Vol.11:「SAP S/4 HANA」の導入とトータルコストはいくらぐらいなんですか?【後半】

【お悩み相談No.190626-1】
当社では、クラウドERPの導入を検討していて、「SAP S/4 HANA」についても調べています。個人的にはSAP S/4 HANAでいきたいと思うのですが、ただ、他のクラウドERPと比べたSAP S/4 HANAの最大の強みがどこにあるかが見えていません。また、周囲からはSAP S/4 HANAの導入には、相当の時間とお金が必要だろうと言われています。それが本当ならば、候補から外すしかないのですが……。実際のところは、どうなのでしょう?
(製造XY社 経営企画システム企画担当32歳/男性)

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「SAP S/4 HANA」の導入とトータルコストはいくらぐらいなんですか?【前編】

三田さん!お待たせしました、書き直しましたよ!今度こそ完成です!

どれどれ、ふむふむ、って、ちっとも完成じゃな~い!

あれ、ダメですか?(独り立ちに黄色信号か!)

まず、SAP S/4 HANAの強みの説明が『抜群に速いです!』だけじゃダメだって言ったでしょ!

じゃあ、どんなふうに書けば……。

なぜ“抜群に速い”のかは知っているよね?

確か、インメモリDBのおかげではないかと(三田さん推薦の書籍『Why Digital Matters?』にも、そう書いてあった)。

『Why Digital Matters?』の詳細についてはこちらをクリック
https://www.facebook.com/whydigitalmatters/

そのとおり。ならば、そのインメモリDBの採用でSAP S/4 HANAがお客さまにどんなビジネスメリットを提供できるかをきちんと説明しないと。

ズバリ!リアルタイム経営、ですよね。

好きね、その言葉(笑)。当て推量な感じだけと、確かにそれは、SAP S/4 HANAが実現するビジネスメリットの一つ。

(よし、的中。独り立ち計画再開!)。

インメモリDBを採用したSAP S/4 HANAは、会計・販売・在庫・生産など、あらゆる基幹業務のデータをリアルタイムに処理して統合化し、経営の状態を可視化できる。市場の変化がとにかく激しい今日では、これは大切なポイントだ。現場と経営による判断のスピード/正確性が上げられるからね。

それにクラウド版なら、世界の拠点に展開しやすい。そうすると各国の状況もリアルタイムに可視化できるようになりますね。

そう、それも重要。システムの海外展開がすみやかに図れるのはクラウドならではのメリットだけど、SAP S/4 HANA Cloudを使えば、それだけではなく海外拠点の経営状況が細かくリアルタイムに可視化できるようになる。海外に拠点をいつくも展開している企業や、これからグローバル化に取り組む企業にとって、その意義は大きいと言い切れる。

ところで、ほかのクラウドERPでは、リアルタイム経営はできないんですか?

旧来型のデータベースを使っているERPでは、SAP S/4 HANAのようなことを実現するのは難しいと思う。

なぜ、そう言えるんでしょう。

それを説明しようとすると、多少技術的な話になるから、居眠り注意、スマホのチラ見も厳禁ね。

もちろんです!気合を入れて集中します。

では、説明しよう。まず、ERPは、各業務で発生する取引をオンラインで処理するOLTP(オンライントランザクション処理)システムでもあり、その稼働中に、システムから各業務データを取り出して集計・分析し、経営や現場の意思決定に役立てようとした場合、よほどデータベースの性能がよくないと、ERPの処理に支障をきたすおそれがある。

な、なるほど(いきなり、難しい)。

なので普通は、ERPのシステムとデータ参照・分析系システム(情報系システム)を別々にして、ERPシステムが処理を終えたタイミングを見計らい、一括してERPシステムのデータを情報系にもってくるという処理をしている。それがどういうことかわかる?

あ、リアルタイムじゃない(つかんだ!)。

そう、そのとおり。なかなか優秀。

はい、今回は気合入れて集中したんで。

え、いつもじゃないの(笑)。とにかく、ERPシステムの処理が終わってから、参照・分析系システムにデータを一括してもってくる(あるいは、ERPでの更新内容を参照・分析系に一括して反映させる)といった処理では、リアルタイム経営は実現できない。リアルタイムどころか、ERPシステムの日中処理が終わった翌日、あるいは翌々日にならないと、ビジネス状況が見えてこない、なんて状況になる。

SAP S/4 HANAのシステムは違うと。

違うというか、もう別次元。SAP S/4 HANAのインメモリDBは、OLTPと分析処理の双方にリアルタイムで対応できる。分析専用のデータベースを別途用意する必要なんてなく、単一のプラットフォーム上に基幹業務とビジネス分析業務をリアルタイムに統合できてしまうんだ。SAP S/4 HANA以前のERPでは考えられないことだったね。

うーん、ラーメンとチャーハンが同時に作れる万能ナベみたいですね。

え、そんなナベあるの? なんだかたとえが変だけど、まあ、いいか。それから、処理性能の高さは、もちろん基幹業務そのものの効率化や変革にもつながる。

どんなふうにですか?

例えば、製造での生産管理業務では、販売計画に対して、実在庫に基づきながら資材の所要量を計算する「MRP(Materials Requirements Planning:資材所要量計画)」処理が行われる。一般的な生産管理システムではこの計算に相当の時間がかかり、それゆえに夜間に一括して行われることが多かった。ところが、SAP S/4 HANAなら、これまで2~3時間を要していたようなMRP処理を数分で終えられる。

それで何が変わるんですか?

急な大量受注があっても、受注に対する在庫引き当てを即座に行い、資材所要量を計算するというリアルタイムな計画調整が可能になる。要するに、需要変動に俊敏に対応できるようになる。これは生産現場にとっては大きな変化だと思う。

なるほど。

また、SAP S/4 HANAを使うと、顧客から注文を受けたタイミングで、受注商材の「在庫があるかどうか」「将来、入ってくる予定はどうか」「納入リードタイムはどれぐらいか」を確認しながら、納期が即答できるようになる。

いまお聞きした利点は、製造系のお話だと思いますが、もっと汎用性のある利点って何かありますか?

たくさんあるけど、一つは、前にも話した“革新技術の自動的な取り込み”かな

参照:『なんでも相談室Vol.9』

SAP S/4 HANA Cloudは3カ月ごとにアップデートされ、猛烈な勢いで成長を続けていく。その中で、機械学習など革新技術が次から次へと取り込まれていくけど、お客さまは、それに手間をかける必要はなく、気づけば、自社の基幹業務インフラがどんどん進化していくわけ。

なるほど、それは前にもお聞きしましたね。

そう、それからユーザーインタフェースのデザインが改善され、誰もが直感的にSAPのERPシステムを扱えるようになった。この点はあまり語られないけど、業務の効率化には欠かせないポイントだよね。

うーん、やっぱり無理か~(いきなりの独立は。覚えなければならないことがありすぎる)。

何が無理なのさ。

いや、気にしないでください(ここは、もう少し三田さんに頑張って働いてもらい、私は自分のペースで知識吸収に励もう。そうそう無理は禁物)。

何をまたブツブツ。

やっぱり、今回は、三田さんに相談者の方へのお返事を頼みますね。

あれ、結局、そこに至るの?

ええ、軌道修正です。トライ&エラー、いったん休んでまたトライです。で、三田さんは、カロリー過多に要注意。特に炭水化物の同時摂取はNGです、ラーメンとチャーハンとか。

何を言っているんだか。

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