Vol.9:基幹業務の危機が目前に迫る!10年後も安心なシステムとは?!

【お悩み相談No.190524-1】
情報システム部に配属されたモノです。近年のデジタル化の流れの中で、情シスの担当領域はどんどん広がっています。その一方で、部は慢性的な人手不足。それが解消される兆しはなく、それどころか、先輩たちは、あと10年もしないうちに引退を迎えます。そうなれば、生産管理など、うちの基幹業務システムの中身を知る人が部内にいなくなり、デジタル化がうんぬんの話の前に、通常の業務も回らなくなる恐れがあります。不安になって調べてみると、ベンダー側も、うちの業務システムについて理解している人が少なく、その人たちも何年かで退職。先輩たちは「大丈夫。何とかなる」と言いますが、残される身としては不安です。企業の基幹業務システムに精通しているSAPさんなら、問題解決の何かいい方策があるのでは考え、思い切って相談しました。
(部品メーカーXX社 情報システム担当 27歳/男性)

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う~ん、そうなのか~。

何をブツブツ言っているのさ?

三田さん。この相談を見てください。

どれどれ・・・・・・、なるほど、これは深刻だ。

本当に驚きですよね、うちのチームだけじゃなかったんですよ、ピカピカの若手とオジサンの取り合わせって(どこに消えたの? 30代前半世代)。

コラ、コラーッ!問題にすべき点が、どこかちがーう。それに私は、オジサンではない。落合さんから見れば、オジサンかもしれないが、オジサンじゃない、総合的な見地から言って。

あれ? そうだったんですね、すみません(何だろ、総合的な見地って)。まあ、とにかく今は、相談ごとへの対応ですよ、オジ…じゃない、三田さん。

そうだったね。

この相談者の方の状況って普通じゃないですよね。

うん、あってはならないような状況だね。ただし、日本企業の情報システム部門(以下、IT部門)では似たようなケースが意外と多く見られるんだ。

えっ!これって“レアケース”じゃないんですか!?

そう、レアじゃない。逆に、一般的とすら言える。

なぜ、そのようなことに……。

落合さんが生まれる少し前の1990年代初頭にバブル経済が崩壊し、それからの約20年間、経済情勢がとても不安定になり、多くの企業が雇用を抑えてきた。そのあおりで、IT部門に新しい人材がほとんど補充されない時代が長く続いたんだ。

そんなに厳しい時代が……。

そう。結果的にバブルのころにIT部門に入った方たちだけで、自社のシステムを長く支えざるをえなくなった。そうなると、自ずと、業務システムも含めて、自社システムに関する知識/ノウハウが属人的になっていく。結果、その人たちがいないと、何も分からず、ちょっとしたシステムのトラブルにも対応できないといった状況になってしまった。

その大切な人たちが引退される時期が刻一刻と近づいていると。

ということだね。

でも、相談文面を見ると、年配の先輩の方が『大丈夫、何とかなる』とおっしゃられているみたいですけど。

大丈夫なワケがない。

そうですよね。もう、いい加減だな~、オジサンたち。あ、三田さんのことじゃないですよ。

(だから、オジサンだなんて思っていないっつーの)まあ、とにかく、相談者の方が危惧するとおり、業務システムの中身を知る人がIT部門内にいなくなったら大変だよ。システムの運用管理も、メンテナンスもしっかりと回せなくなり、業務内容が大きく変化しても、それにシステムを対応させられなくなる恐れがあるんだから。なかでも、基幹業務を支えるシステムとして、20年前、あるいは30年前から、構造や使っている特殊なソフトウェア技術がほとんど変化していないような、独自性の強い“レガシーシステム”を使い続けているとしたら、かなり危ういと言えるね。

どういうことですか?

そうしたシステムを使っている場合、提供元のベンダーにも、ユーザーのシステムを理解する技術者がいなくなるリスクが高いからさ。仮にそうなったら、もうお手上げだよね。ちなみに、今回の相談文面を見ると、相談者の方の企業では、どうやらレガシーシステムを基幹業務に使っているようだね。

本当だ、“ベンダー側も、うちの業務システムについて理解している人が少なく……”と書いてありますね。

経済産業省の調べによると、2030年には日本のIT人材の不足数が45万人に達するらしい(*1)。なかでも、AIやIoTなど、いわゆる第4次産業革命やデジタルトランスフォーメーション関係のIT人材不足が深刻になるとされている。

*1 参考:経済産業省 情報技術利用促進課『IT人材需給に関する調査(概要)』
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/gaiyou.pdf

45万人ってスゴイ数字ですね、およそ東京ドーム10杯分だ。

うーん、たとえ方が少し違うような気がするけど、まあ、スゴイ数字だよね。そんな中で、IT企業の多くは、間違いなくIT人材を、AIやIoTなどの新たな分野へ、どんどん振り向けようとするはずで、レガシーシステムにかかわる人的リソースは、古くから経験を積んできた技術者たちだけで小さく固定化してくると思う。結果、レガシーシステムの人的リソースは、高齢化がどんどん進行して、ユーザー企業のシステムの面倒を見てくれる人材が、今後10年程度で枯渇する可能性もある。

そんな中で、相談者の方の問題を解決するには、どうすれば? お答えください!ズバリと。解説の三田さん。

また、解説の三田さんか(笑)。なら、結論から先に言うと、「クラウドERP」を導入するべきだと思う。

やはり、答えはERP。

そうERP。最新のERPで、レガシーシステムで運用している業務も含めて、財務・販売・在庫・生産・物流のすべての業務システムを刷新してしまうのが良策と言い切りたい。

でも、どうしてクラウドなんですか。

相談者の方が所属するIT部門は、慢性的に人手不足でありながら、一方で、デジタル化など新たな施策にも乗り出そうとしているよね。だとすれば、業務システムの保守・運用管理負担は可能な限り下げたほうがいい。そのためには、クラウドERPを使うのがベストだと言える。

なるほど~。

例えば、クラウドERPを使うことで、業務システムを動作させるインフラの導入・保守・運用管理が不要になり、その分の労力が一挙に減らせる。加えて、『クラウドERPの機能に、自社の業務をフィットさせる』という考え方を採用すれば、自社固有の業務プロセスにERPをフィットさせるためのアドオンモジュールの開発も不要になる。これにより、システム構築の工数が減り、低コストでのERP導入が可能になる。また、ERP本体の更新が行われるたびにアドオンモジュールの動作を検証したり、更新したりする手間からも解放される。

まさに、クラウドERP最大の利点でもありますね!

しかも、クラウドサービスというのは、最先端の技術を使った新機能の追加や機能拡張が定期的に、かつ自動的に行われるので、ユーザーは何もしなくても、業務への先端技術の取り組みが可能になるというメリットもある。

そう言えば、私がよく使うアパレル系のサイトも知らないうちに便利になっていることがよくありますけど、それと同じような感じなんですね。

平たくいえば、そう。要するに、機能の強化にユーザーが開発の手間をかける必要はないということ。結果として、IT部門は、業務システムを巡るさまざまな問題から解放されるし、10年後の不安なんて感じる必要はなくなる。現業部門の業務にしても、システム間の連携が確保され、異なる業務間でのリアルタイムなデータ統合が実現されるので、間違いなく効率化されるはず。それに、業務単位で個別にバラバラとシステムを入れるよりも、きちんと事前の準備をしてから、全体最適の観点でシステム導入に進むほうが、結果的に効率的で、コスト面でも安上がりになるんだよ。

でも、財務・販売・在庫・生産・物流のすべての業務を、クラウドERPに合わせて変更するのって大変そうな気がするのですが、やっぱり。

その辺りは、思い切りと考え方次第だと思う。

そうなんですか?

例えば、現場の各部門が固執している固有の業務プロセスが、本当に会社の収益アップや差異化に大きくつながっているか、というポイントがある。それを、突き詰めていくと、固有プロセスの中で執着する必要のないものが多く見つかるような気がする。

そうなったら、ERPのほうにすべての業務をフィットさせちゃったほうがいいわけですね。

絶対そうだと思う。特に、「SAP S/4 HANA」(のクラウド版)のようなクラウドERPには、世界の成長企業のベストプラクティスをベースにしたテンプレートが豊富に備わっている。それを使えば、大抵の基幹業務はカバーできるはずなんだ。

確か前にも、そのようなことを言っていましたね、三田さん。

よく覚えていたね。でもまあ、現業部門を説得し、クラウドERP導入に対する理解や協力を得たり、クラウドERPに現場が慣れたりするまでに相応の時間がかかる可能性もなくはない。だからこそ、今すぐ決断を下して、クラウドERPの導入に動き始めるべきだと思う。そうして業務システムを巡る将来の不安や負担から解放されるタイミングを可能な限り早めて、デジタル化などの戦略的なIT業務に集中できる体制を整えることが大切だね。

なるほど、わかりました。前に伺った『2025年の崖』の話(なんでも相談Vol.6参照)にしても、IT人材が45万人不足する2030年にしても、実は、すごい先だな~と思っていましたけど、やることはたくさんあるんですね。

そうそう。焦ってミスジャッジをするのは禁物だけど、問題解決を先延ばしにできるほど遠い未来の話ではないよね。なので、すでに見えている未来があるなら、それに向けた一手はスピーディに打つのが正しい選択。

わかりました。三田さんの話をもとに、相談者への返答を書きますので、あとでチェックしてくださいね。

おお、いいぞう、それでこそピカピカの若手だ。ハハハ。なんか積極的だね。

いえ、いえ当然です。少し頑張らないと(だって、三田さんの年齢から言って、メタボが急激に悪化し、突然のリタイアなんてことも十分にありえりえる。そう、相談者の方と同じで、『いつまでも、いると思うな、親と会社のオジサン』ですよ。今期は、これを念頭に置きつつ、少しだけスキルアップの巻を入れなきゃ)。

あれ、また、何をブツブツ言っているのさ。

い、いや、今回の相談は、本当に勉強になったなと。まあ、三田さんはとにかく、あんまり甘いものばかり食べるのは控えてください。

え、何のこっちゃ。じゃあ、あとはよろしく(大丈夫かな、本当に)。

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