Vol.2:ERPって何ができるの?

【お悩み相談No.180416-1】メーカーのセールスチームを統括しています。部の部下たちから、「販売可能在庫が全然見えないから、納期回答がちっとも速くならない。工場をなんとかしてほしい」と懇願されて辟易しています。知り合いに聞いたら、「ERPを入れるといいよ」と勧められたのですが、そもそもERPで何ができるのですか。
(製造B社 営業部長 45歳/男性)

三田さーん! ど直球の問いかけが来ましたよ! 「ERPって何さ」「何が出来るんだ!」ですって。私も知りたーい!

「私も知りたーい」じゃないよ。SAPの社員なんだから、それくらい即答できなきゃ、ダメじゃないか。

まあまあ、私は新人だし、駆け出しだしで、知らなくて当然と。

自分で言うな。まあ、しょうがない。教えるから、集中して聞いてお客さまにしっかりと回答してね。話の途中で、スマホいじるなよ。

そんな、失礼なことするわけないじゃないですか。

(いつも、してるだろ!)じゃあ、まずは基本のキホンから。ERPは略語で、正式名称は……。

あ、それは知っています。「Enterprise Resource Planning」ですよね。略してERP。

そう。で、エンタープライズ(Enterprise)は「全社・全体」、リソース(Resource)は「人・金・モノ」、そして「情報」の経営資源を指すと解釈すればいい。

それは分かるんですが、じゃあ、ERPのシステムは何を実現するんですか? もしかして、「リアルタイム経営」?

おっ、よく分からずに使ったな「リアルタイム経営」(笑)。
確かに、ERPシステムが実現できることとして、「リアルタイム経営」も正解と言えば正解。ただ、そこにいく前に、まずは、企業のビジネスを支える業務について考えてみようか。

はい。

この相談者の会社のように、メーカー(製造業)であれば、例えば、市場のニーズを把握して、商品を企画・設計して、販売計画と生産計画を立てることから始めるよね。で、実際に商品を売り出したのちには、計画をベースにしながら、販売管理、生産管理、在庫管理、会計といった業務を回して、ビジネスが成り立っていく。

そこまでは分かります。

で、だよ。それぞれの業務プロセスには、お金と、人、情報が必ず紐づくよね。

ええ、紐づきます。

そうした業務の流れと、それに紐づくお金や人、情報の流れを全社的に最適化するための仕組みがERPのシステムというわけだ。

うーん、よく分からない。ERPのシステムは、どうやって、人・金・モノを最適化するんですか。コンピュータが、勝手に指示を出すんですか。ああやれ、こうやれって。

まあ、将来的には、そうなる可能性があるけど、飛躍が激しいかな(笑)。ERPシステムの考え方は、情報に基づいて、人が判断を下すことを前提している。たとえ、AI(人工知能)の技術を使ったとしても、だ。

じゃあ、全社リソースの最適化とか、プランニングを行う際に、人が必要とする情報って何なのですか。

おおー、落合さんから今、初めてまともな質問を受けたような気がする。

なんか感じワル~。

ごめん、ごめん。とにかく、そこがERPのキモなのですよ。落合さんにはまだ分からないだろうけど、会社の業務というのは、とかく、縦割型になりがちなの。同一の商品を売って収益を上げるという共通の目的がありながら、販売管理、生産管理、在庫管理など、それぞれの業務が担当部門内で完結していて、各者が異なる情報を見て、仕事をしていることが意外なほど多い。

うーん、でも、そんなふうに、部門ごとに、バラバラの情報しか見ていないとすると……例えば、昨日まで、A商品の在庫が10個だとしますよね。

うんうん、それで。

今日の終業時点で、営業部は8個の注文を取ったので、商品Aの残る販売可能在庫は2個しかないと認識している。でも、生産管理のほうは、そんなことは知らないから、A商品を2個作ると、「在庫が12個だー、やれやれ本日の業務は終了。家に帰ろう」と思っちゃう。

おお、そのとおりだ(いつもの、あなたと同じ感じ)。

そして、在庫管理の部署のほうは、「今日は5個の出荷指示があったから、在庫は5個か」との認識のままでいる。

だとすると?

だとすると、営業部の認識は「在庫2個」、生産管理部は「在庫12個」、在庫担当は「在庫5個」で翌日を迎えることになる──。それって、むちゃくちゃですよね。

そう、むちゃくちゃ。だから各部門が、本当に正しいオペレーションが何なのかが見定められず、欠品や過剰在庫のリスクが上がるわけ。仮に、キミが言ったたとえの「1個」を「1,000個」とか「1万個」に置き換えごらん。そのリスクがどんなに大きいかが、すぐに分かるから。

本当だ。すごいリスク。

SAPのERPは、企業のあらゆる業務データを一元化することで、そうした部門・部署、あるいは業務間の認識のズレを一掃し、経営資源の最適化を促すことを目的にした仕組みと言える。言い換えれば、全社的なデータのリアルタイムな同期化によって、全社リソースの最適化計画を支援するのが、ERPの本来的な役割というわけ。

なるほどー。すごいですよ、SAP ERP。早速、今回の質問者にも、それを伝えないと。相談者は、営業部で在庫が見えないと嘆いているわけですから。

お、いいこと言うじゃない。

ああっ! もしかすると、すでにSAPの競合にも同じ質問をして、ナイスな回答を得ているかもしれませんよ。急がないと!

そうだ、そのとおりだ。急がなくちゃ。相談者の会社はどこなんだろう…….よかった、それほど遠くない。よし、決めた。電話して、これから直接訪問しちゃうぞ。落合さんも準備して……って、何で落ち着いているのさ。

私はダメです。ハッピーフライデーの申請をしちゃったので、14時で引けです。

ええっ、そんなのありなの? でも、まあ、今回は例外措置として……。

三田さん。例外は許されないのです。無念です。でも、頑張ってきてください。そして、進捗は必ず報告してくださいね。宜しくお願いします!

進捗の報告って…(これって、新時代なの……か)

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