優秀な人材が採用できない、定着しない──人事担当者を悩ませる、人材不足を解決する方法

少子高齢化・人口減の荒波のなか、日本企業の人事担当者は多くの課題に直面しています。前回のブログでは、その課題を5つに集約して紹介しました。今回からは、それらの課題をどう解決するかを考えていきます。その初回に当たる今回は、企業の人材不足を慢性化させる「良い人材が採用できない」「良い人材を採用できたとしても定着しない」という問題をどう解決するかについて見ていきます。

あらゆる業種・産業で深刻度を増す人材不足

バブル崩壊後の約20年間、労働市場は長く“買い手市場”の状態にありました。経済成長は低迷を続けていたものの、逆に、人事部が必要な人材の獲得・確保に悩むことはあまりなかったと言えます。

「万が一、誰かが辞めても、代りの人材はすぐに見つけられる」──。

そんなふうに考えていた人事の方も多くおられたのではないでしょうか。

しかし、そのような時代はすでに過ぎ去っています。働き方の多様化に伴い、今日では優秀な人材──特に、優秀な若い人材を獲得する難度はきわめて高く、しかも、転職市場も活発になり、人材流出のリスクも高まっています。結果として、「優秀な人材が採用できない」「定着しない」という事態が打開できず、人材不足を慢性化させてしまう恐れが強まっているのです。

少し前まで、人材不足の問題は、建設、介護、小売・飲食・宿泊サービスなど、特定の業種・業態で顕著に見られてきました。ところが今日では、ほぼすべての業種・業態で人材不足が深刻化しつつあります。例えば、製造業でも人材不足の深刻度が年々深まり、経済産業省『2018年版ものづくり白書(ものづくり基盤技術振興基本法第8条に基づく年次報告)』を見ると、人材確保の状況を「課題」とする回答者(経産省調査の回答者)の割合が2016 年12月時点では58.4%であったのに対して、2017年同月時点では70%へと拡大し、そのうち「大きな課題となっており、ビジネスにも影響が出ている」とする回答が22.8%から32.1%へと増加していることが分かります。

さらに、中小企業の人材不足はすでに慢性化の様相を呈しています。

中小企業庁によれば、2013年第4四半期以降、全業種において従業員が「不足」とする企業の割合が「過剰」と答えた企業の割合を上回り、状況は悪化を続けているようです(出典:中小企業庁『2018年版中小企業白書』)。

こうした中で、多岐にわたる規模の、そして業種・業態の企業が、優秀な人材、ないしは将来が嘱望できる若い働き手を雇用しようと必死になっています。その厳しい環境において、優秀な人材を獲得し、かつ、人材の流出を抑えるために、人事担当者は何をしなければならないのでしょうか──。

従業員満足度の向上が人材採用難の打開に通じる

まず、人材の採用難について言えば、根底に少子高齢化・人口減という日本社会の構造的な問題があります。そのため、人事担当者の力だけで状況をいきなり好転させることは難しいと言わざるをえません。

考えられる解決策の一つとして、新卒社員や中途入社の人材に対して、給与・待遇などの雇用条件を引き上げるという手もありますが、その手法には限界があります。雇用条件の引き上げには、それだけの原資が必要とされますし、既存の社員とのバランスも取らなければなりません。しかも、学歴や経歴、面接の印象だけで、その人材が、本当に自社にとって貴重な戦力になりうるかどうかは判断できないはずです。その中で、雇用条件を引き上げることは高リスクです。

さらに、今日の優秀な人材──とりわけ、さまざまな会社から引き合いがあるような、若くて優秀な人材は、待遇面での多少の違いだけで会社を選ぼうとはせず、その職場で働くことで、「どれだけ自分の能力が活かせそうか」「自分の将来のために、どこまで自分の能力が伸ばせそうか」、あるいは、「この会社であれば自分の望んだ将来がしっかりと描けそうか」といった点を大切にするはずです。もちろん、社内での人材の定着率も気にかけるでしょう。

ですから、人事担当者としては、まずは現有の社員が「自分の能力を活かし、正当に評価してくれる」と感じられるような職場作り、あるいは、「自分の望んだ将来がこの会社であれば描ける」と感じられるような職場作りに力を注ぎ、従業員の満足度を高めていくことが大切と言えます。

また、こうして従業員満足度を高めることができれば、自ずと、人材の定着率が高められ、それが結果的に、採用の状況を好転させることにつながるはずです。ちなみに、SNS時代の今日では、会社の悪い評判が伝わるスピードがきわめて速いですが、良い評判が伝わる速度も同様に速く、その点でも、従業員満足度を高めることで、会社の良い評判が広く伝搬され、採用の状況が一挙に好転する可能性は高いと言えます。実際、働き方改革の潮流の中で、働く時間や場所に制約を設けず、従業員が働き方を自由に選べるようにする企業が増えはじめていますが、こうした企業の多くが、人材採用のレースで優位に立っているようです。

従業員満足度向上のための具体策

では、上述したような職場作りを推し進めるには、具体的に何が必要とされるのでしょうか。

まず何よりも重要なことは、ひとり一人の社員に対する理解を深めることです。

具体的には、個々の社員がどのような期待やスキル、才能を持ち、採用から現在に至るまで、どのような経験/トレーニングを積み、今日に至っているのか、また、これまでの目標や評価、成果はどうだったのか、さらには、それと報酬との相関関係はどうなのかといった情報をすべて人事担当者や各部門の管理職者が把握することが大切です。

そのうえで、管理職者は、自分の部下たちと密接にコミュニケーションを取りながら、各人が直面している課題や仕事に対する問題意識、さらには、希望(異動・キャリアパス)を常に把握し、自社・自部門の事業戦略に沿ったかたちで、それぞれの目標や将来を描いていくことが重要でしょう。そうすることで、社員のモチベーションを高いレベルで維持し、上司が気づかぬうちに部下が不満を募らせ、人材の流出へとつながるような事態も回避することが可能になります。

もちろん、社員個々のあらゆる人事情報を、その鮮度を保ちながら、人事担当者や管理職者が共有・把握するのは簡単なことではありません。そこで必要になるのが、人事にかかわる情報を一元的に管理し、共有するための特別なプラットフォーム──すなわち、タレントマネジメントのシステムです。

タレントマネジメントシステムの利用価値

タレントマネジメントシステムを使うことで、社員ひとり一人の人事プロファイルを一元的に管理することが可能になります。例えば、SAPのタレントマネジメントシステム「SAP SuccessFactors」を活用すれば、社員ひとり一人について、入社前のコミュニケーションから入社後の所属部門、業務内容、異動履歴、過去の評価結果といったプロファイルを一元的に管理することが可能になります。これにより、社員個々の適性に沿った的確な人材選抜・配置、育成が可能になり、社員の能力・経験を無駄にしない人事がタイムリーに遂行できるようになります。

また、社員のモチベーションを高めるうえでは、企業が一方的に社員の目標を定めるのではなく、企業と社員の双方で、社員の志向や思い描いている将来を勘案しながら、キャリアパスを明確に定義することが大切です。また、その実現に向けた具体的な育成や配置プランも、社員に提示しなければなりません。SAP SuccessFactorsを使えば、そうしたキャリアディベロップメントプランも効率化され、定義したキャリアパスや育成・配置のプランを適切に管理していくことが可能になるのです。

SAP SuccessFactorsは、フルクラウドのタレントマネジメントシステムであり、初期導入にそれほど大きな資金や手間を必要としないというメリットもあります。また、クラウド(SaaS型)の特性を活かした短期導入(最短一か月~)も可能です。社員の満足度を高めて、人材流出と人材採用の問題解決を早期に図りたいと考えているなら、SAP SuccessFactorsの採用を検討されてみてはいかがでしょうか。


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