Vol.16:間接材の調達コスト(モノ・サービス)を削減、見える化したい!

【お悩み相談No.200120-1】
会社の支出をまとめているときに、いつも釈然としないのが“間接材”に対する支出です。会社の全支出に占める割合が大きいにもかかわらず、間接材の支出については、意外と管理が甘く、どのような判断と取捨選択の下で、モノや人的サービスが購入されているかが経理側ではとらえ切れていないのが実情です。そのため、個々のコストが本当に適正かどうか、また、正しい取引が行われているかどうかも見えにくい状況です。グローバルでの厳しい競争に打ち勝つには、削れるコストは徹底して削り、より多くの資金を戦略投資に振り向けなければなりません。また、コンプライアンスの観点からも、間接材支出のガバナンスを強化する必要があると感じています。管理が難しい間接材を賢くシステムで管理する事は可能でしょうか?
<製造AAA社 財務担当 42歳 女性>

三田さん。「間接材」って何ですか? 今回のご相談は、最初の一文から特殊ワードが。

えっ、「間接材」はちっとも特殊ワードじゃないよ。一般的な用語(あれ、でも、教えていなかったかな)。

「間接材」は、「直接材」の対語よ。落合さん。

あ、師匠。今日はお出かけかと(師弟共有カレンダーによると)。

うん、予定が夕方にズレたのよ。前回送ったサービスについての資料をきちんと勉強したのかと思って、確認しにきたのよ!

なんでも相談室Vol.15「社員満足度調査を実施する目的とは? 社員満足度を効率良く実施するシステムは存在する?」

今ちょうど勉強中です!それよりも今回はこのような相談内容がきて、落合に説明しようとしていたところです。

師匠、先ほどおっしゃられた「直接材」と「間接材」の関係というのは……。

直接材というのは、製造で言えば、製造の原価に含まれる部材・資材を指す言葉。落合さんにとって身近な化粧品を例にとると、化粧品の原料や容器が、直接材。

ならば、間接材というのは……。

例えば、ノートとか、消しゴムとか、鉛筆などの備品は間接材。

あ、そうなんですね~、って、三田さん。ご相談には、「(間接材への支出は)会社の全支出に占める割合が大きい」とありますけど、そんなに大量のノートや消しゴム、鉛筆を購入されているんでしょうか、相談者の方の会社では(社員全員が猛烈なメモ魔とか)。だとすると、メモにはスマホがいいですよ、とお伝えすれば、すべてが解決……。

解決しません。もう、三田の説明のし方が悪いから、話が変な方向に進んじゃうじゃない。

す、すみません。

どういうことですか。

会社の備品も確かに間接材。でも、それだけじゃない。例えば、業務で使うITシステム、広告宣伝/マーケティング部門が購入する広告枠や広告用の作り物、さらには、コンサルタント/フリーランス/派遣社員が提供する人的サービスなどなど、多岐にわたるモノ、サービスが間接材に含まれるの。

ならば、SAPのERPシステムも、お客様にとっては間接材ということですか。

そうよ。会社で使うIT機器、ソフトウェアはほぼすべてが間接材。

なるほど。とすれば、間接材への支出は大きくなりそうですね。でも、そうした間接材の調達先や支出がどんなふうに決められたかが、財務・経理部門の方から見えていないなんてことはあるのですか。

あるわよ。ITシステムは支出が比較的大きいから、調達・購買のプロセスがきちんと報告されるのが普通だけど、間接材の細かい支出については、プロセスがほとんど財務・経理部門に伝えられないのが、日本では一般的。

なぜ、そのような状況に。

間接材の調達・購買が、その間接材を使う現業部門・部署に一任されているケースが多からなの。もちろん、その場合でも、財務・経理部門には、どういった間接材が誰の承認の下で、いくらで購入されたかの情報は伝えられる。ただし、「どうして、この間接材を、この会社から、この価格で購入したか」というプロセスまでは伝えられないのが通常なの。なので、その辺りが不透明になるのよ。

そうした不透明さが、相談者の方がいう“コンプライアンスにかかわる問題”を生じさせてしまうわけさ。

コンプライアンスですか……えーっと、よく分かりません。

要するに、間接材の調達・購買プロセスが、会社や法的なルールに則って標準化されていたり、可視化されていたりしないと、違法行為を働く人が出てしまうリスクが高まる、ということかな。

それはどういうことですか。

例えば、三田が、ある部門での間接材調達・購買の最終承認者だとしましょうか。想像してみて。

ハイ、想像しました。

で、三田の友達がフリーランスのシステムエンジニアで、かつ、三田はすごくお金に困っているとする。さあ、想像して。

えーと、システムエンジニアの友達がいて、お金に困っていて、いつも間食しているお菓子が買えないで苦しんでいる三田さん。想像しました。

(お菓子が買えないで苦しんでいるって……どんな想像だ)。

で、あるとき三田は、友達と結託して悪事を働くことを思いつく。その悪事とは、してもいない自分へのトレーニングをしたという請求書を友達に発行させ、それをもって財務・経理部門に支払いを要求するというもの。

なんと、“カラ請求”。

そう“カラ請求”。三田の承認があるので、財務・経理部門は、安心して三田の友達に請求どおりの料金を支払ってしまう。そして、三田は、友達に支払われた金額を友達と折半して、「しめしめ」となるのよ。調達・購買のプロセスが、のちの検収までを含めてきちんとルール化され、見える化されていないと、いま話したような違法行為をする人が出ても、財務・経理の管理部門ではなかなか気づけないのよ。

三田さん、ダメですからね、そんな悪事を働いては。

おい、想像から現実に戻ってこい。そもそも俺はプリセールスだから、そんなことできません。それにしません。

まあ、三田は出来ないわね。まあ、日本のビジネスパーソンのほぼ全員がそんな悪さはしない。だからこそ、日本の企業は、社員を信用して、現場に間接材の調達・購買を一任してきたとも言える。でもね、さっき話したような違法行為が日本でこれまで一度も起きなかったわけじゃないの。逆に何度も起きてきたのよ。間接材は、不正行為に使われやすいのよ(特に、かたちの残らないような間接材は)。

残念ですね。

そう残念。それから、現業部門・部署の人たちにとっては、間接材の調達・購買は本業ではないでしょ。

そうか、だから全く目が届かないのか。

なので、どうしてもコストパフォーマンを徹底的に追求する手間を省いたり、自分たちだけの都合であるとか、好みであるとか、やりやすさを優先させて調達先(サプライヤー)を選ぼうとしたりするの。結果として、調達先が固定化され、競争原理が働かなくなり、間接材支出が高止まりしがちになるという問題もあるわね。

サプライヤーが固定化してしまうと、“癒着(ゆちゃく)”とまではいかないまでも、馴れ合いのような関係ができて、適正な交渉ごとがなおざりにされたりしますからね。

そうなのよ。また、各部門・部署に調達・購買のすべてを任せていると、調達・購買のプロセスにバラツキが出るのはもとより、情報もバラバラに管理されるようになるの。結果として、社内のどの部門・部署が、どういった間接材を、どのサプライヤーから、いくらで調達しているかといった情報を俯瞰してとらえるのも難しくなる。各部門・部署も、他部門・他部署が、どこから、いくらで、何を調達・購買しているのかも見えないしね。

それによってどんな不都合が生じるのですか。

ひと口に言えば、全体最適の視点で支出を適正化するのが困難になる、ということかな。例えば、落合さんが間接材のコストを下げたいなあ、と常日頃から考えている社長だとする。ホラ、想像してみて。

自分が社長と、ハイ、想像しました!

で、あるとき、会社の複数の部門・部署が、同じような間接材をそれぞれ異なるベンダーから購入していることがわかりました。さあ、どうする?

えーっと、あ、そうだ、間接材の調達先を絞り込むためのコンペを催して、ボリュームディスカウントを引き出すようにしますね、きっと。

おー、なかなかの経営センス。そうなの、そうするのが正解。各部門・部署がそれぞれの調達先に値下げを要求するのは、単なる「ディスカウントの強要」になる可能性があるけれど、調達先を絞ってボリュームディスカウントを要請するなら、調達先にもメリットがあり、コストカットが実現できる可能性が高まるわけ。

複数の部門・部署が、同じベンダーから、異なる間接材をそれぞれ購買していることが分かったときも、ベンダーに値下げの交渉ができるかもしれませんね。

そう、それもありうるわね。いずれにせよ、間接材に対する会社の全支出を見える化すると、調達・購買コストを戦略的に適正化していくことが可能になる。反対に見える化ができていないと、コストカットの施策が局所的、あるいは、場当たり的になり、ともすれば、間接材の品質低下を招くことにもなりかねないわけ。

なるほど。分かりました! ところで、全社における間接材調達・購買のプロセスやデータを見える化するには、具体的に何をどうすればいいのですか。そのためのITソリューションって、あるのでしょうか。

あるわよ。「SAP Ariba」と「SAP Fieldglass」がまさにそれ。間接材のことを知らなかった落合さんは、この2つのソリューションについてまだ勉強していないと思うけど。

はい、勉強していません(キッパリ)。

恐ろしく正直ね(苦笑)。この2つの製品もとっても重要だから、しっかり勉強しておくのよ!まあ、相談者の方へのお返事が優先なので、今日のところは、簡単な説明にとどめるから、あとで、ちゃんと勉強しておいてね。

はい、承知しました。

よろしい。まず、SAP Aribaはモノ系間接材の調達・購買を管理するソリューションで、SAP Fieldglassは、派遣社員や人材サービス系の調達・購買の管理ソリューションなの。ともに調達・購買にかかわるプロセスの標準化と可視化、データの一元管理を実現するのよ。

なるほど、便利そうですね。

便利そう、というか、便利なのよ。実際、例えば、SAP Aribaは、世界における調達・購買管理のデファクトスタンダードよ。SAP Aribaのソフトウェアを使う企業(バイヤー)と、間接材のサプライヤーとを結ぶeコマースプラットフォーム「SAP Ariba Network」は、Fortune 100社の94%、Fortune 500社の80%以上が活用していて、このネットワークには世界190カ国/420万社(2019年6月時点)のサプライヤーが参加し、年間約3兆ドルもの間接材商材の取引が行われているの。SAP Fieldglassも世界中で152,000社のサプライヤー登録があり、毎時588名(年間600万人)の人材登録のトランザクション処理が行われているのよ。スゴイでしょ。

ス、スゴイですね。

その数字を別の角度からとらえると、世界では、間接材調達・購買の集中管理が常識的な施策ということですね。

そのとおりよ。相談者の方が言うとおり、間接材の支出はかなり大きいの。その統制をとり、コンプライアンス性を確保しながら、支出の適正化/削減を図るというのは経営上の重要なテーマですもの。

なるほど、支出の切り詰めは大切なのですね。

当然よ。支出はコストで、コストは直接利益にヒットするものですからね。例えば、売上げに対する利益率が10%の会社が、間接材の支出を仮に5万円減らせたら、50万円を売り上げるのと同じだけの利益が得られるでしょ。

なるほど、そうですよね。早速、相談者の方に、SAP AribaやSAP Fieldglassのことをお伝えしないと(急がねば)。三田さん、お願いしますね。

あ、やはり私がお返事を書くのね。

そうそう、三田がお返事を書きなさい。落合さんは、SAP AribaとSAP Fieldglassの勉強をしないといけないからね!(今の状態だと間違ったことを書くわ)。

確かにそうですね、すぐに書き上げてお送りしておきます。

それから、三田さんも、個人支出を切り詰めたほうがいいですよ。お菓子とかよく買ってくるじゃないですか。メタボにもよくないし、カットしたほうがいいです。師匠にも今年は健康に気を付けるように言われてますからね。

僕の個人の支出は、自分の中で統合管理しているわけで……。

フフフ、“間食材”支出とカロリーの削減か。落合さん、ナイス提案。三田、すぐに実行に移しなさい(このままだと老後が心配)。

はあ。

頑張ってね。相談者の方へのお返事も任せたわよ。

わ、わかりました(二人揃うと威圧感がすごい)。