SAP SuccessFactors導入企業に学ぶ「人事の悩み解消法」──世界標準のタレントマネジメントで顧客志向の経営戦略を支える

SAPの人事ソリューション「SAP SuccessFactors」が、人事部門の悩みを抜本的に解決しうるフルクラウドのソリューションであることは、このコラムでも幾度か紹介してきました。では、実際のユーザー企業は、SAP SuccessFactorsをどのように使い、課題解決に活かしているのでしょうか。今回は、その実例を一つ紹介します。それは、デジタル製品を主力に全世界でビジネスを展開している日本のテクノロジーカンパニー、A社(仮名)の事例です。この事例からは、SAP SuccessFactorsによって、どのようなことが可能になるかの一端がご理解いただけるはずです。ぜひ、今後のソリューション検討にお役立てください。

グローバルなテクノロジーリーダーシップの確立に向けて

A社は、プロユースのデジタル製品を主力にビジネスを展開している企業です。同社の開発・販売の拠点は世界各地に広がっており、社員の70%近くが、欧州や米国、中国、インドなどの拠点で働いています。

そうしたA社が、創業時から一貫して追求してきた会社の姿は「顧客志向のテクノロジーカンパニー」です。顧客とのフェイスツーフェイスの対話を重視し、顧客の声に耳を澄ませ、その背後にある真のニーズやペインを見いだす──。そんなデザインシンキングのアプローチを通じて、顧客の期待を超える製品を生み出し続けてきことが、同社のグローバルな発展・成長を支えてきました。

ただし、デジタル製品が進化するスピードは猛烈に速く、顧客のニーズも目まぐるしく変化します。その中で、「顧客志向のテクノロジーカンパニー」としての発展・成長を持続させるには、世界各地で働く社員が、同じ想いや価値観を共有しながら、顧客のニーズを掘り起こし、技術革新にチャレンジしていくことが求められます。言い換えれば、顧客の潜在ニーズを把握し、顧客の想像の半歩先、一歩先をいくような優れた製品/サービスを提供し続けるためには、世界各国のすべての社員が同じ経営ビジョン・目標を共有しながら、それぞれのスキル、知見、ノウハウ、創造性を総動員できるような体制・環境を築くことが必要とされるのです。

そのためには、日本の本社サイドで、世界各地で働く、多様性に富んだ一人ひとりの社員をより詳しく知ることが必須となります。そのうえで、国や地域、文化、考え方の違いを超えたリーダーシップを確立することが求められました。

この経営課題の解決を託されたのが、人事部門です。課題解決の要請を受けた人事部門ではグローバルな人事システムの抜本的な見直しに着手しました。というのも、それまでの同社では、地域や国ごとに異なる人事システムが導入・運用され、人材にかかわる情報がバラバラに管理されていたからです。

このような人事システムのあり方を全面的に改変しないかぎり、経営の要請にこたえることはできません。つまり、全世界共通の人材情報管理の基盤を構築して、各国の拠点のどこに、どのような人材がいて、いかなる役割を担い、どのような仕事をしているかをリアルタイムに、かつ一元的に把握できるようにすること。また、それによって、社員一人ひとりの能力を最大限に活用できるようにすることが必要とされたわけです。その実現に向けて、A社の人事部門が採用を決めたのが、SAPの「SAP SuccessFactors」でした。

採用の決め手は使いやすさと“フルクラウド”

SAP SuccessFactors採用の決め手となったのは、次の2つのポイントです。

ポイントの1つ目は、「使いやすさ」です。タレントマネジメントでは、人材に関する情報をどう集めるかがカギになり、人事部門にとっての使い勝手だけではなく、人材の情報を入力する現業部門にとっての使いやすさも、システムの良否を判定するうえでの重要なポイントになります。その点で、SAP SuccessFactorsは、シンプルで直感的に操作できる優れたインターフェースを備え、簡単なガイダンスにより情報が入力できます。それがA社の高い評価につながりました。

また、2つ目のポイントは、SAP SuccessFactorsが「フルクラウド」の人事システムであることです。クラウドであるがゆえに、SAP SuccessFactorsのシステムに対しては、パソコンやスマートフォン、タブレットなどを活用して、いつでも、どこからでもアクセスし、情報の閲覧や更新が行えます。そうした機能の実現は、グローバルに展開する人事システムには必要不可欠とA社では考えました。

さらに、SAP SuccessFactorsを導入することで、会社の事業目標と個々のチーム/社員の目標との関係性を明確化し、それぞれの目標の達成度合いを見える化するのも容易になります。例えば、SAP SuccessFactorsの目標管理機能を利用することで、企業全体の目標と、各チームの目標、そして個々のメンバーの目標を相互に関連づけることができます。そのうえで、チームリーダー(A社の場合で言えば、テクノロジーリーダー)やチームのメンバー各人が、SAP SuccessFactorsを使い、日々の取り組みや目標達成の可能性、コメントなどを継続的に更新していきます。これにより、A社のテクノロジーリーダーと人事部門のマネージャーは、企業、チーム、メンバーの目標達成度合いを、それぞれの関係性の中で、正確に把握することが可能になるのです。

SAP SuccessFactorsの活用によって、テクノロジーリーダーとチームのメンバー各人は、それぞれのパフォーマンスの改善方法について体系的に話し合うことが可能となります。また、チームのメンバーは自分の目標達成のために何に取り組んでいて、どこまで進んでいるのかをテクノロジーリーダーに逐次伝えることができます。そして、人事部門のマネージャーは、テクノロジーリーダーとチームのメンバーとのやり取りや“1on1(一対一)”ミーティングの内容を追跡し、テクノロジーリーダーに対して、より効果的なコーチングのガイダンスを提供することができるようになります。

目標管理にかかる人事部門の工数が従来の2分の1に圧縮

SAP SuccessFactorsはすでに、A社の人事部門にさまざまなメリットをもたらしています。一つは、日本を含む各国の拠点の人材情報の統合化と一元管理、そしてグローバルな活用を、セキュリティの統制を効かせながら実現したことです。

例えば、欧州の拠点にいるテクノロジーリーダーが、日本のメンバーの人材情報にアクセスすることもできます。これにより、テクノロジーリーダーは、プロジェクトごとに適切なメンバーを各国から選り抜いてチームを編成することができ、かつ、編成したチームの目標管理も一元的に行っていくことが可能になりました。

一方、先にも触れたとおり、A社では従来、人事システムが国ごと(拠点ごと)に異なり、人材情報データベースの構造も異なっていました。そのため、国内外のすべての社員の目標をとりまとめる際には、各国の拠点に現地社員の目標をまとめさせてFAXやメールなどで本社に送付させ、それを本社の人事部門が表計算ソフトに手作業で入力するという、多大な手間をかけていたのです。それが今日では、国内外のすべての社員のあらゆる人材データ──つまりは、業務上の目標や評価結果、スキル情報、業務履歴など──が、SAP SuccessFactorsのデータベースに集約されています。これにより、人事部門が社員の目標をとりまとめる工数は従来の2分の1以下に圧縮されたといいます。

さらに大きい成果は、世界規模での人材の在り処が可視化されたことです。つまり、各国のどの拠点に、どんなスキルや専門性を持った人材がいて、それぞれがどのチームに所属しているかの最新情報が見える化されたわけです。これは、国や組織をまたいだプロジェクトを推進するうえでも、人材の開発やダイバーシティを重視する新しい企業文化を醸成し、イノベーションの力を育むためにも、意義のある大きな変革であるとA社はとらえています。

さらに今後に向けてA社では、SAP SuccessFactorsの更なる利活用を計画されています。目的の一つは、人材開発力の強化です。具体的には、一人ひとりの社員の適性にあわせたカスタムメイドの教育プログラム作りにSAP SuccessFactorsで管理されている人材情報を有効に活用していこうとしているのです。SAP SuccessFactorsによる人材情報の一元管理は、すでにタレントマンジメントや目標管理の効率化にとどまらず、新たな広がりを見せ始めています。

関連タグ