales Configuration
③    関係者のアイデアを効率的に集め形にするための社内ソーシャル SAP Jam
④    効果的な顧客洞察を実現するSAP Customer Engagement Intelligence
⑤    お客様への「コト」の提供に必要な商材をすばやく探し協業するBusiness Network
⑥    収益の分析とシミュレーションを実現するSAP Profitability and Cost Management

7. 「コト」のビジネスにSAPが役立つ理由

さて、ここまでが7回の内容の振り返りである。

最後に、これら「コト」のビジネスに対してなぜSAPが役に立つのかについて考えてみると、他の企業では提供が難しい以下の5点をあげることができる。

  1. 「コト」のビジネスは、企業一体での総合力が求められる。SAPは、部門横断で業務フローやコミュニケーションを行うために最適なソフトウェアである。
  2. 「コト」のビジネスでは、収益性の分析や計画がより複雑になる。SAPは、複雑な「コト」ビジネスの売上と費用を多面的に詳細な管理ができ、多角的な集計と分析ができる。
  3. 「コト」のビジネスは業種を横断することが多いし他業種の知見が活かせることが多い。SAPは25業種の業界機能を一つのソフトウェアの中に格納し、他業界でも利用できる。
  4. 「コト」のビジネスの姿を描くことが最初の挑戦となるが、SAPはDesign Thinkingという方法論をもとに「コト」のビジネスを顧客視点で描く支援を行っている。
  5. 「コト」ビジネスで求められる幅広い機能をSAPはすぐに使えるパッケージとして提供されている。スピーディーに実装でき、「コト」ビジネスの発展にともなって拡張できる

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7回に渡り、製造業の「モノ」から「コト」への事業変革という広いテーマを考えてきました。ざっと振り返っても、ほんとうに広く深いテーマだと改めて認識されられたところです。今年も数十社の企業とこのテーマについてお話をする機会がありましたが、各社ともに素晴らしい工夫や取り組みをされていて、重要性と難しさの実感を日々深めています。この広く深い製造業の「モノ」から「コト」への事業変革について、本ブログがみなさまの検討の一助となれば幸いです。