Vol.12:「SAP SuccessFactors」は他の人事システムと何が違うの?【前半】

【お悩み相談No.190802-1】
近年採用難が続いていて、現有の人材、採用した人材の能力を最大化することがテーマとなり、それに向けて自社の人事システムを見直そうという話が進んでいます。そのなかで、知り合いの人事の方から、SAPさんでも人事システムをお持ちと聞き、調べたところ、SAP SuccessFactorsに行きつきました。私はITにあまり詳しくないため、SAP SuccessFactorsにどんな機能があり、どのような製品コンセプトで、他の人事システムとどのように異なるのかを教えていただけますか?
(製造ZY社 人事部・人材開発チームリーダー36歳/男性)

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三田さん。またもや、私の未研究分野のご質問が…。

「未研究分野」って何よ。逆に、落合さんに研究中の分野ってあるのかな? 企業ITの分野で(笑)。

え~、ヒドいな~(と言いつつ、研究中の分野はないけど)。まあ、とにかくこのご相談内容を見てください。

お、「SAP SuccessFactors」か、うーん……どうしようかな。

あれ、もしや三田さんも“未研究分野”ですか、人事システム。

あ、いや、もちろんSAP SuccessFactorsのことは知っているけど、人事システムを語るには人事業務のことをある程度理解していないとね、システムだけの話をしてもあまり意味がないし…….奥深いのですよ、人事は……。

何を、ごにょごにょと。

そうだ! 先輩を呼ぼう! コンサルタントの大沢さん。確か、今日は社内にいるはずだぞ。久しぶりにランチに行こうと誘われたし……。

えっ、大沢さんって、どなたですか(あ、もう電話かけてる)。

来てくれるってさ。あ~ よかった。そうそう、大沢さんというのはね……。

三田!元気にしてた~!?

(ゲっ、登場はや)ど、どうも、元気です。

フフフ、登場が早くて驚いたでしょ。実は、“壁の陰”から聞いていたの、2人の話を。なーんてね、ウソ。たまたま近くにいただけで~す(笑)。

そ、そうですか。あの、細かい話ですが「壁の陰」じゃなくて、それを言うなら「壁の後ろで」とか「扉の陰」かなと。あと自己紹介が遅れましたが、私は落合恵です、三田さんに業務を教えていただいています。

どうも初めまして、カスタマーサクセスマネージャーの大沢博子です。よろしくね! でも、「壁の陰」じゃないんだ~、よかった~、お客様先で使わなくて、フフフ。ナイス指摘だぞ、落合さん。三田は。あなたに“毎日、振り回されています”ってボヤいていたけど。

え、振り回されている……?

い、いや、そんなこと言ったかな~、アハハハ(危ない、危ない)。そ、それはそうと、今日お呼びしたのは、この相談者の方にどうお返事するかで困っておりまして、お力をお借りしたいと。

そうなんです。こちらを読んでいただけますか。

どれどれ~。

どうですか? 確か、先日お会いした時に、SAP SuccessFactorsの導入についてお客さまの元に行かれるケースが増えているとおっしゃられていたので、大沢さんにお聞きするのが一番いいと考えまして。

そうそう、スゴイ勢いで増えているの、SAP SuccessFactors案件。昨日もお客様2社に行ってきたわよ!

では、そんな人気のSAP SuccessFactorsは他の人事システムと何か違うのでしょうか。スバリ、ご教示を。大沢先輩!

スバリ、すべてが違うのですよ、落合後輩。

と、言いますと……。

まず、従来の人事システムは“人事のための情報システム”というよりは、給与計算を支援するシステムという感じで、管理対象となる人事情報の範囲も狭く、言ってしまえば、基本的な属性情報と、給与計算を正しく行うために必要な情報だけを管理しているに過ぎなかったのよ。

それが、どんな問題につながってきたのですか?

一つは、人事担当者にとって大切な仕事のひとつ「どんな能力を持った人材が、社内のどこにいて、今、何をしているか」をきちんと把握することができない、ということかな。

え、でも、従業員の役職とか、所属とか、給与とかは、人事システムでも管理されているんですよね。それなら……。

それだけじゃ、人の本当の能力は見えないもの。例えば、ポジション(職位)の情報だけでは、その人が、どんなスキルを持ち、どんな経験や実績を積んできたのか、どんなトレーニングを受けてきたのかは分からないでしょ。

なるほど、それでは分からないですね、その人の実力とか、得意ワザとか。

そうそう。それにポジションの情報や給与の情報と、過去のパフォーマンス結果というか、人事評価考課の情報とをひもづけて見ることが簡単にできないと、その人の実力と職位・給与のバランスが正当かどうかもすぐにつかめない。それも人事部門としては、いい状況とは言えないのよ。

つまり、SAP SuccessFactorsは、そのような事態に陥らないために、人材にかかわるあらゆる情報を一元的に管理し、人材戦略を立てやすいビューとして見せるシステムということですね。ゆえに、従業員全員の能力も見やすく可視化されると。

加えて、今回の相談者の方が求めるように、人材の能力を高めるために、どんな経験やトレーニングを積ませるのがよいかが見えてくるし、トレーニングの投資対効果もメジャーラブル(計測可能)になる。また、SAP SuccessFactorsで個人の強みやスキルも一元管理可能だから、新事業の立ち上げや組織の変更、海外への進出などの際に、誰と誰をピックアップしてチームを組ませるのが適切かといった、適材適所の提案を、ファクト(データ)ベースで行えるようになる。すばらしいでしょ?

確かに、とっても便利そうですね。

フフフ、そうなの。でも、SAP SuccessFactorsと旧来型の人事システムの最大の違いは、今まで話してきたことではないのよ!

えっ、今までの話は前振りですか?

そうよ、イントロダクション。SAP SuccessFactorsの大きなポイントは、これが人事部門のためだけにあるシステムではないということ。要するに、全社員のための人材情報データベースシステムがSAP SuccessFactorsなの。

それって、どういうことですか?

例えば、現場のマネジャーは、SAP SuccessFactorsでマイページを構成して部下たちのパフォーマンスを適宜チェックでき、足りないスキルも確認できる。一定層以上のマネジャーは、どこにどんな人材がいるかを、組織横断的に俯瞰してとらえることができちゃう。便利でしょ?

確かに、便利そうですね。

それから、SAP SuccessFactorsには、「後継者管理」と呼ばれるユニークな機能があって、部門・部署のマネジャーが、自分の後継者として誰が適任かを検討したり、後継者にしようとしている人材に足りていないスキルや能力を明らかにし、育成のプランを描いたりすることもできる。

うーん、それもスゴイですね。ただし、その機能は三田さんにはきっと不要ですね(後継者はすでに決まっているし、それどころか、数年後には立場が逆転していることもありうるし。フフフ)。

うん。そうかもしれないね(落合さんの足りていないスキルは明白すぎて、SAP SuccessFactorsに教えてもらうまでもないからな。どんな育成のプランがいいかもまったく読めないし)。

といったわけで…、後継者管理は私たち個別のチーム事情により、あまり響かないので、次の機能を!

なんなのよ~、もう。お客さんには受けがいいんだからね、後継者管理。そうだ、あと、先の話から人事評価データもSAP SuccessFactorsで一元管理できることが分かったと思うけど、それが何を意味しているのかと言えば、SAP SuccessFactorsのシステム上で、すべての部門・部署の上長と部下が、目標設定やレビューといった人事評価考課のプロセスを回すことができるということ。エクセレントでしょ?

え~っと、それって何がいいのでしょう?

大沢さん。落合さんには分からないですよ、その良さ。SAPに新卒入社ですから。

あ、そうかあ。ともあれ、落合さんにはピンとこないかもしれないけど、かなり多くの企業が、人事評価考課でとても手間のかかるプロセスを回してきたの。

どのようなプロセスですか。

よくあるケースで言えば、まず、人事部門が表計算ソフトで人事評価票の土台を作って各部の部課長にパスする。それを受け取った部課長さんたちが、自分たちの部下にメールで人事評価票を送って目標を記入させ、レビューのときには面談しながら、評価を記入したりするわけ。そして、部課長さんたちが、部下の人事評価票をまとめ、部門内での承認処理を完了させ、人事部に送り返す。それを人事部が承認する。

なるほど、面倒そうですね。

そう面倒なの。それでも従業員の人数が少なければまだいいんだけど、その数が数百人・数千人の規模になると、膨大な数の人事評価ファイルが毎年溜まっていくわけ。ファイルだから管理は煩雑になるし、あとから参照するのにも手間がかかる。その手間がSAP SuccessFactorsを使うことでドラスティックに低減できるわけ。

なるほど、そんなメリットがあるなら多くの企業から問い合わせが増えるはずですね。

そのとおり!加えて最近では、人材パフォーマンス評価のフレームワーク「OKR(Objective & Key Results)」を採用するお客さまも増えていて、そのこともSAP SuccessFactorsに価値を感じるお客さまの増加につながっているの。

そう言えば、SAP SuccessFactorsでは、「SMART」(*1)のフレームワークに基づいた目標設定を基本としていましたね。その点でもOKRとの親和性は高そうですね。

さすが~、よく覚えていたね、SMARTのこと。確かに、そうした親和性もあるし、そもそもOKRでは、四半期に1回の頻度でレビューを行うのが一般的。SAP SuccessFactorsのような仕組みを使わないとレビューのプロセスを回すだけで疲れちゃう。

<注> *1 SMARTとは、以下に示す5つの目標設定ルールの頭文字をとった略語。
①Specific(具体的):どんなことに取り組むのか誰が見てもわかる内容にする
②Measurable(測定可能):誰が計測しても同じ数値が出る目標を設定する
③Attainable(達成可能):簡単すぎるものでも実現不可能なものでもなく、努力すればなんとか達成できる目標を設定する
④Relevant(関連性):個人的な目標ではなく、組織の目標と部内目標に関連するゴールを設定する
⑤Time-bound(期限):あらかじめ設けられた期限までに目標を達成する

うーん、三田さんがおっしゃられたとおり、人事って奥深いですね。

そうそう、だから簡単には語れないのだよ。

おっと、もうこんな時間。私は今からお客様と打ち合わせがあるから、それが終わったらまた続きをしましょうね! 1時間15分後に再開! それまでにSAP SuccessFactorsの製品カタログを見て、少し勉強しておいてね、落合さん。

SAP SuccessFactors製品カタログ

承知しました!

(相変わらずパワフルだな。大沢さん)。

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