ERPと基幹システムは何が違う?似て非なる両社の違いを知り、経営の強化に資するIT投資を!

企業の多くの部署で、業務の効率化やスピード化が求められていることでしょう。特に中堅・中小企業においては、業務の効率を向上させるために基幹システムの改修を検討している企業も多いのではないでしょうか? 今回は基幹システムからの移行先として有力なERPについて、その言葉の定義や解決できる課題を紹介します。

※ 本記事は2017年12月に掲載された記事を、加筆・修正したものです。

目次

中堅・中小企業の経営層の中には、「ERP=基幹システム」という認識を持っている方が大勢いらっしゃるようです。確かに、ERPが広く普及した現代においては、この認識は間違いとは言えません。ただし、厳密に言えば、ERPと基幹システムは分けてとらえるべきもので、そうすることでERPを経営課題の解決にどう役立てるかの道筋もより明確になります。


そこで今回は、ERPと基幹システムとの違いを明らかにしながら、ERPで既存の基幹システムを刷新するメリットについてご紹介します。

ERPとは何か?

ERPとは、もともと経営の効率化を実現するための「概念」、ないしはコンセプトです。生産管理手法である「MRP(Manufacturing Resource Planning)」を、会計などの管理業務にまで発展させたものが、ERPです。

ERPの基底にある考え方は、企業が有する資源を一元化して管理し、リアルタイムな経営判断に役立てるというものです。この考え方を具現化するためのITシステムが、ERPシステムであり、現在は「ERP」が「ERPシステム」の代名詞として使われています。

ERPは、すべての業務を統合し、部門間でシームレスなデータ連携を可能にします。具体的には、「生産」「購買」「在庫」「会計」「人事給与」「販売」といった部門単位(あるいは、業務単位)のデータが、統一した仕様の下でデータベースにまとめられ、伝票情報も一元化されます。つまり、企業内に点在している情報を一個所に集めて、企業の「今」を正確かつタイムリーに把握し、経営戦略や戦術の決定に役立てるのです。


ERP概念図

基幹システムとは何か?

一方、基幹システムとは、企業の主要業務を支えるシステム全般を指しています。ここで言う「主要業務」とは、企業が日々のビジネスを展開するうえで欠かせない業務のことです。そうした業務は、「基幹業務」とも呼ばれ、それを支えるシステムのことを「基幹システム」と呼んでいます。

また、基幹システムは「バックオフィス系システム」「業務系システム」などとも呼ばれており、次の6つに分類できます。

  • 生産管理システム
  • 販売管理システム
  • 購買管理システム
  • 在庫管理システム
  • 会計システム
  • 人事給与システム

これらは、それぞれ独立したシステムとして構築されることが多く、データベースや画面仕様、帳票出力仕様などが異なるのが一般的です。そのため、各業務の担当部門、ないしは部署をまたいだデータのやり取りを行いたい場合には、システム間のデータ連携が必要になります。

基幹システムとは、こうした「業務単位」で独立したシステムの総称と考えて良いでしょう。

基幹システム概念図

ERPと基幹システムとの決定的な違い


ERPと基幹システムの決定的な違いは、システムとしての目的がそもそも異なることです。

基幹システムは、特定の業務を効率化することを目的にした仕組みです。例えば、販売管理システムは、販売管理という業務を効率化するための仕組みです。そのため、それを強化したところで、販売管理の効率性を増すという、局所的な効果しか得られないことになります。

それに対して、ERPは経営基盤を強化するためのシステムであり、全ての業務データを一元化して監視し、経営戦略・戦術の決定材料をリアルタイムに提供することを大きな目的にしています。ゆえに、ERPの導入によって経営上の意思決定をスピードアップし、変化に対する会社組織の即応性を高めることが可能になるわけです。

言うまでもなく、基幹の業務は全て、企業の経営戦略・事業戦略を支えるためのものです。実際、例えば、生産管理の業務効率だけを向上させても、市場の動きと連動した生産が行えていないのであれば意味はなく、数多くの不良在庫を抱え込むリスクや、その逆のリスク──つまりは、欠品を生じさせ商機を逸するリスクを回避することはできません。

業務視点での効率化と、経営視点・全社視点での最適化──。基幹システムとERPとの最大の違いは、そこにあります。

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基幹システムをERPに置き換えるメリット

基幹システムをERPに置き換えることにより、次のような効果が期待できます。

  • 経営状態の可視化
  • 業務効率化による現場負担の軽減
  • 調達コストや在庫保管費用の最適化
  • 生産管理工程の管理、調整の適正化

いわゆる「製・販・在」でそれぞれ分離していたシステムをERPによって統合すれば、業務部門間の情報伝達速度は格段に向上します。これは現場レベルでの無理や無駄を省き、コスト削減と利益増大という「攻防一体」の効果を発揮するものです。特に注目すべきは経営状態の可視化が進むことで「次の一手」が打ちやすくなることです。

ERPをはじめとしたIT投資は、どうしても守りの側面が強調されがちでした。しかし、経営判断の基礎とすべきデータを素早く確認できるERPでは「攻め」の戦略にも活かせるのです。

クラウドERPならさらなるメリットも

中堅・中小企業にとって、ERPの導入は基幹システムからの順当なアップグレードパスといえます。しかし、もうひとつ先のアップグレードパスが「クラウドERP」なのです。クラウドERPはオンプレミス型ERPに比べて、導入コスト、運用・保守コスト、導入期間の負担が軽く、中堅・中小企業向けに最適化されています。一般的にクラウドERPは、サーバーやネットワーク機器といったハードウェア資源の調達が必要なく、導入時の金銭的負担が軽くなることがメリットです。ただし、導入時の負担はハードウェア資源の調達だけではありません。ビジネスシナリオの分析や再構築こそが、ERP導入時の最も大きな負担であり、企業の足かせとなりがちな部分です。

したがって、あらかじめ優秀なビジネスシナリオを持つクラウドERPならば、実績のある成功事例をそのまま適用できることから、導入時の負担が大幅に軽減されることになります。

基幹システムとの違いを体感!クラウドERPのベストバイ「SAP Business ByDesign」

これまで紹介したERPやクラウドERPのメリットを、すべてカバーしたクラウドERPが「SAP Business ByDesign」です。ERPパッケージベンダーとして世界のトップを走り続けた実績と、豊富なビジネスシナリオで、どんな中堅・中小企業のビジネスにも素早くフィットします。クラウドERPの特性を活かし、導入後のシンプルかつ低コストな運用、ビジネス規模に見合った投資額で、企業の足かせになることもありません。世に存在するERPパッケージのなかでも、実績、機能、導入コスト、ビジネスシナリオの質と量すべてにおいて抜きん出た存在がSAP Business ByDesignといえます。基幹システムからの脱却を目指す中堅・中小企業を、次なる成功のステージに導くパートナーとなり得るソリューションです。


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