【JSUG Leaders Exchange Interview】 250万人が利用する日本最大級のゴルフ専門ポータルのデータ活用
作成者:JSUG Leaders Exchange 投稿日:2014年12月18日
「JSUG Leaders Exchange」(以下、JSUG LEX)の参加企業の皆様から、企業価値向上を支えるデータ活用についてのお話をうかがう連載企画。今回は、ゴルフ関連の総合ポータルの運営を通じて、多くの愛好家から親しまれている株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン(以下、GDO) 情報活用推進部 DB開発・行動分析チームの矢口未知彦氏に、同社のECビジネスにおけるデータ活用についてお話をうかがいます(聞き手:SAPジャパン 濱本 秋紀)。
ゴルフビジネスを支える「情報活用推進部」のミッション
─まずGDOの事業概要についてお聞かせいただけますか。
矢口 当社はインターネットをメインとしたゴルフ関連のポータル運営事業として、2000年に設立されました。現在は、ゴルフ用品のインターネット販売、ゴルフ場の予約サービス、ゴルフ関連の最新情報の提供、ゴルフレッスンスタジオの運営などを手掛けています。
─その中で矢口さんが所属する「情報活用推進部」とは、どのような役割を担う部署でしょうか。
矢口 私自身は2011年1月に中途で入社したのですが、入社時点で現在の「情報活用推進部」はすでに存在していました。もともとマーケティング部門の中にあった「情報戦略チーム」が、2010年10月に独立して設立された部署だと聞いています。2010年5月にSAP IQによるDWHを導入したことがきっかけだったようです。
─情報活用推進部を統括する「お客様体験デザイン本部」は、マーケティング本部とはまた別の部門ですね。
矢口 お客様体験デザイン本部には部門間の情報連携を密にするための機能があります。GDOではサービスごとにビジネスユニット制を採用していて、「リテールビジネス(EC)」「ゴルフ場予約ビジネス」「メディアビジネス」と3つのビジネスユニットがあります。(ゴルフレッスン事業は今年別会社化された)また、それ以外にもコーポレート部門として、財務・経理、マーケティング、システム部門がありますが、組織はどうしても縦割りの性格が強くなりがちです。そこで、3つのビジネスユニットの横串を通す役割を担う形で「お客様体験デザイン本部」が立ち上がりました。
─「情報活用推進部」の具体的なミッションはどのようなものですか。
矢口 簡単に言うと、複数のサービスをお客様に最適なタイミング・最適な組み合わせで提供するために、データを積極的に活用していくことです。GDOは設立以来、3つのビジネスユニットの相乗効果を高める「トライシクル(3つの車輪)モデル」を掲げて、ワンストップサービスを提供しています。会員のゴルファーのゴルフライフ全体を「カスタマージャーニー」として可視化し、カスタマーエクスペリエンスを最大化することが、GDOの企業理念でもあり、「お客様体験デザイン本部」のミッションです。
縦割りの体制では、この理念を実現することはできません。そこで情報活用推進部は、SAP IQのDWHに蓄積されたアクセスデータ、予約情報、購買情報、250万人の会員情報などのデータを各部門に提供しながら、カスタマージャーニーをサポートすることをミッションとしています。
行動データの活用は「見せ方」が命
─情報活用推進部の中で矢口さんが所属する「DB開発・行動分析チーム」は、主にオンラインで生成されるデータを管理されているそうですね。具体的にはどの範囲まで管理されていますか。
矢口 当然ですが、データは生のままでは使うことができません。DB開発・行動分析チームでは、さまざまな部署の多くの人に、データを活用してもらえるように、データにフラグを立てたりしながら、データの意味が理解できるよう管理しています。マスターデータは各部門が独自に管理していますが、新サービスが増えるなどしてマスター項目が追加されたときには、マスターの構成が複雑化しないように、現場と連携をとりながらフォローすることも私たちの役割です。
─DWHにWebログなどのデータを入れる際には、必要なフラグを立てて精査するところまでフォローしているということですね。
矢口 そうです。生ログのままでは現場のユーザーは使いにくく、どのような属性のお客様がサイトにきて、どのページにアクセスして、その結果としてこの商品を購入した、あるいはサイトから離脱したといったことがわかりません。そこで、DB開発・行動分析チームでは、お客様の会員情報と生ログの情報を紐付けてレポートするようなこともしています。
─どれくらいの社員の方々がDWHを使っていらっしゃるのでしょうか。
矢口 現在は、160名ほどの社員がDWHのアカウントを持って利用しています。提供しているBIツールでデータを参照している人もいますが、 Accessや Excelを使って自分で加工してレポートを作っている人もかなりいます。
─ GDOさんのような企業にもなると、高度 なダッシュボードがあり、自動的にいろいろな指標が見えて、次の一手までリアルタイムに指摘してくれるといった使い方をイメージしがちですが、 少し意外な気がします。
矢口 他のEC企業がどのような分析をしているかわかりませんが、少なくともGDOの社員はExcelやAccessが大好きです。使い慣れているから仕方がないのかもしれませんが、私たちもExcelやAccessにデータを落とすだけでなく、ダッシュボードで簡単に分析ができることも提案はしています。ユーザー自身がさまざまなデータを取得できるといっても、何をどう見たらいいかまではなかなかわかりませんからね。社内にはユーザーが存在に気付いていない指標やレポートなどの財産が眠っているので、それを整理して見せ方まで提案することも私たちの大切な役割だと思っています。
──ありがとうございました。情報活用推進部の役割がよくわかりました。次回は具体的なデータ分析について伺います。
■略歴
矢口未知彦(やぐち・みちひこ)氏
株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン
情報活用推進部
DB開発・行動分析チーム
2002年大学卒業後、国内独立系コンサルティングファームに入社。経営管理(財務会計・管理会計)、原価管理、生産管理、営業改革等のプロジェクトを実施。2011年に株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン入社後、情報活用推進部にてSAP ERP及びBPCの導入・運用を手掛け、現在は同部署にてKPI設計、データ分析、行動マーケティングに従事。
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