データ分析を経営のPDCAサイクルに組み込む──分析を企業の実利に結びつける方策を知る

データ分析でよく起こりがちなこと──。それは分析結果を“見る”だけで、具体的なアクションに何も結びつけないことです。ただし、「分析が分析で終わってしまう」というのでは、分析の精度を上げることも、経営・ビジネス上の“実利”へとつなげることもできません。本稿では、分析を分析で終わらせないための方策と、分析のPDCAサイクルを回すことの意義について考えます。

「データ活用」の本来的な意味

自社のビジネスを取り巻く経済環境、競争要因、顧客ニーズなどの変化に対応し、的確なアクションを起こしていくためには、従来のような勘と経験、あるいは“肌感覚”ではなく、客観的な事実(ファクト)に裏付けられた意思決定を迅速に下し、実際のアクション(施策)へと結びつけていく必要があります。

そこでまず必要になるのが、データの収集と見える化ですが、それはあくまでも“第一歩”にすぎません。データを見える化して、ビジネスの現状が確認できたとしても、確認しただけでは、何の効果も生まないからです。

データ分析のそもそもの目的は、ビジネスの継続的な成長や発展にデータを役立てることにあります。ですから、分析結果を実際の施策へと結びつけ、施策の結果を評価し、分析精度の改善と施策の改善に役立てていくこと──ある一時点のスナップショットでの分析に留まらず、ビジネスのサイクルに分析を紐づけ、データ分析を基にしたPDCAサイクルを回していくことが、「データ活用」の本来的なかたちと言えるのです。

例えば、データ分析の結果を踏まえながら、将来の目標・計画を作成、これを組織で共有して管理し、定期的な予実比較やギャップ(差異)分析を行う。そこから、問題解決のための施策を検討して遂行し、成果を追跡して評価する──。そんなPDCAサイクルをしっかりと回していくことが重要です。

まず考えるべき分析プロセスの標準化

上の記述を読み、「分析結果を施策に活かすことは当たり前だろう」と多くの方が思われるかもしれません。ただし、データ分析の結果が実際の施策に反映されず、「分析が分析で終わっている」ケースは、多くの企業で見受けられているのです。

では、なぜそのような事態に陥ってしまうのでしょうか──。

その要因はさまざまですが、考えられる一つは、分析の結果・精度が、経営層や現業部門の納得のいくレベルに達していないことです。これでは、経営層に意思決定を促すことも、現業部門に施策の遂行を求めることもできないでしょう。

この問題を解決する一手は、分析のプロセスと、分析に利用するデータ、データモデルを全社的に標準化・共通化することです。

例えば、現業各部門・部署の担当者が作成した分析レポートについて、参照している売上データのバージョンがそれぞれ異なっていたり、経営サイドが把握しているデータと現場からのレポート間で齟齬(そご)があったりなど、分析の元になるデータ自体の信憑性や確からしさに問題があると、分析を見せられた側が、これを基に判断を下すまでの信用を出てきた結果に持てず分析を「参考にする」といった程度で終わらせてしまうことが珍しくありません。

こういった状況を解決するためには、意思決定の元となるデータやデータモデルについては全社的な標準化・共通化を図り、常に「Single Version of Truth(唯一の真実)」を頼りに意思決定が下せるような環境を整えることが不可欠と言えます。またそれが、分析のPDCAサイクルを確立するうえでの初めの一歩となりえます。

また分析のプロセスとデータ、そしてデータモデルの標準化・共通化は、間違った分析に基づく現業部門のミスジャッジを抑止するうえでも有効です。なぜなら、分散されたデータ環境から結果を導くまでに属人的な加工作業が多くなると、分析に使うデータ自体の鮮度・内容に疑義が生じやすくなり、その分析結果が現場の判断ミスを招く恐れが出てしまいます。また、こうした状況下では、現場の担当者が、自分たちの都合の良い結果を導き出したいという思いが知らず知らずのうちに働き、バイアスのかかったデータ分析を行ってしまう可能性もあります。

そうした事態を回避するためにも、分析に使うデータ、データモデル、そして分析のプロセスの全社的な標準化・共通化が必要で、経営トップからマネジメント層、現場の担当者まで同じ認識を共有し、整合性の取れたデータ分析を実践し、的確な洞察を見出せるようにすることが大切なのです。

PDCAで未来を先読みする力を増す

データ分析を基にしたビジネスのPDCAサイクルを確立するうえで、もう一つ重要なことは、「予測」に軸足を置いた分析を行うことです。

実際、過去のデータを単純にグラフ化しただけの分析では、既知の事実を報告しているだけで、のちにどのような施策を講じるべきかの示唆がないため、経営層や現業部門にとってはスタートポイントにしかなりません。経営層や現業部門のより効果的な意思決定/施策展開を導き出すには、「過去のデータや予定データをもとに、未来の出来事を先読みする」ことが重要です。

たとえば、小売事業者の場合、特売品が早々に欠品してしまうのを恐れるあまり、余裕を持ち過ぎた発注を行い、結果的に大量の在庫を積み残してしまうケースがよくあります。このとき、しっかりとした需要予測ができていれば、欠品を発生させないレベルの最適な発注を行うことができます。

また、ホテル業などでも、空室が出てしまうことを恐れるあまり、価格比較サイトなどで早々に安値販売に走っているケースが見られます。しかし、1カ月以上も前に全室を予約で埋めることが、果たして、収益性の面で本当に正解かどうかはわからないはずです。経営的には当日までに予約が入れば問題はないはずで、むしろ適正価格で宿泊客を受け入れることができ、より大きな収益につながるでしょう。こうした最適な資源コントロールを実現するためにも、しっかりとした将来予測が必要になるのです。

もちろん、データ分析によって100%正確な予測を立てることは不可能です。ただし、それこそがPDCAサイクルを確立することの意義とも言えます。予測を立て、施策を講じ、成果を評価する──。こうして、データモデルの継続的な見直しと検証を繰り返し、予測精度を高めていけば、経営効率を大きく向上させいくことができるのです。

機械学習による予測分析でPDCAを現場で回す

では、ここまで述べてきたようなデータ分析プロセスの標準化や将来予測をどうやって実現し、PDCAサイクルを確立することができるでしょうか。

最近では、BI(ビジネスインテリジェンス)の機能に加えて、機械学習をベースとした「Predictive Analytics(予測分析)」と「Planning(計画)」の3つの機能を一体化した便利なツールも登場してきました。こうしたツールを使えば、PDCAサイクルを回しながら、予測精度を高めていくことが可能になります。

ただし、ここで留意すべきはツールとしての使い勝手です。先にも触れたとおり、今日ではビジネスの前線にいる現場レベルでの迅速な意思決定/施策展開が求められています。そうした中で、統計解析や機械学習の専門家でしか使えないようなツールがあっても、企業としての有用性は低いと言わざるをえません。

そこで紹介したい一つが、SAPのSaaS型アナリティクスソリューション「SAP Analytics Cloud」です。

これは、Excel 感覚で使えるシンプルなユーザーインタフェースを備えたデータ分析用のサービスで、専門知識を持たないユーザーが、セルフサービスでデータ分析を行えるように設計されています。たとえば、サービスには、予算/計画策定モデルがあらかじめ組み込まれていて、現業部門の担当者レベルで予実がすばやく確認できるようになります。また、将来予測についても同様で、SAP Analytics Cloud は高性能の計画/予測実行の機能を備えており、企業の収支データはもとより、インターネットなど社外の情報ソースから収集したデータも取り込み、将来予測に活用することができるのです。

分析対象データの統制を全社的に図ったうえで、SAP Analytics Cloudのような分析ツールを活用すれば、データモデルや分析のプロセスを全社的に標準化・共通化させながら、現場による将来予測と意思決定、そして施策展開のスピードと精度を大きく高めることが可能になります。そして、現場レベルでPDCAサイクルを高頻度で回し、予測の精度を継続的に向上させ、収益の向上へとつなげられるようになります。

このような分析のPDCAサイクルを早期に確立すればするほど、より早いタイミングで組織内での予測精度が高められます。それゆえに、すでに多くの企業が、SAP Analytics Cloudを使って分析のPDCAサイクルを回し、競争力の維持・強化に役立てようとしています。そうした先行企業に、ビジネスの一歩先を読む力で差をつけられないためにも、SAP Analytics Cloudの導入と活用の検討を今から始めてみてはいかがでしょうか。


<関連リンク>
SAP Analytics Cloudをもっと知るにはこちら
3種のホワイトペーパー ダウンロード
E-Book「データがパッと可視化されれば“ムダ”な資料作成は不要に~本質的で生産的な日常業務を取り戻す!~」ダウンロード

関連タグ