ITが創出するスポーツインダストリーの新たな価値――第1回:ITでテニス観戦がもっとおもしろくなる!


SAPジャパンの山本です。本連載では、「ITが創出するスポーツインダストリーの新たな価値」と題して、SAPにおけるスポーツインダストリーでの先進的な取り組みについてお話します。今やスポーツの世界でもほかの産業と同様にITが欠かせない、と言ったら意外に思われるでしょうか。選手やコーチがデータ分析を行って、試合の戦略を立てたりトレーニングを行うことは想像に難くありませんが、現在、試合の見せ方や、観客やファンとの関わり方も、ITによって大きく変わり始めています。つまりITによりユーザーエクスペリエンスが拡張されることで、観客との新しい関係性の構築が可能になるのです。このような観点を踏まえ、今回は、サッカーに次いで競技人口の多い「テニス」と、SAPがグローバルスポンサーシップを行っている「セイリング」を取り上げて、2回シリーズでご紹介いたします。第1回は、「ITでテニス観戦がもっとおもしろくなる!」と題してお伝えします。

ここまできた、テニスにおけるデータ活用

2011 Australian Open - Day 5現在SAPは、テニス選手の世界ランキングを公表していることでも知られる世界の主要なテニス協会の1つWomen’s Tennis Association (WTA:女子のプロテニス協会)とグローバル・プレミア・パートナーシップを結び、試合に関わるあらゆる過去の統計データの管理を託されています。WTAは、毎年32カ国で54のトーナメントを主催し、年間約2億ドル(約200億円)の売上を計上する団体です。WTAによると、女子テニス産業の市場規模は約54億ドル(約5400億円)、推定される世界のテニスファン人口は約8億人と、テニスはサッカーに次ぐ人気スポーツです。

さて、WTAから管理を委託されたデータは、クラウド上のSAP HANAとSAP Analytics solutionに格納され、世界中から選手やコーチ、メディア関係者などが利用できるというものです。また、SAP Data Servicesでは、異なるソースからの生データを選別し、SAP BusinessObjectsでデータを加工したり、可視化したりすることが可能です。

具体的に閲覧できるのは、選手の基本情報、試合・選手ごとのパフォーマンスデータ(サーブの成功率やサービスエースの本数、ダブルフォルト数など)、対戦相手別パフォーマンスデータ、サービス分析(着地点、ポイント別成功率など)といった、ありとあらゆる情報です。これらのデータは、選手やコーチが試合の戦略やトレーニングなどに活かすだけでなく、メディアによる試合の解説にも役立てられています。SAP HANAの活用により、ライブ中継でもリアルタイムに、最新のデータ分析に基づく解説が可能です。

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高性能カメラとモバイル活用で新たなファンエクスペリエンスを実現

このように、スポーツにおけるデータ活用には、選手やコーチなどによる目線と、それを外部から分析し、観客に情報を提供するメディアによる目線の両面があります。つまり、ITの活用目的には、1)Team Performance:「チームをより強くする!」と、2)Fan Engagement:「スポーツをより面白くする!」、の2つの側面があるということ。WTAとしては、選手のパフォーマンス向上だけでなく、より多くのファンを惹きつけるために、Fan Engagementの側面をいっそう強化していきたいと考えていると言います。

では、いかにして強化していくのでしょうか。これに関しては、2014年3月にマイアミ(フロリダ州)で開催されたATPのSony OpenでのSAPの取り組みがわかりやすいでしょう。SAPは本大会のオフィシャルパートナーとして、iPadやスマートフォン向けの情報提供を行い、Fan Engagementを推進する取り組みを実施しました。

これは、iPadやスマートフォンを持った観客が、こうしたモバイルデバイスを通じて必要な情報や試合のスケジュール、選手のプロフィールなどの基本情報を確認できるというものです。また、試合の経過や結果をリアルタイムに参照したり、各選手や試合のパフォーマンスデータや統計データなどを見ることもできます。もちろん、それらのデータは数字の羅列だけでなく、グラフやビジュアルの形で提示され、閲覧性にも優れています。

さらに、Hawk Eyeと呼ばれるカメラ技術を用いて、ラリーのバーチャルリプレイを楽しむこともできます。このシステムは、6~7台の高性能カメラを、スタジアム内に設置し、それぞれ異なる角度からボールの動きを追跡するというもの。カメラからのデータをリアルタイムに合成し、ボールの位置を3次元で特定するのです。その誤差はわずか5ミリメートル以内とされ、テニスやクリケット、サッカーにおける公平なジャッジのために、審判のセカンドオピニオンとしても役立てられています。

また、注目度の高い上位選手だけを集めて比較したり、優勝候補の投票などを行ったりするサービスも提供しています。

SAPが考えるさらなるFAN Engagement

このSony OpenでSAPは、GENYOUth財団(学校における健康促進を振興する非営利団体)とのアライアンスを発表しました。これは、Sony Openにおけるトッププロ選手の試合内容を、モバイルデバイスなどを用いて分析し、中高生たちのテニス教育の教材として活用するというものです。結果は非常に好評で、健康増進に貢献するだけでなく、新たなテニスプレイヤーの育成やファンの醸成にも役立つことが示されました。

ITがスポーツの裾野を広げる

スポーツにおけるデータやITの活用は、これまではプロ向けのものでした。しかしながら、モバイルデバイスなどを用いたアプリケーションを導入すれば、観客やファンなど広く一般にまでそのインパクトをおよぼすことができます。これにより、「スポーツをより面白くする!」というFan Engagementが実現できるのです。また、そればかりでなく、健康増進や新しい選手の育成などにもつながり、CSRとしての役割も担うことがわかりました。SAPとしてはこれからも、こうした活動を通じで、スポーツ振興に取り組んでいきます。

次回は、Team Performanceに重きを置いた、「セイリング」でのITの活用について紹介し、「チームをより強くする!」という観点からお伝えします。

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