データビジュアライゼーションで会社が変わる!?ビジネスに生かせる情報の見方と見せ方

データが苦手なビジネスパーソンは多く、経営者でさえデータの裏付けのない経験や勘を重視してしまう傾向があります。データは現実を客観的に知り、未来を予測するのに必要です。重要だけど理解が難しいデータを分かりやすく表現する技術がデータビジュアライゼーションです。

今やデータの裏付けのない企業経営やビジネス戦略には、結果を大きく見誤る危険性すらあります。しかし、意思決定で重要な立場にある経営層や、会社を代表するような優秀な営業パーソンのなかにも、データが苦手で、自分の経験や勘を頼りにしがちな人が少なくありません。そこで注目されるのが、複雑なデータをわかりやすくビジュアルにする手法である「データビジュアライゼーション」です。

データが注目される理由

IoTはデータをあらゆるモノや場所から収集可能にし、AIはデータの解析を自動化できる仕組みです。両者はこのところ注目度を高めています。ここで、その背景にあるデータ活用のメリットについて整理しておきましょう。

なぜいまデータが注目されるのか?

IoTが注目されるのは、これまで想定ができなかったような機械や場所から、リアルタイムで膨大なデータを集められるようになったからです。対象は工場の機械、公共の機器類、家庭の電化製品など多岐にわたります。また、AIやビッグデータの話題が絶えないのは、それらのデータを解析することで、ビジネスに役立てることができるからです。

AIによるデータ分析結果が誰の手にも その読み方と活かし方が重要に

AIが急速に存在感を増したのは、データ分析を自動的に行い、機械自らが学習してさらに高度な分析ができるからです。また、どの企業でもそれを利用できる機会が見込めるのも理由のひとつと考えられます。これまでデータ分析は研究者や技術者などの仕事でした。それが、AIのような計算能力が普及することで、マーケティングはもちろん、データとは無縁だった職種でもその活用が問われる時代になってきています。「データを制するものはビジネスを制する」時代の到来といえるでしょう。

求められるデータビジュアライゼーション

データビジュアライゼーションとは「ビジュアル」という言葉にあるように、見せ方の技術です。なぜ必要なのかを考えてみましょう。

データ分析ができてもそれが活かせないケース

AIやIoTのようテクノロジーの力を使えば、どの企業もデータを集められ、分析ができるようになりつつあります。しかしデータ分析ができても、以下が満たされないと、その結果をビジネスに活かすことは難しいでしょう。

  • 経営層を含むデータ分析の素養がない人でも、その意味することを理解できること
  • 関連する部署やスタッフが、データの意味を理解し、課題の共有や目的意識の統一ができること
  • データ分析者がデータをビジュアル化(グラフ作成、スライド作成)して説明するのではなく、スピード感を出すためにも、誰もがデータを直接読めるようになること

つまり専門知識がない人でもそのデータを見て内容を理解できないと、せっかくの分析データも宝の持ち腐れになってしまうということです。

注目を集めるデータの伝え方の技術、データビジュアライゼーション

さて、本題のデータビジュアライゼーションとは、どのような概念になるのでしょうか。要約すると、「膨大で複雑なデータ(数値)をグラフや図、絵などを使い、分かりやすく(直観的に)伝える技術」となります。その表現方法はこれまでのグラフやチャートという概念を超え、アート作品のような「絵」ですらあります。目を引く工夫、データを見る(知る)楽しさのような要素も必要です。そして、複数の側面から見るべき複雑なデータを、ひとつの図式に表せるような情報集約の機能も担います。

データビジュアライゼーションの役目

人は複数の課題を同時にこなすのが苦手です。しかしビジネスは、そのような単眼思考を許してくれません。常に起きる問題や課題に対して同時に処理していかなければならないのです。一見、関連性のない課題も、実は企業運営やビジネスの根幹の問題と結び付いていることもあります。そのため、片方を改善したことでもう片方が悪化するようなことも起き得るのです。

これらの複雑な問題はパターン化して捉えることが重要なので、現状認識や意思決定の手助けとなることがデータビジュアライゼーションの使命といえます。すなわち、情報共有とその伝達の速さ、正確さ、重要度の優先順位などを伝わりやすくするために、データビジュアライゼーションがあるのです。

経営のためのBIでもビジュアライゼーション

では、実際の企業におけるデータビジュアライゼーションの有効活用は、どのような場面から生まれるのでしょうか。

経営情報こそデータのビジュアル化

経営分析やその方向性を決めるのに活用されるBIシステムについて考えてみましょう。かつては経営企画部のような部署がBIからデータを引き出し、加工してビジュアル化させて経営陣に説明するような使われ方をしていました。その後BIのあり方も変わり、経営者自身がシステムを操作し、直接データを見て考えることの重要性が認識されるようになりました。そのため、経営層のみならず、営業部やサービス部門などに向けたBIによるデータ分析結果も、自分たちで見て解釈し、次の行動への指針とする必要があります。データビジュアライゼーションの役割として述べた「誰でも複雑なデータを理解できること」がBIの機能として重要になってきたのです。このように、データビジュアライゼーションが「情報の可視化と共有化」を実現しています。

社内の誰もがデータを活用できるように

BIに限らず、社内での「情報の可視化と共有化」を図るには、データの整理や管理方法、新しいデータの取得ルールなどの統一も必要です。会社の誰もがビジュアル化されたデータから活動結果を振り返り、次のステップに活かせるようになることが理想といえます。このように、会社とビジネスの動きが、それぞれの立場でビジュアルにつかめるようにデータ運用を考えていくことがポイントです。

データは活用されなければ意味がない、データとビジュアルをセットに

データビジュアライゼーションについてまとめると次のようになります。

「勘や経験のみに頼らず、現実をデータで客観的に知りビジネスに役立てる時代。そのデータは数値ではなくビジュアルにしてより深く、実践的に理解できるようにする」

その意味でBIツールは、自社の経営やビジネスの動きをデータ上にビジュアライズできるツールであるべきです。そして、情報の共有と内容の把握を、経営層から社員に至るまでが充分に行えることが重要です。データビジュアライゼーションはそれらを支援する技術として有望だと言えます。

実は難しくないBI専門ツール

それではBIツールの導入についても簡単に触れておきましょう。誰でも使いこなせるExcelも、関数やマクロを駆使すれば一定のデータを取り込め、必要な分析をすることができます。しかし、それには専門的な統計の知識が求められ、仕様変更をするにもプログラミングの知識がある程度必要です。また、苦労して作り込んでも、別の角度で数値を分析するとなると、プログラムや関数の組み直しから始めなければなりません。そのため、専門のツールを活用した方が、実ははるかに効率的で、容易な操作性や可変性も手に入れることができるのです。

ITや統計の知識がなくても、ビジュアルで数値を把握できるのがBIツールのメリットです。そしてクラウドコンピューティングの活用もポイントでしょう。導入目的やその範囲をテスト的に限定できたり、必要に応じて機能や分析手法を選択できたりするため、無理なく始めることが可能です。SAP Analytics Cloudは、従来の固定的な経営報告データをよりライブ感のあるデータとして分析し、直観的にビジネスを理解するためのツールです。難しいという認識をこの機会に払拭し、興味のあるテーマから気軽にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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