Vol.1:SAPって、何の会社ですか?
【お悩み相談No.180411-1】
総務の仕事の一環として、今年春から情報システムを見ることになり、右も左も分からない毎日を送っています。そんな中で、社長から「業務を見直したいので、SAPのことも調べておいて」といきなり命令されて…….。
SAPって一体、何の会社なんですか。
<製造A社 総務部情報システム担当 28才/男性)
三田さん。この相談に、どう答えたらいいでしょう。
うちのホームページのURLをお送りして、「こちらでお調べください」と言うわけにはいかないですよね。
当たり前だよ。
この人は、うちのホームページぐらいはすでにチェックしていると考えなきゃ。
で、社長から「業務見直し」の指令を受けているとすれば、そのためにSAPが何をできるのかを明快に伝えることが重要だね。
ならば、どう答えれば……。
まずは、基本情報をお伝えするべきですよね。
知っているの?
当たり前ですよ。
まず、SAPは、ビジネスソフトウェアの開発・販売を手掛ける多国籍企業で、本拠地はドイツ。設立は1972年で、元IBM社員が、めちゃ長いドイツ語名(Systemanalyse und Programmentwicklung)で会社を立ち上げたのが始まり。
すごいじゃない。
でも、それはお客さまにとってはあまり役に立たない情報だから不要かな。
ならば、組織の規模とか売り上げとか、ユーザーの傾向とかはどうでしょう。
例えば?
まず、SAPの売上規模は237億7,000万ユーロ(約3兆1,500億円/2017年通期。
拠点は154カ国に広がり、従業員数は世界約8万8,500人。SAP製品を利用するお客さまの数は37万8,000以上に上っていて、SAPのクラウドサービスの契約数もすでに1億5,000万アカウント。SAPユーザーの中には、Forbes Global 2000 社の 87%が含まれている、とか。
よく覚えたね。
ただ、そうした情報も大切だけど、今回のお悩みへの回答としては、
例えば、Forbes Global 2000 社の87%が、どうしてSAPユーザーなのかを簡潔に伝えることのほうが重要かな。
そう言えば、何でなんですか。SAP製品がこれほど普及したのは。
えっ、知らないの?
あれ、研修で習ったかな。そうだメモメモ………。
あっ、あった!
世界の会社がSAPを選ぶ理由は、えーっと、あーそうだ「ベストプラクティス」だ。
何でしょ、ソレ?
「何でしょ、ソレ」はないだろ(笑)。
どういう意味なんですか、ベストプラクティス。最高の練習??
確かに分かりにくいよね。
ただ、その前に、どうしてSAP製品が普及したかを知らないと。
なぜ、なんですか?
それは、ERP(Enterprise Resource Planning)という手法によって、経営のあり方、業務のあり方を全社規模で最適化していくというSAPの考え方が、数多くの企業経営者に支持されたからさ。
人・金・モノという経営資源を、収益向上に向けて最適化するためのシステムを提供し、多くのお客さまに受け入れられてきた、と覚えておけばいい。
じゃあ、ベストプラクティスというのは?
ベストプラクティスとは、世界の成功企業が、試行錯誤の末に獲得した業務ノウハウと考えればいい。
SAPの中核プロダクトであるERPは、さまざまな業種・業態の企業がこぞって活用し、それを土台に業務フローを最適化してきた。
その膨大な数のノウハウが、SAP ERPには取り込まれている。
なので、お客さまの裾野がどんどん拡大していったわけ。
なるほどー、
でも、他社が苦労して獲得したノウハウをちゃっかり使うって、ずるくないですか。
そう、ある意味ずるい。でも合理的だよね。
世界中の成功企業が獲得したノウハウを参考にできるわけだから。
それに、企業本来の強みは業務の進め方にあるわけじゃなく…….って、
人の話を聞いている? なんでスマホをいじっているのさ。
あ、すみません。
ちょっと気になることがあって。
確か、SAP製品は大企業向けの超高級品ですよね。今、今回の相談者の会社を調べてみたんですが、規模はあまり大きくないようです。
相談にどこまでこたえるのが正解なのかが、分からなくなって。
コラコラ、誰に教わったんだ、SAP製品が大企業向けの高級品だなんて。
え、違うんですか。
違うよ、全然、違う。
確かに、かつては、SAPのERPを使うまでには、相応の投資と期間が必要だったと思う。
ただし、それって結果的にそうなっただけで、しかも古い話。SAPがこだわっているのは、すべての企業・組織に幸せになってもらうことで、規模なんて関係ない。
ならば、自信を持って今回のお悩み相談に乗れますね。
安心した~。ということで、そろそろ帰社時間なので、失礼してもいいですか。
えーっ、即日レスが基本だよね。相談してきた人に申し訳ないじゃない。
そんなこと言われても…。働き方改革って言うし、ヨガにも行かなきゃならないし。
ヨガ……って。あのさ、そもそも働き方改革というのは……。
あ、そうだ!
三田さんが直接、答えちゃえばいいんだ。
私なんかより、断然、説明がうまいし、物知りだし。
うん、そうしましょうよ。三田から答えさせますって、一報を入れておきますね。
ちょ、ちょっと待ちなさい、話を聞きなさい……。
三田さん。効率化です。
ベストプラクティスの有効活用です。
ああ、急がなくちゃ。あとは宜しくお願いしまーす。お疲れ様でしたー。
う、うん。お疲れー(って、いいのか、これで…….)。