Vol.18:時代はテレワーク。管理業務から紙とハンコをなくしたい!

【お悩み相談No.200819-1】
先の新型コロナウイルス感染症対策で、当社でも工場を除くオフィスを閉めようと、オフィス勤務の従業員はすべて在宅勤務の体制をとったのですが、その期間中、総務・経理・人事といった管理部門の人間は、会社の許可をもらってオフィスで仕事しなければならないことがよくありました。請求書の発送、契約書類の処理など、管理部門では紙やハンコを扱う業務が多く、どうしてもオフィスに出ざるをえなかったからです。
緊急事態宣言に対応してのテレワークは社員の安全を守るための対策ですから、職務によらず、全オフィス勤務者が在宅勤務を実施すべきだと思いましたし、これからはテレワークがオフィスワーカーの標準的な働き方になるとされているので、とにかく管理業務から紙とハンコをなくしたいと考えました。何とかならないでしょうか。ERPを扱っているSAPさんなら、解決の方法をよくご存知かと考え、相談することにしました。
(製造XX社 総務担当 38歳 女性)

※SAPでは、2020年内は社員全員が在宅勤務の体制をグローバルでとることになっている。以下の対話はすべてビデオ会議越しでの対話となる。


大沢師匠、三田さん、ビデオ会議へのご参加ありがとうございます。

こんにちはー、2人の顔を見るのは久しぶりね。ビデオ越しで見るかぎり、二人とも元気そうでなにより、って、三田、少し太った? 在宅勤務中にオフィスにいるときと同じように間食していると、どんどん太るから気をつけなさいよ。

ええ~、そうだったのですか。

そうですよ、三田さん、常識ですよ、常識。

そうか~、確かに在宅勤務はカロリー消費がオフィスワークよりも少ないよなあ。あ、そんなことより、落合さん、そろそろ大沢さんに要件を伝えてよ。

そうそう、そうでした。師匠、このご相談にどう答えるかについて、お知恵を拝借したいのですが。いま、画面を共有しますね……。これです。

なるほど~。確かに緊急事態宣言下でも、管理部門の方が、紙とハンコのせいで、出社しなければならなくなったケースが多かったようね。

当社では、こうしたことは起きていないように思えますが。

起きていないわね。また、うちに限らず、各国の企業の多くが、オフィスワーカー全員のフルリモートワークを実施したけど、海外では、管理部門の担当者が紙の処理のために出社を余技なくされたという話はあまり聞かないわね。

それって、なぜなのでしょう。

管理部門における業務のペーパーレス化/デジタル化が進んでいるかどうかの問題ですよね、大沢さん。

もっと具体的に言えば、電子署名を使う文化があるかどうかの話かな。

え? 電子署名を使っていない会社ってあるんですか。

なるほど~、落合さんは新卒でSAP入社だから、逆にそう思うんだね。確かに日本以外の国では、電子署名がかなり普及しているけど、日本ではあまり普及していないんだよ。

そうなのですか~。それは知りませんでした。

そもそも、ビジネスシーンにおける署名・捺印って、当該の内容について自分が同意したことを証明するためのものよね。なので、署名・捺印が必要とされるドキュメントは、各種の契約書(販売契約書・雇用契約書・秘密保持契約書)や発注書・発注請負書・請求書・同意書・申込書・社内稟議書などと、とても多岐にわたる。海外では、これらの書面内容に対して自分が同意したことを電子署名によって証明できるケースが多いけど、日本では、紙の書面に直筆でサインしたり、押印したりすることほうが依然として多いの。

言われてみれば、そうかも。

そうなのよ。なので、例えば、契約文書などは、紙に印刷した2通の契約文書に印鑑を押して、直筆でサインし、そのうえで契約金額(取引金額)に応じた収入印紙を購入して貼り付けて、割り印を押して、契約相手に郵送し、契約相手に押印と署名をしてもらい、送付した契約書の一通を送り返してもらうといった手順を踏むのが一般的よね。

うわ~、ものすごく大変そうですね。契約を処理しなければならない管理部門の方は大変ですね。

そう、すごく面倒よね。そもそも契約文書を作るところまではデジタルなんだから、契約を交わすときも、電子署名を使ってデジタルで完結させたら、契約文書の印刷・押印・収入印紙の購入・貼り付け・郵送といったプロセスがスキップできて、作業はかなり楽になるし、業務のスピードアップにつながるわよね。

契約書の電子化で収入印紙も不要になるのですか。印紙が必要だから、契約書の電子化は難しいのだろうなーって、思ったのですが。

お、いいところに気づいたわね。でも、電子署名を使った電子契約書には、収入印紙を貼り付ける必要はない(=印紙税が課税されない)という法令があるの。なので、電子署名によって契約を電子化すると、印紙の購入代金も不要になり、その分のコストもセーブできわけ。高額の契約を顧客や取引先と高い頻度で交わす企業は、これによって相当のコスト削減効果も期待できる。

それに、デジタルの契約文書は、保管するのも、あとから検索するのも簡単になるから、「あのときの契約書ってどこだっけ」と、紙のファイルをあちらこちらと探し回るようなこともなくなりますね。

それでも、日本で電子署名があまり普及していないのは、なぜなのでしょう。もしかして、法整備の問題とか。

いいえ、日本でも2001年から電子署名法が施行されているので、電子署名が普及してこなかったことと法制度とは無関係かな。なので、電子署名が日本であまり普及してこなかった本当の理由は私にもわからなくて、文化の問題としか言いようがないのよ。

そうですよね、信頼できる電子署名のソリューションを使えば、直筆のサインや印鑑を使うよりも、はるかに改ざんの心配もなく、その署名の信頼性が高いレベルで担保できますしね。日本で電子署名が普及してこなかった理由は私もよくわかりません。もっとも、近年では、日本の不動産事業者や大手建設事業者の間で、電子署名が普及し始めているようですが。

そうそう。不動産事業者は不動産取引に関する契約がとても多く発生するし、大手建設事業者は、契約を結ぶ協力会社の数がとても多くて、取引の金額も大きい。なので、収入印紙代の削減効果も大きいのよ。

ところで、SAPにはないのでしょうか。電子署名のソリューション。あれば、相談者の方に紹介したいのですが。

電子署名のシステムを開発・提供しているわけではないけど、「DocuSign for SAP」という名称の下で電子署名のソリューションは提供しているわよ。覚えておいてね。

DocuSign for SAPというのは、どのようなソリューションなのですか。

ドキュサイン社の電子署名サービス「DocuSign eSignature」とSAP製品を連携させたソリューションだね。

そのDocuSign eSignatureというのが、三田さんが先ほど言った信頼できる電子署名ソリューションということですか。

そのとおり。DocuSign eSignatureは、世界66万社以上が導入し、数億人がそれを使って署名を行っているサービスで、世界における電子署名のデファクトスタンダードだからね。開発元のドキュサイン社は2003年に創設された会社で、彼らが、不動産契約の簡素化のために開発した電子署名のソリューションが、その便利さから米国のさまざまな業界にみるみる浸透していき、米国における契約業務のデジタル化を加速させたとされている。

DocuSign eSignatureとSAP製品の連携でどのようなことが可能になるのですか。

例えば、間接材調達・管理のソリューション「SAP Ariba」ではDocuSign eSignatureと連携しているけど、これによって、間接材調達に必要なサプライヤーとのやり取りのすべてが電子化され、効率化されるのよ。また、人事ソリューションの「SAP SuccessFactors」とDocuSign eSignatureを連携させることで、新たに採用した人材に対して、採用通知をオンラインで送り、それにすぐに署名してもらい返送してもらえるようになる。そうなれば、人事担当者の事務処理は大幅に効率化され、スピードアップされると思う。

なるほど、わかりました。その辺りの情報を含めて、相談者の方にお返事を出します。とにかく、紙とハンコは電子署名に置き換えることが可能で、そのためのソリューションとしてはDocuSign eSignatureがお勧めと。そして、DocuSign eSignatureをSAP製品と連携させて使うとさらに便利ですとお伝えしておきます。

そうそう頑張って。

ただ、電子署名のお話を伺っていると、このソリューションは、テレワークを推進する、しないにかかわらず、導入して管理業務のデジタル化を推し進めたほうがいいように思えてきました。

そのとおりよ。電子署名のソリューションはもともとテレワークのために開発された仕組みではなく、業務の効率化とコスト削減、そして署名の信頼性を高めるためのソリューションだからね。導入によってテレワークが図りやすくなるのは、電子署名導入の副次的な効果と見たほうが実は正解かな。

なるほど、テレワークが、もともとは業務の効率化や生産性向上を主眼にしたもので、BCP対策として機能するのは副次的な効果にすぎず、ましてや、三田さんを太らすためのものではない、というのとよく似ていますね。

BCP対策についての記事『コロナとテレワーク、そしてBCP』はコチラ


何なのさ、最後のフレーズは。テレワークが、私を太らすソリューションであるわけがないじゃないか。分かりましたよ、控えますよ、間食。

そうよ、三田。SAPは、社員の安全と健康を守るために在宅勤務の体制を敷いているんですからね。そんな中で、メタボを進行させるのはもってのほかです。

分かりましたってば。

関連のお悩み相談はこちら