LIXIL Advanced Showroom に学ぶ“ゼロ”から始めるタレントマネジメント

株式会社LIXILの関連会社で、LIXILのショールームの運営管理を手がける株式会社LIXIL Advanced Showroomでは、設立間もない2014年からSAPの総合人事クラウド「SAP SuccessFactors」を導入、全国に展開されているLIXILショールームのタレントマネジメントに役立てていらっしゃいます。同社在郷様に、SAPジャパン主催のHRセミナーで講演いただき、SAP SuccessFactorsの活用で手にした効果と、今後の展望についてお話しいただきました。その内容に基づき、SAP SuccessFactorsによるタレントマネジメントの実際について見ていきます。

全国ショールームのスタッフ数すら把握できていなかった

LIXIL Advanced Showroom(以下、LAS)は、LIXILと人材派遣会社アデコとの合弁会社として2013年9月に設立され、今日では、全国92カ所(2019年現在)に展開されているLIXILショールームの運営管理を一手に担っています。

ご存知のように、LIXILは、2011年に国内の主要な建材・設備機器メーカー、トステム、INAX 、新日軽、サンウエーブ工業、東洋エクステリアの5社の統合によって生まれた企業です。この組織統合に伴い、5社のショールームもすべて統合されることになり、それがLIXIL ASの設立につながったといいます。

5社のショールームは運営スタイルがそれぞれ異なっていたほか、接客を担当するコーディネーターの採用/育成/評価/管理の方式もバラバラで、統合によって相応の混乱が生じ、人材の出入りも激しかったようです。

しかも、その中で、各ショールームで展示・デモされる商品の種類が1社分から5社分へと一挙に跳ね上がり、コーディネーターが習得すべき商品知識量も5社分に膨らみました。結果として、『顧客からの質問にコーディネーターが答えられない』『すべての商材の質問に適切に答えられるスタッフが、ショールーム内にほとんどいない』といった事態が散見されるようになり、かつ、どのような商品知識を持ったコーディネーターが、どこにいるのかも見えなくなっていたといいます。

ショールーム統合に伴うこうした諸問題を解決すべく創設されたのが、LASです。その意味で、LIXILショールームにおける人事管理/タレントマネジメントの再整備は、LASの設立当初からのミッションであったと言えます。実際、LASの設立時点では、各ショールームのスタッフ数すら、本社サイドで正確に把握できていない状況だったといいます。ゆえに同社では、タレントマネジメントの遂行が急務と判断し、設立の半年後には「SAP SuccessFactors」の導入を決め、運用を開始させました。いわば、SAP SuccessFactorsを使い、ほぼ“ゼロ”の状態から、タレントマネジメントの仕組み作りに乗り出したのです。

プロファイルの整備から全てを始める

SAP SuccessFactorsの導入後、同社がまず着手したのは、各所のショールームで働くスタッフの基本情報(プロファイル)の整備です。目的の一つは、もちろん、各ショールームで働くスタッフ数の正確な把握です。また、当時は、コーディネーターなどの名簿ファイルは存在していたものの、その管理が行き届いておらず、各人の入社日が不正確であるなど、データ上の不備が多くありました。加えて、コーディネーター各人の経験・資格も一元管理されておらず、それぞれの能力も見えていませんでした。そこで、経験・資格などの経歴情報を含むプロファイルを、SAP SuccessFactors上に取りまとめていったのです。

その次に同社が着手したのが、人材のパフォーマンス管理です。具体的には、コーディネーターを含む全従業員の目標管理や人事評価考課のプロセスをすべてSAP SuccessFactorsに集約して標準化し、各人のパフォーマンスデータを一元的に管理して、同一指標に基づいて可視化できるようにしたわけです。

のちの2017年には、SAP SuccessFactorsの人材教育用モジュール(SAP SuccessFactors Learning)を導入し、コーディネーターが自分の好きな時間で、LIXILの商品について学べる環境を整えました。それ以前、LASでは、新人コーディネーターの教育プログラムとして、10日間の泊まり込み研修を展開していましたが、SAP SuccessFactors Learning の活用により、その研修期間を5日程度に減らし、トレーナーと新人コーディネーターの負担を低減させているといいます。

加えて、同社では「SAP SuccessFactors Employee Central」モジュールの活用も進めており、人事イベント(異動・休暇・復職・退職)の申請/承認フローや、上長によるコーディネーターの昇格推薦・正社員登用申請プロセスなどをSAP SuccessFactorsに集約化し、人事関連のオペレーションを効率化させています。

以上のような作業と並行してLASがかねてから推進してきたのが、SAP SuccessFactorsに対する全従業員の顔写真の登録です。

この作業によって、SAP SuccessFactorsでは、スタッフの顔写真付きで組織の構造が可視化できます。これにより、例えば、各地域のショールームを統括するエリアマネージャーは、自分の統括するショールーム内で、どのような人材が、どのポジションで、どのような役務で働いているかが直感的にとらえられるようになったといいます。

また、SAP SuccessFactorsでは、この組織図から、人材に関する詳細な情報(プロファイルやパフォーマンスデータ、など)に(権限に応じて)アクセスできるほか、“自分にしか見ることのできないメモ”も付与できます。そのため、LASのエリアマネージャーの中には、このメモ機能を使って部下との対話のときに気づいたポインを記録しておき、部下とのコミュニケーションの円滑化に役立てている方もいるようです。

ちなみに、移動の多いエリアマネージャーには、SAP SuccessFactorsのモバイル機能(モバイルアプリ)も、『いつでも、どこからでも、自分の見たい人材情報にアクセスできる』と好評とのことです。

データドリブンHRの実現へ

LASでは、2019年4月からSAP SuccessFactorsによる「後継者管理」にも取り組んでいます。多くの企業がそうであるように、同社でも、各ラインのマネージャーに後任の選出を一任するというスタイルをとってきました。部下たちの資質や働きぶりを最も近く見ている上長に後任を選ばせるという方法は合理的である反面、後継者選びの判断基準が属人的になり、組織全体の人事戦略とはまた別のところで、次世代リーダーが決められてしまうというリスクを内包しています。

そのリスクを低減させるべく、LASでは、SAP SuccessFactorsで管理されている人材情報と一定の評価基準に基づいて、将来会社を支えるコアな人材の発掘を行い、選出された人材を次世代リーダー候補として、各ラインの管理者に提示するという施策を展開しています。最終的な判断は各ラインのマネージャーに一任するにせよ、全社的な評価基準に基づく次世代リーダー候補を提示することで、後任選びにおける各マネージャーの“目線”を合わせることが可能になるといいます。

また、現場のラインマネージャーは、どうしても目先の組織運営で手一杯になり、中長期的な視野の下で、チームがどうあるべきか、次世代リーダーに何を求めるべきかを考える余裕が持てないのが現実です。

その中で、会社の事業戦略に基づきながら、中長期的な組織のあり方、次世代リーダーのあり方を提案・提示していくことは、人事部門の本来的な役割とも言えます。LASでは、SAP SuccessFactorsによる後継者管理に乗り出して以降、人事部門の役割が、そうした本来使命の遂行へと変わり始めているといいます。

LASでは、今後もSAP SuccessFactorsを積極的に活用し、『継続的な人材パフォーマンス管理の促進』や『(SAP SuccessFactors Learningによる)中堅コーディネーターの一層のスキルアップとキャリアップの支援』に取り組んでいくとしています。

さらに、いずれは、従業員のモチベーションの変化までをデータでとらえ、組織の強化やパフォーマンス向上に直結した人材戦略を遂行するなど、『データドリブンHR』の実現に向けた施策に力を注いでいく構えです。

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