在庫管理システムとERPの関係とは?ビジネス戦略としての在庫管理

商品が次々に売れていた時代は、在庫は多めが安心でした。しかしモノが売れなくなった時代、在庫は可能な限り縮小するのが基本です。その管理はITによるものに変わりつつありますが、さらに一歩進め、経営資産の最適化が可能なERPへの取り組みが有効です。

倉庫の中に商品がいくつあるかを知ることが在庫管理です。モノが売れなくなったといわれる現在、過剰な在庫は資金を圧迫し、供給の遅れは顧客満足度を低下させます。現行の在庫管理システムと運用について再評価してみてはいかがでしょうか。企業のビジネス資産を管理し最適化するERPを使った在庫管理についてご紹介します。

在庫管理

商品や製品を販売する会社なら設立以来、在庫管理を行っているでしょう。完成された仕組みや長年の経験上のルールで運営されていることと思います。しかし在庫管理の目的から、もう一度掘り下げてみてはいかがでしょうか。

在庫管理をすることの意味

基本的かつ重要なのが「正しい在庫の状況を適切に知る」ことです。在庫が切れてから気付いたり、需要が先細っているのに過剰な在庫を抱えたりしないように、常に在庫の量を把握しておくことが第一です。

在庫量が分かれば次は「在庫を適正に調整する」ことを考えます。供給逼迫(ひっぱく)が起きないようにある程度余裕を持った在庫にしておけば安心ですが、それが逆にコストを生んでしまいます。より大きな倉庫を借り、人員もそれだけ多く必要になるからです。

コスト的にベストなのは、常に在庫が最小ですむことですが、その調整が一番難しいのです。原材料の供給が不安定な場合は、それを見越して原材料の在庫を余分に準備しておかねばならないケースもあります。製品や半製品だけではなく、原材料も含め、これらのすべてを過不足なく確保することが在庫管理の本来の姿です。

在庫を把握しているだけでは意味がない

つまり在庫を把握しているだけでは不十分で、それでは管理するうえでの付加価値が得られないのです。この付加価値とは顧客に対してのものではありません。社内の在庫コストを圧縮したり、安定供給を実現し、サプライチェーンも含めた商品や製品の流れをスムーズにしたりすることを意味します。主に次の2つの結果を期待してのことです。

  • 在庫や流通コストの削減:その分の資金を製品の開発や営業などの戦力に生かす
  • 商品供給の速度アップ:多品種少量の商材でも品薄や在庫過剰にならず、顧客の要望とともにすぐに製品を供給でき、他社と差別化を図る

在庫管理システム導入の実際

そこで在庫状況の把握と適切な調整には、ITの力が大きく関わることになります。在庫管理システムの重要性について見てみましょう。

在庫管理システムの重要性

コンピューターがまったくなかった時代から在庫管理は行われてきました。人が目で確認し、帳簿に記録する方法です。商品等の出し入れを常に記録しておけば、在庫を把握できます。それをIT化することで、どのような恩恵があるのでしょうか。

  • リアルタイム化:バーコード、QRコード管理の導入で、1品ずつの出入庫のタイミングがわかる
  • データによる確実性:手書きの帳簿のような記入ミス、集計ミスがなくなり、過去からの時系列を把握できる
  • ITによるスキルレス化:ハンディーターミナル等を活用することで、スキルレス化、労力の削減などが可能
  • 在庫管理データの他分野への応用:時系列データの分析からの生産や営業へのフィードバック
  • 見える化:すべての活動と流通をデータで捉えることで、倉庫内のみならず、出入庫の様子も含めた在庫の動きがデータで目に見えるように把握できる

在庫管理の目的を明確に

在庫の数量などはデータ化されていても、その入力前の段階で伝票からの手入力が残されていたり、一部に紙の帳簿が残されていたりしたのではIT化不足です。古い在庫管理システムでは、そのような非効率な部分が残されているかもしれません。在庫管理システムの目的のひとつは、徹底したIT化と効率化の追求です。

次にスキルレス化です。在庫管理に長年の経験や勘が必要なようでは、ベテラン社員が不在のときに業務が滞るといった弊害が生じます。不合理な個所の見落としや後継者が育たないなどの問題も生じ、不正(横流しや不正会計)が起きないとも限りません。IT化のひとつの目的には、そういった弊害を取り除くためのスキルレス化や業務の標準化があります。つまり、端末とコンピューターを操作すれば、誰もが正確な在庫の管理ができるようにすることです。それにより、少ない人数で在庫管理することができるようになります。

3つ目として、集めたデータの新しい利用があります。これまでの在庫管理では在庫資産の把握といったように、経理上の役割が大きかったといえます。今後は、データを在庫の予測や適正化のシミュレーションに活用可能になるでしょう。

ERPと在庫管理

企業のビジネスリソースを最適化するためのシステムがERPであることは、ご存じの方も多いと思います。その観点から在庫管理を考えてみましょう。

在庫は企業の資産

在庫は、販売される前の商品や生産前の原材料等の一時保管の工程だけではありません。在庫は売り上げの原資であり、営業資産です。その運用を適切に行うことで、在庫というコストを可能な限り圧縮でき、またその在庫データを生産や流通、営業等の活動に活用できます。
それにより、在庫管理というノンプロフィット業務をプロフィットへの貢献度の高い業務に変えることができるのです。在庫の管理は、しなければならない業務ではなく、ビジネス戦略のひとつという位置づけになります。 そこで経営資産の最適化を図るためのシステムであるERPの利用がおすすめです。ERPを用いて在庫管理することで、ビジネスへの有効活用がしやすくなります。

企業トータル、サプライチェーンでの最適化

企業全体や、それを含めたサプライチェーン全体の最適化が進まないと、本当の意味での在庫の適正化が進んだとはいえないかもしれません。在庫管理のビジネスへのプラス効果も限定的になってしまいます。最終的な目標であり理想でもあるのは、在庫の流れをサプライチェーンの中で捉えることです。また、どのような動きがビジネス全体の活動を最適にできるのか、データから把握し、有効な施策を打ち続けていくことが重要です。その第一歩が、ERPでの在庫管理になるのではないでしょうか。

在庫管理はビジネス管理

在庫管理というと、受動的でノンプロフィットなイメージになりがちです。今後は在庫とその管理もビジネスの一部として捉え、積極的に企業経営に取り込むことが求められます。そのためには在庫管理のIT化のみならず、経営資産の最適化のためのERPとの関係性が重要になってきます。ERPはクラウドでの調達が可能なため、短いリードタイムで生産や販売、経理を含めた在庫管理のトータルなシステムが実現できるでしょう。

在庫管理を戦略的に考えるうえでのパートナーとして、クラウド型ERPの運用が有用です。SAP Business ByDesignならビジネス展開を急ぐ中堅・中小企業をサポートします。すぐに導入でき、限られた人数のITスタッフでもリソースプランニングも含めた在庫管理を実践できます。これを機会に在庫管理のみならず、ビジネス管理まで思考を広げてみてはいかがでしょうか。