人事部門も人手が足りない!──給与計算にまつわる中堅・中小企業のお悩み解決(その1)

すべての企業にとって、欠かすことができない人事部門のコア業務が給与計算です。給与計算と一口に言っても、例月の給与支払い、それに付随する各種税計算と納入、賞与計算、社会保険算定、年末調整、退職金計算とその業務は多岐に渡りますが、これが正確にできていないと、残業代の未払いによる労務リスクや所得税の未納による税務リスクなどを引き起こしてしまいます。想像以上に煩雑な手間がかかるこの業務に多くの人事部門が疲弊しており、抜本的な改善が急がれます。

給与計算に悩まされる人事部門

給与計算は最も早くから“電算化”が進められてきた業務の一つです。単純な事務作業に見えながら、想像以上に複雑で煩雑、そして手間がかかることが、その理由です。更に法律の改正により、付随する帳票や提出書類のレイアウトが変更になることなども毎年のようにあります。

一人ひとりの従業員の支給額は、基本給だけでなく残業代や各種手当などにより毎月大きく変動します。また、社会保険料や雇用保険料、所得税、住民税などを控除し、年金事務所や税務署などに納めなくてはなりません。要するに給与の支給額・控除額を計算すると同時に、国に納める正しい税額や保険料額も計算しなければならないわけです。加えて、従業員の結婚や出産、住居移転など身上変更や資格取得による資格手当の追加などのイベントがあれば、それにあわせて各種手当や社会保険、税金の金額も変更しなければなりません。
例月の給与に加え、夏季と冬季の賞与(ボーナス)、春には大量の人事異動や組織の統廃合、秋には社会保険算定業務、そして年末には一年の給与総決算である年末調整が控えています。

こうしたことから給与計算を担う人事部門は、常に多くの課題を抱えているのが実情です。特に中堅・中小企業によく見られる“お悩み事”、つまり、課題は次のようなものです。

課題1:紙の申請書類やExcelの煩雑な処理に追われている
給与計算については、市場にさまざまなパッケージが流通しており、多くの企業に導入されています。ただし、問題はそうした単体システムのみでは業務が完結しないことです。社員の身上変更や年末調整などの申請は紙の書類で行われており、その内容をExcelに一件ずつパンチ入力してデータを作成しシステムにアップロードするなど、人事部門の担当者は重い作業負担を強いられています。データの入力源が紙であったりエクセルであったりするため、それらを回収するところから人力が必要となってしまうからです。

課題2:法改正のたびにシステム変更のコストと時間がかかる
給与計算システムは、いったん導入すれば半永久的に使えるわけではありません。サーバーやソフトウェアには一定の保守期限が定められており、数年ごとのシステム更改が必要です。また、労働基準法などの法改正が行われた場合も、それにあわせた各種プログラムの改修が必須となります。例えば2018年の年末調整では、これまで「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」が二つに分かれ、雇用者は都合3枚の年末調整関連帳票を会社に提出しなければならない、といった法改正が実施されました。

パッケージ製品を導入していても企業独自のカスタマイズを行っていることも多く、その場合も同様にシステム変更には大きな負荷がかかってしまいます。

課題3:人事部門の担当者はITシステムの専門知識を持たない
給与計算システムを適切に運用していくためにはITに精通した人材が不可欠です。しかし、人事部門の担当者は給与計算業務そのものには精通していても、ITシステムの導入やメンテナンスを自前でできるようなスキルも知識も持ち合わせていません。人事部門にその責任を押し付けることは、計算ミスや法令違反などを引き起こしかねない重大リスクを招いてしまいます。また、人事部主導で初期導入ができたとしても、その後の人事異動や配置転換でそのメンバーが別部門に移ることも考えられるため、将来的に人事給与システムがブラックボックス化してしまう危険性を孕んでいるとも言えます。

課題解決のカギはクラウド活用にあり

では、給与計算にまつわる上記のような課題にどう対処すべきでしょうか。

その課題解決のカギと言えるのが、クラウドサービスとして提供される人事給与システムを活用することです。

クラウドサービスを使えば、サーバーやソフトウェアパッケージを社内に導入する必要はなく、それぞれの保守サポート切れによる更改を気にすることなく、長期にわたり安定的にシステムを利用することができます。また、毎年のように行われる法改正に伴う修正もクラウドサービス側で行われるため、プログラム改修のコストや検証の手間が大幅に削減されます。人事給与システムを自社「所有」する形態から、クラウドネットワークを通して「利用」する形態へシフトすることが可能になるのです。

そうしたフルクラウドの給与計算システムとして、SAPでは「SAP SuccessFactors Employee Central Payroll」を提供しています。このソリューションの最大の特長は、過去25年以上にわたって日本企業の人事給与業務をサポートしてきたSAPのノウハウを“統合型”のプラットフォームとして内蔵していることです。

先ほど、給与計算業務は単体システムでは完結せず、多くの中堅・中小企業において従業員の身上変更や年末調整などの申請が紙の書類でやり取りされている事情を述べました。SAP SuccessFactors Employee Central Payrollはこうした給与計算に関連するすべての業務を包括的にかつデジタルでサポートしています。

ワークフローのペーパーレス化、および他システムとのデータ連携を実現することで、担当者の負荷軽減ひいてはコスト削減が可能となります。加えて複雑な計算処理に対応するとともに充実した自動チェック機能を備え、給与計算におけるケアレスミスの防止や自動化にも貢献します。

人事部門の給与計算担当者だけでなく、社員一人一人にも自身のマイページが与えられ、社員は各種申請(引っ越し、結婚、銀行口座の変更など)をセルフサービスで行うことができるようになります。ワークフロー機能と連動しているため、社員が申請したデータは即座に人事部担当者に送られ、担当者が承認するとそれが新しいデータとして書き換わります。

ペーパーレス化だけでなく、申請処理の効率化、ひいては生産性の向上にもつながります。


“守り”だけでなく“攻め”の人事施策にも踏み出す

SAP SuccessFactors Employee Central Payrollでは、ITシステムに関する専門知識やスキルも不要です。人事給与に関するあらゆる機能が一元化されたプラットフォームがクラウドサービスとして提供されているため、人事部門はこれを“利用する”だけですみます。

また、世界177カ国、6500社以上の企業に対するサポート実績を有する経験豊富なコンサルタントやパートナーが導入を支援し、低リスクかつ短期間で自社の給与計算業務への適用を実現します。

一般的な給与計算のパッケージソフトやクラウドサービスと違って、SAP SuccessFactors Employee Central Payrollでは、“その先”を見据えた人事施策にも容易に踏み出すことができます。同じ統合プラットフォーム上で「SAP SuccessFactors Employee Central」という人事マネジメントのソリューションも提供しているのです。

給与計算は人事部門が担っている広範な役割の中で、いわば“守り”に位置付けられる業務です。ここまで述べてきたとおり、このコア業務を強化することで企業はコスト削減やリスク抑制など多大なメリットを得ることができます。ただ、一方で給与計算システムを導入するだけでは収益向上や新規事業の展開といったビジネスへの貢献にはつながらず、経営層からも新たな投資はなかなか認められないのが現実ではないでしょうか。

その意味でも急がれるのが、“攻め”の人事部門への転換であり、そこでの重要な鍵を握るのが、SAP SuccessFactors Employee Centralを基盤とした人事マネジメントです。具体的には、高度なスキルを備えた人材の獲得や育成を行い、経営戦略に基づきながら、適材適所で人員を配置して、一人ひとりが意欲的に活躍する場を創出していく──。そうした環境づくりを人事部門が主導することで、ビジネスの成功と持続的な成長に貢献することが可能となります。

人事業務を“守り”と“攻め”の両面から包括的に支援するSAP SuccessFactorsを活用することで、中堅・中小企業もビジネス戦略を新たなステージに移行することができます。


関連タグ