最新AI技術が導くこれからの人事パート1──「SAP HR Connect Autumn」エッセンス Vol.2

SAPジャパンは2018年11月、人事業務の変革にフォーカスを当てたフォーラム「SAP HR Connect Autumn 2018」を催しました。本コラムでは、その講演内容のエッセンスを紹介します。今回は、SAPジャパン 人事・人財ソリューションアドバイザリー本部シニアソリューションスペシャリスト、山口真一の講演内容のエッセンスを紹介します。

山口の講演内容はビデオでもご視聴になれます。ご興味のある方は、ぜひこちらもご覧ください。

▼山口の講演をオンデマンドで視聴する
https://www.sapjp.com/registration/?id=83

実績のクラウド人事ソリューション

「SAP HR Connect Autumn 2018」での講演に臨んだSAPジャパンの山口真一(人事・人財ソリューションアドバイザリー本部シニアソリューションスペシャリスト)は、SAPが提供する「SAP SuccessFactors」(以下、SuccessFactors)の概要と実績から話を切り出します(図1)。

「SuccessFactorsは、あらゆる人事業務を網羅する日本で唯一のクラウドソリューションであり、GDPR(EU一般データ保護規則)をはじめ世界各国の法規制に標準対応する世界で唯一のソリューションです。すでに日本だけで300社以上、ワールドワイドで6,500社以上に導入され、利用者数は国内130万ユーザー/世界1億ユーザーに達し、サービス基盤のデータセンサーも世界14カ所に広がっています。国や地域、企業の規模、業種・業態を問わず、きわめて数多くのお客さまにご活用いただいています」(山口)。

図1:SAP SuccessFactorsの輪郭 図1:SAP SuccessFactorsの輪郭

SuccessFactorsが、ここまでの実績を積み上げてきた理由は、このクラウドサービスが人事部門の課題解決につながる機能を提供してきたからにほかなりません。

では、日本にフォーカスを当てたとき、今日の人事部門が抱えている課題とは何なのでしょうか──。その答えとして、山口は下記の3点を掲げます。

1. 変化するビジネスニーズに対応した人材の供給
2. イノベーションを生み出す組織作り
3. 従業員と人事部門の生産性向上

これらの課題の解決を阻む問題の一つ目は、国内外に広がる企業グループの人材データが複数のシステムに散在していることです。

「このような状況では、国内外のどこに、どのような人材がいるかが把握できず、新しい人材ニーズに即応することができません」と、山口は指摘し、こうも続けます。

「また、イノベーションを生む組織には、多様な経験やスキルを持つ人材を組み合わせることが求められるとされていますが、人事部門が把握できている人材情報が限定的であると、多彩な人材をデータに基づいて選抜することはできません。結果として、人事担当者の主観だけで、“イノベーションを生むチーム”という、会社の将来を左右するような組織の陣容を決めてしまう恐れが強まるのです」

さらに、上記「3」の課題、つまりは、「従業員と人事部門の生産性向上」を実現するためには、人事部門の定型業務を可能な限り効率化し、従業員の業務遂行をサポートすることが不可欠となります。

AI技術が課題解決をサポート

SuccessFactorsは、上述したような人事部門の課題を包括的に解決することが可能です。その大きな理由について、山口は、SuccessFactorsに組み込まれているAI技術の存在を挙げます。

山口の言うとおり、SuccessFactorsには、業務アプリケーションに特化した世界唯一のAI技術「SAP Leonardo」が組み込まれています。その働きは、特に以下の3つの場面で効果を発揮し、先に示した課題の解決を可能にします(図2)。

1. 分析・シミュレーション
2. 選抜・チーム編成
3. 業務効率化

図2:AI搭載のSuccessFactorsが効果を発揮する3つの場面 図2:AI搭載のSuccessFactorsが効果を発揮する3つの場面

このうち「1. 分析・シミュレーション」は、変化する人材ニーズに対応するためのソリューションです。企業の人材情報や経営情報を集約し、過去のトレンドの可視化、将来の予測やシミュレーションを瞬時に実行します。

SuccessFactorsの分析機能は、企業内のさまざまなシステムから、人材情報や経営情報を取り込むためのデータ連携ツールを備えています。そのため、大きな手間をかけずに人事に必要なデータを収集・加工することが可能です。組織ごとの「要員構成」をはじめ、人件費/教育投資の回収率(人材育成ROI)といった「財務インパクト」、人材採用が上手く回っているかどうかの「採用効率」、さらには、女性管理職者比率などの「ダイバーシティ」に関する状況まで、人事上の計画立案に役立つ指標をダッシュボード上に一挙に可視化することが可能になります(図3)。

図3:SuccessFactorsによるデータ分析画面のイメージ 図3:SuccessFactorsによるデータ分析画面のイメージ

また、分析の軸を「地域別」「職務別」「年代別」などさまざまに切り替えたり、分析対象を全社レベルから特定の範囲に絞り込んだりすることが簡単に行えます。 さらに、SAP Leonardoの予測分析機能により、人件費などの過去のデータから将来予測値を瞬時に割り出したり、「昇給率」や「採用数」といった前提条件を変更したりすることで、将来の人件費を即座にシミュレートすることも可能です。

図4:人件費シミュレーションのイメージ 図4:人件費シミュレーションのイメージ


▼山口の講演録のパート2はこちら
https://www.sapjp.com/gb/blog/archives/864

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