企業変革を推進する前準備──「構想策定」と「変革テーマ検討」の進め方

企業変革の推進には構想策定が欠かせません。マネジメント・プロセス・コンサルティング代表取締役社長の巻幡 雄毅氏によれば、この構想策定は、業務変革とシステム導入の構想書を作成し、社内の合意形成を図る一連の活動であるといいます。では、構想策定は、どのようなステップで進めるべきなのでしょうか。巻幡氏の解説をダイジェストでお伝えします。

情報提供/監修:
マネジメント・プロセス・コンサルティング株式会社
代表取締役社長 巻幡 雄毅氏

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「構想書」と「プロジェクト計画書」の違いを理解する

構想策定は、大きく4つのステップに分けることができます。何のためにやるのかという「企画」、何をいつまでにやるかという「構想」、何を使うか、どの会社とやるかなどの「選定」、誰がいつ何を決めるかなどの「実行プロジェクト準備」の4つです。

このうち「構想」のステップは、「現状分析」と「構想検討」に分けられます。また「選定」ステップは「選定準備」と「選定実施」に分けられます。

今回紹介するのは、この構想ステップのうちの現場分析と構想検討です。

企業変革を推進するための構想では、現状を把握したうえで構想を策定し、現状からあるべき姿に向かうためにどういう活動が必要かをきちんと定義して、社内での合意を形成し、最後に社内承認を得るという流れになります。

ここで留意すべき点は、構想書は、プロジェクトの計画書とは違うということです。例えば、構想書の目的は変革への取り組みについて社内合意形成を行うもので、個別プロジェクト、部門活動の指針となるものです。一方、プロジェクト計画書は、参加メンバーの役割、活動、運営方法などを理解するためのものです。また、構想書が複数のゴールを目指すのに対し、プロジェクト計画書は1つのゴールを目指します。このほか、スケジュール、体制、コストについても違いがあります。

実現プロセスを明らかにする

構想書は、ある意味で、「何を、いつまでにやるか」「費用感はどの程度か」を示し、構想実現のためのプロセスを明確にするものといえます。

アウトプットのフォーマットの一例としては、横軸に四半期ごとの年度をとり、縦軸に項目をとり、取り組みが一覧できるようにします。縦軸の項目となるのは「実現するテーマ」「プロジェクト(業務プロジェクト、システムプロジェクト)」「部門ごとの活動(営業部、財務部、人事部、法務部など)」「コスト(費用概算、投資概算)」などです。

ここでポイントとなるのは、「各テーマの実現に必要な活動と実現時期を明確にすること」「業務/システムの両方の活動を明確にすること」「部門横断で取り組むプロジェクトだけでなく、各部門で実施する改善活動も明確にすること」「各活動に前後関係がある場合はそれを明らかにすること」「各活動から想定されるコストは費用と投資に分けること」です。

「現状分析」と「構想検討」の具体的な作業ステップ

次に、構想における現状分析と構想検討の具体的な作業ステップについて、タスクとアウトプットの掛け合わせで説明します。

まず、現状分析では、既存の業務フローをもとにした「現状プロセス概要整理」、既存のシステム一覧をもとにした「現状システム概要整理」、そのうえで課題の分析と取り組みを定義する「現状課題整理・テーマ定義」などのタスクを実行していきます(図1)。

図1:現状分析の作業ステップ(スライドp11)
図1:現状分析の作業ステップ(スライドp11)


一方の構想検討では、現状分析のフェーズで一覧化した、取り組むべきテーマ(取組テーマ)を深掘りしていく「取組テーマ・施策検討」というタスクからスタートします(図2)。

図2:構想検討の作業ステップ(スライドp13)
図2:構想検討の作業ステップ(スライドp13)


取組テーマを分解し、何をやるかが決まってくると、今度は、どういう順番でいつやるかに入っていきます。この「何を、いつやるか」の順序を検討するのが「実現ロードマップの検討」です。これらが終了すると、ロードマップや費用計画ができあがりますので、それらを「構想書まとめ」として整理します。

構想書は、具体的には「業務プロセス改善提案書」「情報システム導入企画書」などに分解することもできます。これらを経て、社内承認に移っていきます。

変革テーマ検討の進め方

続いて、変革テーマ検討の進め方を解説します。

まず「変革の目的を分解、具体化する」という観点から、上述した「現状分析」と「構想検討」における3つのタスク、すなわち「現状課題整理・テーマ定義」「取組テーマ・施策検討」「ロードマップ検討」の内容について説明しましょう(図3)。

図3:変革目的の分解と具体化(スライドp5)
図3:変革目的の分解と具体化(スライドp5)


現状課題整理・テーマ定義では、目指す姿やビジネスの特徴、現状の課題を整理します。そしてここから、取組テーマを定義します。これを施策に分解していき、前後関係を整理してロードマップを作成します。

また、それぞれの施策は、業務・部門役割変更点、業務取組み・規定基準整備、システム要求事項、想定効果・測定方法などに分解できます。これらを、新組織定義、新業務フロー、新システム要件、改革進捗モニターなどで活用していきます。

実行プロジェクトに入ると、さまざまな問題が発生することがままあります。例えば、変革プロジェクトがいつのまにかシステム構築プロジェクトに変質してしまったり、途中で頓挫したり、といった具合です。

こうした問題が発生する根本原因は、変革の目的を分解、具体化することが十分にできていなかったことにあります。

「何を」を分解するステップと「いつ」を決めるステップ

「何を」を分解するステップと、「いつ」を決めるステップと言い換えることができます。

まず、「何を」を分解するステップの出発点はテーマです。テーマとは「ビジネスメリットを記載できる単位」と定義できます。ビジネス上何を成し遂げるか、ビジネス上の変化によりどんなメリットを狙うかという検討の単位です。これは結果的に費用対効果を見極める単位に置き換えることができます。

これらテーマは「施策」に分解できます。施策は実現する単位に分解したものです。さらに施策は「アクション」に分解できます。アクションは、業務ルール変更やシステム要求事項などの定義した項目にまで分解したものです。

次に、「いつ」を決めるステップです。これは、分解したアクションをどのタイミングで実行するかを示したものです。施策は、業務取組み・規定基準整備、システム要求事項などカテゴリーごとに分解します。次に実施するのは分解したアクションを実行する単位ごとにかたまりとしてグルーピングします。似通った内容、一緒にやったほうがいいものを、施策を超えてグルーピングしていくイメージです。

施策は「実現単位」に分解したものだといいましたが、分解されグルービングされたアクションは「実行単位」です。こういう違いを意識して検討していきます。

実施体制を組織するうえでの考え方

次に、「誰が、誰を」にあたる実施体制をどう計画するかについて説明します。

何かのアクションのかたまりを実行するときに考えなければならないのは、新しい取り組みなのか、部門に閉じた取り組みなのか、既存ルールのオペケーションの変更・改修なのかです。これらを判断の材料にして、プロジェクトとして実施するか、部門で実施するものかを振り分けていきます。

変革は必ずしもプロジェクトでやるものではなく、部門の改善活動として実施するものもあるということです。運営にあたっては、進捗管理、課題管理、全体スケジュール管理などを行う会議体の考慮が必要になってきます(図4)。

図4:実施体制の考え方(スライドp11)
図4:実施体制の考え方(スライドp11)


以上、今回は構想策定と変革テーマ検討の進め方について解説しました。次の機会に、ベンダーなどをどんな段取りで選べばよいのかというベンダー選定の進め方と構想の最終フェーズである実行プロジェクトの準備について解説します。


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