【JSUG Leaders Exchange Interview】 社内データの「カタログ化」で業務部門のデータ活用を推進


Businesswoman Leading Meeting「JSUG Leaders Exchange」(以下、JSUG LEX)の参加企業から、企業価値の向上に貢献するデータ活用についてお聞きする連載企画。前回は、カゴメ株式会社 情報システム部の明心秀親氏に、需給計画で重要な需給予測におけるデータ活用の取り組みと、デジタルマーケティングにおけるビッグデータの活用についてお話をうかがいました。最終回となる今回は、SAP ERPを含む業務システムのデータの可視化と活用、さらには明心氏が参加されてきたJSUG LEXの活動についてお聞きします(聞き手:SAPジャパン 濱本 秋紀)。

社内に分散するすべてのデータを可視化する「カタログ」

─基幹システムのデータ活用についてうかがいます。カゴメではSAP ERPの実績データをどのようにして活用されているのですか。

明心 現在はSAP Business Warehouseを用いて分析を行っています。ただし、今後はSAP ERPのデータに限らず、すべての社内システムのデータを可視化する「簡易BIツール」の構築計画を進めています。すでにお話ししたように、カゴメには分析ツールとして、SAP Business Warehouse以外にもOLAPツールや簡易なレポートツール、個別システム向けの定型レポートなどが存在し、統一した分析活用の妨げになっていました。簡易BIツールの構築は、分析基盤を1つにまとめる一大プロジェクトとなります。

─簡易BIツールの構築目的は何でしょう?

明心 データ分析の敷居を下げることが第一の目的です。社内に分散しているすべてのシステムのデータ、または社外データを「カタログ化」して、どこにどのデータがあるか、カゴメの従業員なら誰でもわかるようにすることを構想しています。それに加えて、欲しいデータがどこにあるかをユーザーが相談できる窓口の設置も検討しています。

─データのカタログ化とは、具体的にどういったことを意味するのでしょうか。

明心 欲しいデータをすぐに取り出すためのデータマップ、目次のようなもので、すべてのデータを簡単に見られるようにします。カタログにないデータがあれば、ユーザーの要望に応じて追加することも可能です。カゴメにはWindows系の業務システムがSAP ERPの周辺に大量にあり、各システムが連携しながら動いています。その他にも、営業が扱っている情報など、多くのデータが眠っているので、カタログにはカゴメが保有するシステムのデータをすべて集約して「データマネージメントプラットフォーム」を構築する方向で考えています。時期については、当社では3年を1サイクルで中期計画を考えていますので、2015年からの3年計画で実現させる予定です。

─この構想を実現してデータ活用を活性化するためには、これまで以上に業務部門との密な連携が必要になってきますね。

明心 その通りです。データ活用の窓口機能は、情報システム部と利用部門の連携が必須ですので、それを実現するための啓蒙活動も並行して進めていく計画です。もともと当社では自社でヘルプデスクを持ち、わからないことは何でも問い合わせくださいというスタンスでやってきていますので、これからも情報システム部はデータ活用の身近な窓口であり続けたいと思っています。

─経営層のサポートという視点で、現状で経営層はダッシュボードなどを通じて重要な経営指標のサマリーなどを見ているのですか。

明心 ダッシュボードといったものは利用していません。現在は週次、月次の個別レポートを参照している程度です。情報システム部が経営レポートを作成し、経営層向けのメニューとしてシステムに載せています。頻度はレポートの種類にもよりますが、売上情報なら1日に1回です。レポート作成のジョブは1度作ればルーティンで回すことができますが、経営層から異なる分析軸で見たいといった要望が来るたびに、新たなレポートを作成しなければなりません。経営層の方が自分自身で軸を変え、分析をすることはあまりないため、簡易BIができただけではニーズに答えられないと思っています。経営指標の全社統一と可視化は、別途取り組まなければいけない課題です。

経営に貢献する情報システム部への変革を目指して

─LEXについてうかがいます。明心さんがLEXに参加された動機についてお聞かせください。

明心 LEXには、5期目となる2013年度の1年間、先輩の後を引き継ぐ形で参加させていただきました。そして、今年度(2014年度)は残念ながら、1年間お休みをさせていただいたのですが、来年度はぜひ、後輩に参加してもらいたいと思っています。3年ほど前になりますが、部門の中期計画を自分たち自身で検討をする中で、これからの情報システム部門は経営に貢献するコンサルティング部門にならなければいけないという想いにいたりました。その時点で自分自身はまだそのレベルに達していないと感じていましたので、経営層とどういったコミュニケーションをとるか、コンサルティング部門の役割を果たすためにはどういった情報を集めるか、といったことを改めて学びたいと思ったのが参加の理由です。

─1年間参加されてみて、参加企業から触発されたこと、学んだことはありますか。

明心 各社の事例を聞く中で、同じような課題でみなさんが悩み、取り組まれていることが確認できて、私たちも間違っていなかったと自信を持つことができました。やはりどの会社も、現場に入り込んでビジネスのヒントを自分たちで見つけながら、経営に提案していく活動をしていることがわかったことは収穫ですね。

─情報システム部のあるべき姿について、考え方も変わったのではないですか?

明心 そうですね。情報システム部が何らかのヒントを得たとき、経営層に対して的確な提案を行うためには技術力も重要です。最近の企業のシステム部門の多くは自分たちで手を動かしてものを作ることは少なくなり、システム保守ですらアウトソーシングして指示だけ出している状況になっています。しかし、どうすれば自動化ができるか、ここまではシステムの範囲で、ここから先は人間が踏ん張らないといけないといった見極めは技術力がないとできませんし、それは経営企画や業務部門では対応できない仕事です。外部のベンダーにいくら任せても業務のことはわからないので、社内の情報システム部はそこをカバーする部署であり続けることが重要であると、参加企業の方と会話する中で実感しました。

─LEXで学んだことは、情報システム部と経営層とのコミュニケーションに役立っていますか。

明心 まだまだこれからですが、少なくとも意識は高まりました。ただ、経営サイドの考えにフィットしているか、期待されている提案ができているかと問われれば、自己評価として実力不足を実感している部分もあるので、これからも努力を続けていきます。

─今回のお話を通じて、食品業界のデータ活用とその課題がよくわかりました。貴重なお話をありがとうございました。

■略歴
明心 秀親(みょうしん ひでちか)
カゴメ株式会社
情報システム部 東京システム グループ課長

781994年カゴメに入社。
4年間、営業パーソンとして、北陸地方の家庭用卸店、家庭用量販店を担当。
1998年に情報システム部へ異動。
営業を支援する情報システムの要件定義や設計を担当。
2000年に物流部門の窓口となり、SCMに関わる業務改革・システム構築を推進。
2009年から現職で、部内システム開発プロジェクトのマネジメント、成果物のレビューを担当。

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