「ファクトリーアプローチ」で経営判断のリアルタイム化を後押し。SAP S/4HANAへの移行を短期間かつ低コストでの実現へ
企業のDX(デジタル変革)を推進するために多くの企業が次世代ERP「SAP S/4HANA®」の導入・移行を検討しています。しかしながら、従来のSAP環境からの移行にはさまざまな検討が必要であり、多くのコストや時間がかかる懸念があります。アビームコンサルティング株式会社(以下、アビームコンサルティング)では、これまで数多くのSAP ERPアップグレードを実現してきたノウハウをベースに、SAP S/4HANAへのコンバージョンに関わる業務を定型化・標準化したSAP認定パッケージ「ABeam Cloud® Conversion Express Factory for SAP S/4HANA」(以下、Conversion Factory)を提供しています。専用ファクトリーで処理することで短期間かつ低コストでの移行を実現し、高いスキルを持った専用チームが迅速かつ効率的にコンバージョンを行うことで、SAP S/4HANAへの移行を24週間から32週間で実現します。

目次
DX推進のカギとなるSAP S/4HANAと、それを阻害する移行への壁
多くの組織がDXに取り組み、社会のデジタル化が促進されています。一方で既存の基幹系システムの存在が、DX促進の足枷になっているケースも見受けられます。特に、M&Aやグローバル化によって会社規模が大きくなっている組織は、業務やガバナンスの標準化が追いつかず、業況を的確に捉えるデータ収集や可視化に大きな労力がかかり、俊敏な経営判断が行えないという課題を抱えています。今後は、基幹系システムをクラウドERPへ移行することが、DXを推進していくためのカギとなってくるでしょう。
クラウドERPの導入を考えている企業の中には、SAPが提供するERPをすでに利用しているところも多くあります。その企業が現在検討し、課題を抱えていることは、SAP S/4HANAへの移行です。
SAP S/4HANAは革新的なプラットフォームですが、既存のERPからアーキテクチャーが大きく変更されているため、「どのように着手すればいいかわからない」「どの程度のコスト化、スケジュール感になるのかわからない」という声も多く聞きます。
そのため、移行決定を判断する経営層へ投資対効果の訴求がしにくく、SAP S/4HANAへの移行に踏み切れない企業も少なくありません。ECC6.0のサポート終了が差し迫っていることも移行を促す要因にはなっていますが、経営陣を納得させるための決定的な訴求力にはなり得ないのです。
SAP S/4HANAへの移行はDX推進を加速させる第一歩
アビームコンサルティングは、国内最多のSAP認定コンサルタント4,462名(2020年10月末時点)を擁する、SAPコンサルティングビジネスにおけるリーディングカンパニーです。SAP S/4HANAの展開が本格化する2016年から、SAPの本社がある独ワルドルフにオフィスを構え、SAPグローバルとの密接な関係を築いてきました。年間約300件のSAPソリューションの導入実績があり、これまでSAP Award of Excellenceを19回受賞してきた経歴を持っています。また、アジアには16箇所の拠点を持ち、現地のコンサルタントと日本のビジネスを熟知している日本人コンサルタントがサポートする“ハイブリッド体制”によって、お客様のグローバル展開も支援しています。企業がDXを推進していくためには、SAPが提唱している「インテリジェントエンタープライズ」という将来像を実現していく必要があります。インテリジェントエンタープライズとは、従業員がより価値の高い業務に集中し成果を出せるようにするため、業務プロセスなどに人工知能 (AI)や機械学習 (ML)、モノのインターネット (IoT)、アナリティクスなどの最新テクノロジーを活用する企業のあり方です。しかしこの高度な次元に高めていくためには段階を踏む必要があり、そして礎となるシステム基盤が必要です。アビームコンサルティングは、まずその礎として、サポート終了が迫るECC6.0からSAP S/4HANAへの移行(下図の①)を実現することが重要と考えています。

ABeam Cloud Conversion Express Factory for SAP S/4HANAとは
SAP S/4HANA OnPremise(オンプレミス)と、SAP S/4HANA Cloud, private edition(プライベートクラウド)への移行を支援するパッケージソリューションです。SAP S/4HANAへの移行は蓄積されたノウハウや経験が必要となりますが、作業は定型的なものが中心です。アビームコンサルティングが持つSAP S/4HANA移行に特化したオフショアリソース中心の「専門ファクトリー」を利用することで、効率的・低コストで高品質な移行プロジェクトを推進できることが大きな特徴です。システムコンバージョン手法によるSAP S/4HANAへの移行では、まずサンドボックス環境を構築し、コンバージョンの基本手順の確立と影響範囲の特定を行った後に、開発環境・QA環境のコンバージョンを行い、数回のリハーサルを経て本番環境のコンバージョンを実行します。これらの一連の作業には、ノウハウが必要ではあるものの比較的単純で繰り返しが必要な作業が多く含まれています。そのため、プロジェクトごとに専任の担当者を起用することは非効率的であり、コスト増につながる要因ともなります。
アビームコンサルティングのConversion Factoryでは、サンドボックス環境を自社のマネージドクラウドサービスである「ABeam Cloud」上に構築することで環境やライセンスの準備に必要なリードタイムを極小化しています。そしてSAP S/4HANA移行に特化したチームで工場的にコンバージョン作業を行うことで、サンドボックス機による初回コンバージョンを8週間~12週間で完了できます。
初回コンバージョンの実行・分析結果レポートを元に、SAP S/4HANA移行に伴う影響・対応コスト・スケジュールを精緻化することで、具体的な移行プロジェクト計画を策定できます。顧客の開発環境、QA環境のコンバージョン、本番環境コンバージョンのリハーサルと本番稼働までを24週間~32週間という短期間で実現します。

このConversion Factoryを活用された企業からは、単なる分析ツールによるアセスメント結果が提供されるだけではなく、実際にコンバージョン作業を行うことで、より精緻な影響範囲(潜在課題、ダウンタイム等)が明確になると評価されています。
オフショアリソースを活用することで、リーズナブルな価格での提供も可能にしています。価格は、サンドボックス環境を構築し、SAP S/4HANA環境への初回アクセスが可能になるまでの「基本パッケージ」が1,400万円~、本格稼働を24週間~32週間で実現する「フルパッケージ」が4,000万円~です。さらに、オプションサービスとして、「Re+Innovation for SAP S/4HANA」では、プロセスマイニングツールを使って、業務プロセスの可視化を行い、ABeamの過去の業務分析のナレッジを元に定義したTobe業務モデル(Operation Excellence)と比較することで、現行業務の課題を抽出できます。SAP S/4HANAの機能も踏まえて、改善施策とその効果を試算することができるので、この結果を使って、困難と思われていたSAP S/4HANAへの投資対効果を経営層に訴求できます。
サービス紹介ビデオ

住宅設備会社A社における事例: Conversion Factoryの利用により、コンバージョンタスクを専門部隊で集中化。計画通りの移行完了へ
住宅設備会社A社では、グループ各社が保持する会計システムからデータを収集し、グループ統合総勘定元帳を管理するための「Central Finance」を活用してシステム基盤を統一したいと考えていました。会計プロセスの定型業務を海外のシェアードサービスに集約してコストメリットを得ようという目的があったのです。しかし、従来運用していた「SAP Business Suite on SAP HANA」ではCentral Financeを利用できず、その保守サポート期限が2025年に迫っているという課題を抱えていました。同社のパッケージ導入プロジェクトを担当していたアビームコンサルティングでは、Central Finance の導入条件を満たすため、SAP Business Suite on SAP HANAからSAP S/4HANA 1809へのアップデートを提案し、Conversion Factoryを活用しました。マルチベンダーで複数のプロジェクトが並走する非常に難易度の高いプロジェクトでしたが、コンバージョンタスクをConversion Factoryチームに任せることで、フロントのプロジェクトメンバーはプロジェクト間、ベンダー間のコントロールとタスク推進に注力することができ、計画通り移行を完了することができました。
SAP S/4HANA 1809への移行を果たした現在では、業務の標準化、会計データの集約、ガバナンス強化の基盤構築が実現できています。アビームコンサルティングは、顧客企業の業務内容や業務フロー、組織の構造を見直し、再設計するべく、SAPのスペシャリストとして、さまざまな場面で貢献しました。
その他のパッケージのご紹介
■ SAP S/4HANA Quick Supplier Portal支出管理ツールの「SAP Ariba」を活用し、サプライヤーとの発注から支払プロセスを電子化するソリューションです。書類の電子化と自動化によるスムーズなコミュニケーションによって、業務の工数やミスを削減します。SAP S/4 HANA導入企業なら、パラメータ設定のみでインターフェースプログラムの開発は不要。展開予定のサプライヤー数30社程度で標準機能をセットアップする場合、およそ12週間〜16週間という短期間でサプライヤーポータルを実現できます。バイヤー企業は950万円〜の初期費用、年間300万円〜の利用料でユーザー数や取引量の制限なく利用可能で、サプライヤー企業の利用は無料となっています。
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