経営目線の人材戦略 育成と採用どちらが先で、どちらが重要?

昨今の人手不足で、人材戦略に頭を悩ませる企業が増えているようです。人材戦略の悩みを解決するには育成と採用、どちらが効果的なのでしょうか。本稿では人手不足の現状に言及しつつ、育成と採用双方の特徴から中堅・中小企業の人材戦略を考えていきます。

生産年齢人口が減少し続けるなか、企業の人材に関する悩みは年々深刻さを増しています。特に中堅・中小企業では、新たな事業展開や企業の成長を阻害する要因として、人材不足が挙げられることが増えました。この人材不足を克服するため、中堅・中小企業がとるべき対策として「育成」と「採用」があります。

人手不足がもたらす深刻な問題

多くの企業が、今最も関心を寄せる話題が、人材に関するものといえるでしょう。これを裏付けるものとして財務省が2016年に発表したデータがあります。「財務局調査による「人手不足の現状及びその対応策」について」によれば、人手不足を感じている企業は中堅・中小企業の実に7割以上にのぼっているのです。また、同資料からは、人手不足による弊害も読み取ることができます。中堅・中業企業の多くが、人手不足によって事業機会の喪失や現場社員の負担増、技術力の低下など、企業体力を奪う結果を招いていると回答しているのです。
さらに深刻なデータとして倒産に関するものがあります。2017年7月10に帝国データバンクが公表した「人手不足倒産の動向調査」から、その深刻さをうかがい知ることができるでしょう。同調査結果によれば、2017年上半期(1月~6月)に離職や採用難による人手不足で倒産した企業の数は、2013年との同時期比で実に2.9倍に達しているとのこと。その約半数(47.2%)は負債規模1億円未満であることから、中堅・中小企業であると推察できます。このように中堅・中小企業の人手不足による倒産は年々増加傾向にあり、人材戦略はまさに企業の寿命に直結した問題となっているのです。
こういった人手不足に対する人材戦略としては、「育成」と「採用」という2方面からのアプローチが考えられるでしょう。ではこの2つはどういった違いがあるのでしょうか。メリットやデメリットを比較していきます。

人材「育成」のメリットとデメリット

まず育成のメリットとデメリットです。

メリット

  • 生え抜きの人材を計画的に能力開発できる
  • 慣習や風土・雰囲気といった企業文化の継承が容易で「橋渡し期間」が必要ない
  • 事業分野、または部門ごとの人材供給のパイプラインが把握できる

デメリット

  • 育成のための時間と費用が必要で、即効性に欠ける
  • 純粋な実務能力以外の部分で評価されがちである(人柄やプライベートでの付き合いなど)
  • 新しい価値観でイノベーションを生むような尖った人材、突出した人材が生まれにくい

人材の流動性が高まり続け、人材獲得競争が激化していることから、内部での育成に注力し優秀な人材の流出を食い止めようとする企業が増えています。しかし評価の難しさや即効性の低さなどがあり、育成だけでは十分な人材戦略とはいえないでしょう。そこで、採用のメリットとデメリットも考慮する必要があります。

人材「採用」のメリットとデメリット

メリット

  • 育成に比べ、短期間で必要な人材補充が可能で、即効性が高い
  • ピンポイントで即戦力を採用できれば、事業をスピーディーに拡大でき、事業機会の喪失を防止できる
  • 生え抜き人材に対する刺激となり、社内に競争原理が生まれ、社員全体のスキルアップにつながる

デメリット

  • 慣習や風土、雰囲気といった企業文化の継承がうまくいかず、入社後のミスマッチが起こる可能性がある。
  • 具体的なスキルレベルや仕事能力を、採用前に把握しにくい。
  • 激化する人材獲得競争により、採用コストおよび人件費の増加、採用期間の長期化による事業機会の喪失の可能性がある。

育成に比べると即効性が高く、事業機会の喪失防止や社員全体のレベルアップというメリットがあるものの、コスト面やミスマッチのリスクが懸念されます。以上のことから、採用・育成は甲乙つけがたいといえるでしょう。従って、育成と採用の2つを組み合わせつつ、効率化していく必要があると考えられます。

育成と採用のメリットを結集できるツール

採用・育成のメリットを増大させつつ、デメリットの克服につなげるためには、高度な人材戦略が必要となります。しかし、そもそも人材戦略を立案・実行するだけの人材が不足していることも多いはずです。そこでITを使った人材戦略の効率化が必要になってきます。
SAP SuccessFactorsは、育成・採用両面から適切な人材をデータとして定義し、優れた人材を管理・確保するためのタレントマネジメントツールです。将来を見据えた内部人材の計画的育成はもちろんのこと、採用、学習管理までをワンストップで提供できます。

SAP SuccessFactorsのようなITツールの活用は、中堅・中小企業の人事戦略をバックアップし、経営戦略に沿った人材の最適化を促します。人材の最適化が達成できれば、人手不足による種々のリスクを軽減しながら、ビジネスの成果向上が期待できるでしょう。