ERPとは?ERPシステムの世界シェアNo1を誇るSAPが解説

2018年に経産省が公表した「DXレポート」では、企業が利用するシステムの老朽化や複雑化によってデータに基づく意思決定などが困難となり、大きな経済損失が生じる「2025年の崖」が指摘されました。以来、多くの企業がデータ連携やAI活用、システム内製化など、IT基盤の近代化に取り組んでおり、なかでも企業のあらゆるデータを管理するERPの導入と活用に注力する企業も増えています。この記事では、そもそもERP(ERPシステム)とは何か、そしてERPシステムが持つ役割や価値について解説します。

ERPとERPシステムとは?それぞれの“ERP”が持つ意味と概念

ERPとはEnterprise Resource Planningの略語で、経営の概念のことを指します。日本語では、「企業(Enterprise)」の「経営資源(Resource)」を最も効率良い「計画(Planning)」で全体最適を図るもの、という意味になります。組織内の各部門にある「ヒト・モノ・カネ」などの情報を統合し、リアルタイムに連携して組織全体を最適化していくことがERPの概念です。

ERPを実現するためのポイントとなるのが、経営と現場の目標に関する意思の統一です。経営目標と現場の業務目標を関連づけて、優先順位をつけて実行していきます。そのためには、現場の状況を迅速に把握し、目標達成に支障があれば、経営陣は原因究明と対策を施し、現場では目標達成に向けた改善に取り組まなければなりません。

これらを解決するために活用されるものがERPシステムです。財務会計、予算、販売、購買、生産、在庫、顧客、人材などの情報を組織全体で共有し一元管理が可能となります。システム上でリアルタイムにデータ連携ができるため、現場の正しい情報が迅速に関連業務部門に伝わり、売上向上、原価低減などの経営目標や業務効率化のための業務指標を管理でき、企業の全体最適化に向けて取り組めるようになるのです。

ERPシステムのイメージ
図:ERPシステムのイメージ

企業が抱えている課題とERPが目指す姿

リアルタイムなデータ連携と全体最適化を目指す概念を表すERPですが、現在の企業はどのような課題を抱えているのでしょうか。

ムリ・ムダ・ムラによる現場の疲弊と、階層の寸断による経営判断の遅延

多くの企業では、営業や物流、製造・設計、購買など、各部門によってデータが管理されているため、部門ごとに情報が分断されています。これによりデータの一元管理、リアルタイムな連携ができず、ムリ・ムダ・ムラの多い作業の温床となっています。
  • 経営層:自社の状況をリアルタイムに把握できず、週次や月次などのレポートで判断しなければならない
  • 経理部門:リアルタイムにデータ連携がされていないため、タイムラグや二重入力、不整合を正す時間が発生する
  • マネジメント層:各部門の情報を経営層に伝達するため、寸断された現場の情報を収集し加工する負担が発生する
  • 現場:他部門の情報は各種伝票や資料を入手し整理する必要がある
全体最適されていない企業の情報伝達イメージ
図:全体最適されていない企業の情報伝達イメージ


このように、部門ごとの最適化システムでは部門間の連携や業務の標準化ができないだけではなく、組織全体の階層にも情報の寸断が生じ、タイムラグが発生していました。これらのムリ・ムダ・ムラは、迅速な経営判断を阻害する要因となります。

例えば、自動車で走行する時は前方の道だけでなく、バックミラーや計器、カーナビなどから現在のあらゆる状況を捉えて運転します。現在地やこれから走行するルート、自動車の状態やスピードなどの情報を把握しておくことで、安全に自動車を走らせることができるからです。
企業経営においても、あらゆるデータをリアルタイムに管理・把握することで、迅速な経営判断を行うことができるようになります。

そして、ムリ・ムダ・ムラを解消し、部門を越えた全体最適化・業務の標準化による迅速な経営判断を行うために、ERPシステムが欠かせないのです。

全体最適化に適しているERPシステムとは?

ERPシステムは、全社でのデータの一元管理とリアルタイム連携によって、全体最適化を目指します。システムの統合によって業務間でタイムリーな処理や分析、可視化が可能となるため、タイムラグや二重入力もなくなります。情報の整合性をシステムで自動化することで、現場からはムリ・ムダ・ムラを解消でき、ERPシステムによって全社で同じデータを共有しながら、迅速かつ最適な経営判断をサポートできます。

しかし、現在提供されているERPシステムの一部は、部門ごとや業務ごとの個別システム(コンポーネント型ERPや業務ソフト型ERP)などであることが多く、部分最適しかできていないものもあります。これらのシステムは個々の業務は効率化できるものの、複数システムを使った管理であることに変わりはないため、データは分断化されたままで、本来行いたい全体最適が難しいのが実情です。

全体最適化に適しているERPシステムは、全ての業務が統合された「完全統合型ERP」です。業務情報を1つのシステムで一元管理できるため、データの整合性やリアルタイム連携が可能となります。

完全統合型ERPの価値とは?

完全統合型ERPは、あらゆる業種・規模の企業の多種多様な業務データを、1つのシステムで一元管理することができます。ERPがもたらす3つの価値について見てみましょう。

価値1:迅速な経営判断の実現

売上・利益・原価・在庫・資金をリアルタイムに可視化し、全社で共有、活用が可能となります。現在の状況だけでなく、将来の予定・計画・見込も確認できるため、経営戦略・業務改善に柔軟な対応ができます。

価値2:業務効率化による生産性の向上

情報の転記作業などを自動化することで企業全体の業務効率化を促進し、業務コストの改善が期待できます。工数の削減によって、変化に柔軟に対応できる体制を整えます。

価値3:内部統制・グループ経営の強化

グループ全体にわたって、事業横断的な情報の管理と意思決定の体制を敷くことができます。部門間の業務プロセスの正当性の担保、内部統制の強化を実現します。

そして、1つのシステムで完結できる完全統合型ERPを提供しているのが、ERPシステムの世界シェアNo.1を誇るSAPです。「購買」、「販売」、「会計」などの領域をカバーしているERP製品の中には、各業務のデータベースが統合されておらず、バッチ処理を行わないとデータ連携できないものも多くあります。SAPが提供する完全統合型ERPは各業務データを統合管理しているため、バッチ処理が不要でリアルタイム連携が可能です。

SAP ERPの特長

SAP ERPでできること

(1)すべての情報がリアルタイムに統合

グループ内の商材に関する在庫状況の確認も全社で共有できます。受注残高、在庫状況、発注、出荷状況をタイムリーに把握できるので、在庫の適正化や得意先への迅速な納期返答などを実現。受注状況から、将来の在庫変動の予測も可能になります。

(2)連携された情報の活用

ERPでは、業務の実行と連携して関連データも更新されます。このため、意思決定に必要な業務データの整合性を常に担保し、グループ内のそれぞれの現場の動きを数値で即時反映・把握できます。

(3)ヒト・モノ・カネの動きを同期

事業の損益をタイムリーに把握するためには、業務伝票を明細単位で属性情報とともに一元的に管理する必要があります。受注、発注仕入、在庫、生産の実績などの資金にまつわる情報を即座に捉えられるようになれば、期末にしか分からない収益情報が日次・週次ベースで参照可能となります。

(4)さまざまな業務をパラメータ設定のみで実現

SAP ERPは、業務プロセスに最適なベストプラクティスを提供しているため、プログラミングの必要なく、個別要件に柔軟に適応するパラメータ設定のみで構築が可能です。スクラッチでゼロから組み上げるシステムや、業務パッケージの組み合わせでERPを実現する場合と異なり、設計や開発に無駄な時間がかかることはありません。

(5)多言語・多通貨のグローバル対応

SAPは、1972年にドイツで創業したグローバルソフトウェア企業です。ERPなどの提供を通して世界中のあらゆる業種や規模の企業を支援しており、ERPシステムについては世界シェアNo.1を誇っています。世界中で利用されているSAP ERPは、40言語以上の多言語、130種の通貨、62カ国の法制度にも適応し、グローバルでのサポート体制も用意しています。

ERPの世界ではオンプレミスからクラウドへの転換が進んでいます。スピード、コスト、適応力に優れる、SAPのクラウドERPの特徴については、次の記事も参考にしてください。
>クラウドERPの価値を知る ─クラウドERPでできることと魅力について解説

まとめ

ここまでで、ERPの意味とERPシステムの役割や価値について詳しく解説しました。いくつかのポイントをおさらいします。

  • ERPとは、企業の経営資源を最も効率の良い計画で全体の最適化を図る、経営概念のこと
  • 部門ごとに個別最適化されたシステムでは情報が分断されており、迅速な経営判断も困難
  • ERPシステムはスクラッチや個別業務システムの組み合わせでなく、完全統合型ERPがおすすめ
  • SAP ERPはグローバルスタンダードで、パラメータ設定のみであらゆる規模の企業、業種に対応可能
SAP ERPは、大企業や特定の業務に向けたシステムであるというイメージをお持ちの方もいるかもしれません。しかし実際は、あらゆる規模・業種のさまざまな企業が利用しています。SAPの統計では、SAPのお客様は世界の商取引の87%(46兆ドル)を担っており、そのお客様の約80%は中堅企業です。
現在はクラウドERPの提供により、今まで以上に低コスト、短期間での導入が可能となっています。利用事例や導入ストーリーなどの資料も用意してありますので、ぜひご参照ください。

>SAP ERPの導入事例集
>SAP ERPの詳細についてはこちら

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